第38回(令和7年度)介護福祉士国家試験 Cパート 午後問題・解答・解説

目次

介護過程(Cパート8問)

問題106

次のうち,介護過程における生活課題への対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 介護福祉職が望む支援を実現すること
  2. 利用者が望む暮らしを実現すること
  3. 他職種が望む連携を実現すること
  4. 家族が望む経済状況を実現すること
  5. 施設が望む運営を実現すること

正解は 2 です。

介護過程は、利用者がその人らしい自立した日常生活を営み、自己実現を図るために展開される科学的・体系的なプロセスです。その核心は「利用者主体(顧客満足・尊厳の保持)」であり、生活課題(ニーズ)の解決とは、専門職側の意図の押し付けではなく、利用者自身が抱く「このような生活を送りたい」という主体的な願いや目標(ICFにおける活動や参加の志向)に寄り添い、それを具現化することにあります。

【他の選択肢が誤りである理由】

  • 選択肢1(誤り):介護過程の主役は利用者であり、介護福祉職側の主観や一方的な都合、実践したい「支援内容」を優先して決定するパターナリズム(強制的な保護)的なアプローチは不適切です。
  • 選択肢3(誤り):多職種連携(チームアプローチ)は利用者の包括的な生活支援を達成するための「手段」であり、連携そのものの実現を最優先の目的(自己目的化)に据えるべきではありません。
  • 選択肢4(誤り):家族の経済状況や要望を把握し調整を試みることは生活の安定において重要ですが、介護過程において直接的にアプローチする生活課題の本質は、利用者本人のQOL(生活の質)の向上や生活動作の自立にあります。
  • 選択肢5(誤り):事業所や施設の管理・運営、効率的な体制維持といった組織側の都合を、利用者のアセスメントや生活課題解決の判断基準に持ち込むことは、利用者主体の理念に完全に反します。

問題107

次のうち,短期目標に関する説明として,最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 介護福祉職の介護目標を設定する。
  2. 利用者の1年後の状態を記載する。
  3. 利用者の家族を主体にして表現する。
  4. アセスメントに基づく利用者の具体的な生活課題から検討する。
  5. 目標達成時の介護福祉職の満足度を記載する。

正解は 4 です。

介護過程におけるケアプラン(介護計画)の作成では、アセスメントによって導き出された利用者の「生活課題(解決すべきニーズ)」を出発点として目標を検討します。生活課題を解決した先にどのような状態を目指すのか、その最終ゴール(長期目標)を見据えつつ、そこに至るまでのステップとして、当面の数か月間で達成可能な具体的な通過点である「短期目標」を設定します。

【他の選択肢が誤りである理由】

  • 選択肢1(誤り):介護目標は、すべて「利用者」を主語とし、利用者がどのように変化するかを設定します。「介護福祉職が〜をする」といった、支援者側の行動目標や都合を設定するものではありません。
  • 選択肢2(誤り):利用者の1年後など、中長期的な視点で見据える最終的なゴールやあるべき姿は「長期目標」に該当します。短期目標は、その長期目標を達成するために、直近の1〜3か月程度で段階的にクリアしていく具体的な目標を記載します。
  • 選択肢3(誤り):目標の表現は、サービスを利用する「利用者本人」を主体(主語)として表現するのが原則です。家族を主体にするものではありません。
  • 選択肢5(誤り):目標の達成度を測るのは「利用者の生活の質(QOL)の向上」や「課題の解決度」であり、そこに介護福祉職側の個人的な満足度を記載することは不適切です。

問題108

次のうち,介護計画の実施に関するものとして,適切なものを1つ選びなさい。

  1. 利用者の実践状況は評価日にまとめて記載する。
  2. 介護福祉職が結果に満足できるまで実践を続ける。
  3. 介護福祉職の実践経験を積むことを目的にする。
  4. 他職種が立案した介護計画をチームで実践する。
  5. 利用者に支援内容を説明して同意を得る。

正解は 5 です。

介護保険法第2条における「利用者主体」および「自己決定の尊重」の理念に基づき、介護計画(ケアプランや個別援助計画)の実施にあたっては、事前に利用者やその家族に対して具体的な支援内容や目的を分かりやすく説明し、納得した上で同意(インフォームドコンセント)を得ることが大原則です。本人の意思確認を怠った一方的なサービス提供は、利用者の尊厳の保持や自立支援に反します。

【他の選択肢が誤りである理由】

  • 選択肢1(誤り):利用者の日々の実践状況や体調の変化、計画に対する反応などは、時間の経過とともに記憶が薄れるのを防ぎ、リアルタイムの情報をチームで共有するため、実施の度、あるいはその日のうちに遅滞なく記録(ケース記録)に残す必要があります。
  • 選択肢2(誤り):介護実践における評価や満足度の基準は、あくまで「利用者自身のQOL(生活の質)の向上」や「設定された目標の達成度」に置かれるべきであり、介護福祉職側の主観的な満足度を基準にして実践の継続を判断するのは不適切です。
  • 選択肢3(誤り):介護計画の主たる目的は、アセスメントに基づき導き出された利用者の生活課題(ニーズ)を解決し、望む暮らしや自立を支援することにあります。専門職側のキャリア形成や経験蓄積を目的とすることは、利用者主体の原則から逸脱しています。
  • 選択肢4(誤り):介護計画(個別支援計画など)は、利用者を担当する介護福祉職自身がアセスメントから参画し、主体となって立案するものです。他職種(看護職やリハビリ職など)の計画を一方的に引き受けて実践するだけのものではありません。

問題109

次のうち,サービス担当者会議にサービス管理責任者が出席する目的として,最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 個別支援計画の取り組みの報告
  2. 障害支援区分の判定
  3. 支給が必要かどうかの決定
  4. サービス等利用計画の説明
  5. 相談支援専門員への個別支援計画作成の指示

正解は 1 です。

サービス担当者会議は、利用者に最適な支援を提供するために、主治医や相談支援専門員、各サービス専門職等のチームが集まり、課題や情報の共有、方針の検討を行う場です。障害福祉サービス事業所等に配置されるサービス管理責任者は、自ら作成した「個別支援計画」に基づいて実際にどのような支援や取り組みを行っているか、また利用者の日々の状態や計画の進捗状況がどうであるかを報告し、チーム全体で情報を共有する職責を担います。

【他の選択肢が誤りである理由】

  • 選択肢2(誤り):障害支援区分(区分1〜6)の判定は、障害者総合支援法に基づき、市町村に設置された独立した機関である「市町村審査会」が、認定調査の結果や医師の意見書をふまえて公平に審査・判定を行います。サービス担当者会議やサービス管理責任者に判定権限はありません。
  • 選択肢3(誤り):障害福祉サービスにおける支給決定(介護給付費や訓練等給付費などの支給が必要かどうかの判断・決定)を行うのは、行政上の支給決定権者である「市町村(地方自治体)」の権限です。
  • 選択肢4(誤り):障害福祉サービス全体の利用方針やマネジメントを統括する「サービス等利用計画」を作成し、関係者にその内容を説明・調整するのは「相談支援専門員」の主たる役割です。
  • 選択肢5(誤り):「個別支援計画」は、障害福祉サービス事業所のサービス管理責任者自身がアセスメントに基づいて責任を持って作成するものであり、相談支援専門員が作成するものではありません。したがって、他職種へ作成の指示を出す立場にはありません。

ー 問題110 問題111

次の事例を読んで,問題110、問題111について答えなさい。

〔事例〕

Aさん(78歳,女性,要介護1)は,軽度の認知症(dementia)があり,通所介護(デイサービス)を利用しながら一人暮らしをしている。一人娘が近くに住んでいる。最近,近所の人から娘に,「決められた日以外にごみを出しているので,そっと片づけているの」と連絡があった。

翌日,娘がAさんの自宅に行くと,部屋の中に弁当の空の容器がそのまま残されていた。心配した娘が同居を勧めたが,Aさんは,「これからも,この家からデイサービスに通いたい」と強い口調で言った。話し合いの結果,娘が夕方に様子を見に行くことになった。

Aさんは,通所介護(デイサービス)を休むことなく利用していたが,ある日の迎えのとき,担当の介護福祉職に,「今日は行きたくない」と言って利用を拒否した。娘が理由を聞くと,「クイズの時間になると利用者のBさんに,あなたの答えはいつも間違えていると何度も注意される。情けない・・・」と話した。娘はAさんの様子を介護福祉職に伝えた。

問題110

次のうち,Aさんのニーズとして,最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 娘の家で同居すること
  2. 自宅での生活を続けること
  3. 通所介護(デイサービス)を休めること
  4. 弁当のメニューを変更すること
  5. ごみ出しを近所の人に任せること

正解は 2 です。

介護過程における「ニーズ(生活課題)」とは、利用者が抱える生活上の困難を解決し、どのような生活を営みたいかという本質的な欲求や目的を指します。事例において、心配した娘から同居を勧められた際、Aさんは「これからも、この家からデイサービスに通いたい」と強い口調で明確な意思表示をしています。ごみ出しのトラブルや一時的なデイサービスへの行き渋りといった個別の課題(デマンド)の背景にある、住み慣れた「自宅での生活を継続したい」という本人の自己決定と意欲を尊重することがアプローチの基本となります。

【他の選択肢が誤りである理由】

  • 選択肢1(誤り):娘は同居を提案していますが、Aさん自身は強い口調でそれを拒む意思を示しており、本人が望む生活像とは合致しません。
  • 選択肢3(誤り):クイズの時間に他の利用者から注意されたことで傷つき、一時的に「今日は行きたくない」と訴えていますが、本質的な願いはデイサービスを長期的に休むことではなく、不快なトラブルが解決され、安心して再び通えるようになることです。
  • 選択肢4(誤り):部屋に空の容器が残されていたことは、認知症による片付けの困難や配食サービスの利用状況をアセスメントする視点として重要ですが、Aさん自身がメニューの変更を求めているという描写はありません。
  • 選択肢5(誤り):決められた日以外にごみを出してしまう現状は、見当識障害や記憶障害に伴う生活課題(支援が必要な領域)ですが、Aさんが「近所の人に任せたい」という依存的な欲求を抱いている根拠にはなりません。

問題111

Aさんの娘から連絡を受けた通所介護(デイサービス)では,介護過程の再アセスメントをすることになった。

次のうち,Aさんの再アセスメントで重視すべき情報として,最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 通所介護(デイサービス)を利用しない日の過ごし方
  2. 通所介護(デイサービス)での様子
  3. 通所介護(デイサービス)の利用継続に関する娘の意見
  4. 通所介護(デイサービス)の迎えを担当した介護福祉職の印象
  5. 通所介護(デイサービス)以外のサービスを利用することへの意向

正解は 2 です。

介護過程における再アセスメントは、利用者の生活変化や新たな課題(デマンドの発生、利用拒否など)が生じた際、その原因を究明して適切な支援へ修正するために行います。Aさんはこれまで休まず通っていたデイサービスに対し、突然「行きたくない」と利用拒否を示しており、その引き金は「クイズの時間に利用者Bさんから何度も注意され、情けない思いをしたこと」にあります。したがって、事業所側がまず集中的に把握・分析すべきは、トラブルの現場となった「通所介護(デイサービス)内での実際の様子(Bさんとの関係性、クイズの時間におけるやり取りや本人の客観的な状態など)」です。

【他の選択肢が誤りである理由】

  • 選択肢1(誤り):利用しない日の自宅での過ごし方(ごみ出しや配食容器の放置など)は、在宅生活の継続を考える上で重要な情報ですが、今回の再アセスメントの直接的な契機となった「デイサービスでのトラブル・利用拒否」の核心に迫る情報としては優先度が下がります。
  • 選択肢3(誤り):娘はAさんを心配して同居を提案するなど、生活を支えるキーパーソンとしての意見を持っていますが、Aさん本人は「この家からデイサービスに通いたい」と強く望んでいます。再アセスメントで最も尊重すべきは利用者本人の意向と発生した事象の事実関係であり、娘の意見の確認は二の次となります。
  • 選択肢4(誤り):迎えを担当した職員の主観的な「印象」は、Aさんが玄関先で行き渋った際の限定的な情報に過ぎず、利用拒否の根本原因である施設内での他者交流やトラブルの背景を客観的に評価するための情報としては不十分です。
  • 選択肢5(誤り):Aさんは「これからも、この家からデイサービスに通いたい」という明確な意志を持っています。原因の究明や環境調整を行う前に、別のサービス利用への移行を前提とした意向確認を行うことは、本人の意欲や自己決定の尊重に反します。

ー 問題112 問題113

次の事例を読んで,問題112、問題113について答えなさい。

〔事例〕

Aさん(50歳,男性,障害支援区分3)は,中度の知的障害がある。身体機能に問題はないが,遂行機能に障害がある。短い言葉での意思表示はできる。両親は亡くなっている。姉が近くに住んでいるが,同居は難しく,共同生活援助(グループホーム)へ入居した。入居時に短期目標を「生活のリズムを整える」と設定し,順調に進んでいた。日中は就労継続支援B型事業所に通っている。

共同生活援助(グループホーム)の生活に慣れてきた頃,Aさんは日中活動を休むようになった。心配した生活支援員が居室を訪ねると,Aさんが,「昨日も,遊びに来た隣室の友人が,散らかっている部屋をみて笑った。前はきれいにできていたのに」と自信をなくしている様子であった。

生活支援員がAさんの居室を確認すると,趣味で集めているアニメグッズや衣服が増えていて,きれいにしていた自室内に散乱していた。

問題112

次のうち,日中活動を休むようになったAさんの状態を理解するために必要な情報として,最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. Aさんの家族構成
  2. 隣室の友人がAさんの部屋に行った時間
  3. Aさんが自信をなくした理由
  4. 生活支援員がAさんの部屋を訪ねた心情
  5. Aさんが隣室の友人と遊ぶことになった理由

正解は 3 です。

介護過程の展開において利用者の変化(日中活動の休止など)の背景をアセスメントする際は、変化の原因となっている利用者の主観的状況や心理的背景を正しく把握することが最優先されます。Aさんは知的障害に伴う「遂行機能障害」により、増えた持ち物の整理整頓が難しくなり部屋が散らかってしまったこと、そしてそれを友人に笑われたことで「自信をなくして」います。この心理的な「自信の喪失(自己効力感の低下)」が日中活動への意欲を奪っている直接的な要因であるため、この理由や本人の心情を深く理解することが適切な支援再開に向けた不可欠な情報となります。

【他の選択肢が誤りである理由】

  • 選択肢1(誤り):両親が他界し、近隣に姉が住んでいるという家族構成は入居時の基本情報としてすでに把握されており、今回「突然日中活動を休むようになった」という個別のエピソードを直接説明する要因ではありません。
  • 選択肢2(誤り):友人が部屋を訪れた時間帯という客観的事実は、Aさんが自信を喪失し、就労継続支援B型を休むに至った心理的動揺や意欲減退の根本的なメカニズムを解き明かすための情報としては優先度が低いです。
  • 選択肢4(誤り):アセスメントにおいて客観的に分析・評価すべき対象は、あくまで「利用者(Aさん)の状況・心理・行動」です。支援者である生活支援員側の主観的な心情や感情を重視することは不適切です。
  • 選択肢5(誤り):Aさんと隣室の友人が遊ぶようになった経緯やきっかけは、グループホーム内における日常的な人間関係の一部を示すものに過ぎず、部屋を笑われたことによる現在の自信喪失と日中活動の拒否という直接的な課題の解決に直結する情報ではありません。

問題113

後日,カンファレンスが開かれ,短期目標についての見直しが検討された。

次の記述のうち,見直された短期目標として,最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 趣味を変更する。
  2. 現在の自室の状態を維持する。
  3. 衣服を部屋の隅に寄せる。
  4. 日中活動の事業所を変更する。
  5. 自室を整理整頓する。

正解は 5 です。

Aさんは共同生活援助(グループホーム)の生活に慣れるに伴い、趣味のアニメグッズや衣服が増え、知的障害に伴う遂行機能障害(物事を順序立てて計画・実行する能力の障害)の影響から、自力で片付けを行うことが困難になっています。その結果として散らかった部屋を友人に笑われ、自信を喪失して日中活動(就労継続支援B型)の休止にまで至りました。Aさんの本来の生活課題は「生活環境の悪化による自己効力感の低下と日中活動への影響」であるため、再び自信を取り戻して安心した生活を送るためには、支援を受けながらでも「自室を整理整頓する」ことを新たな短期目標に据え、具体的な片付けの手順や環境調整(収納の工夫など)を組み立てていくアプローチが求められます。

【他の選択肢が誤りである理由】

  • 選択肢1(誤り):アニメグッズの収集はAさんの大切な「趣味」であり、本人の生きがいやQOL(生活の質)に直結している可能性が高いものです。部屋が散らかったからといって、支援者側が主導して趣味そのものを変更させるような目標設定は、利用者主体の理念や個人の尊厳の尊重に反します。
  • 選択肢2(誤り):グッズや衣服が床に散乱している現在の状態をそのまま維持することは、生活環境や衛生面のさらなる悪化を招くだけでなく、友人に笑われて傷ついたAさんの精神的ストレス(自信喪失)を固定化させてしまうため不適切です。
  • 選択肢3(誤り):散らかった衣服をただ「部屋の隅に寄せる」だけの対応は、根本的な整理整頓や解決にはなっておらず、一時的なゾーニングの移動に過ぎません。遂行機能障害を持つAさんに対し、場当たり的で中途半端な片付けを目標に設定することは混乱を増大させる恐れがあります。
  • 選択肢4(誤り):Aさんが就労継続支援B型に行けなくなった直接の原因は、事業所側の人間関係やプログラム内容にあるのではなく、グループホームの自室環境の乱れとそれに伴う心理的動揺にあります。原因が別にあるにもかかわらず、日中活動の事業所そのものを変更することは的外れな対応です。

総合問題1(Cパート3問)

次の事例を読んで,問題114、問題115、問題116について答えなさい。

〔事例〕

Aさん(66歳,女性)は,一人息子と二人で暮らしている。会社の趣味サークルや地域活動に熱心に参加してきた。半年前に,長年勤めた仕事を定年退職して,継続雇用で週2日の勤務になった。その頃から不眠を訴え,疲れやすく気持ちが落ち込む日が増えてきた。しばらくすると,睡眠中に大声をあげたり,息子の部屋までふらふらと歩いてきたり,自室のカーテンの花柄が動いて怖いと話したりするようになった。近隣の大学病院を受診した結果,手足の震え,小刻みな歩行,顔のこわばりなどみられ,レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)の診断を受けた。

Aさんは,趣味活動や自宅で息子と過ごすことを優先し,これからの生活を楽しみたいと考えて,仕事を辞めた。そして,安全に歩く力を維持するために介護サービスを活用しようと考えた。Aさんは要支援2の認定を受けて,介護予防通所リハビリテーションの利用を始めた。

問題114

Aさんの手足の震えは,ある体内物質の影響によって生じている。

次のうち,その体内物質に該当するものとして,最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. メラトニン(melatonin)
  2. ドーパミン(dopamine)
  3. アドレナリン(adrenaline)
  4. コルチゾール(cortisol)
  5. グルカゴン(glucagon)

正解は 2 です。

レビー小体型認知症では、脳幹の黒質や青斑核、大脳皮質などに「レビー小体」と呼ばれる異常なタンパク質の凝集体が出現し、神経細胞が減少します。黒質の神経細胞が減少すると、運動機能の調節を司る神経伝達物質である「ドーパミン」の分泌が低下し、これによりパーキンソン症状(手足の震え、小刻み歩行、顔のこわばりなど)が引き起こされます。

【他の選択肢が誤りである理由】

  • 選択肢1(誤り):メラトニンは、松果体から分泌されるホルモンで、概日リズム(体内時計)の調節や睡眠の誘導に関与しています。分泌の低下は睡眠障害の一因となりますが、手足の震えといった運動症状を直接引き起こす物質ではありません。
  • 選択肢3(誤り):アドレナリンは、副腎髄質から分泌されるホルモンおよび神経伝達物質です。交感神経系が興奮した際に分泌が高まり、心拍数の上昇、血圧上昇、血糖値の上昇、気管支の拡張などを引き起こします。
  • 選択肢4(誤り):コルチゾールは、副腎皮質から分泌される糖質コルチコイドの一種(ストレスホルモン)です。代謝の制御や免疫抑制、抗炎症作用、ストレスへの対応を担っており、不足すると副腎不全を招き、過剰になるとクッシング症候群の原因になります。
  • 選択肢5(誤り):グルカゴンは、膵臓のランゲルハンス島A細胞(α細胞)から分泌されるホルモンです。肝臓でのグリコーゲン分解や糖新生を促進することで、血糖値を上昇させる働きを持っています。

問題115

ある日,送迎のときに,介護予防通所リハビリテーション事業所のB介護福祉職は,息子から,日々の症状に変動がある母を自宅で介護するときにどのようなことに注意すべきか,と聞かれた。B介護福祉職は事業所で他職種ミーティングを行ってから返答することにした。

次の記述のうち,B介護福祉職の息子への助言として,最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 視覚的環境からの影響を防ぐために,自室のカーテンを無地のものに変更する。
  2. 下肢筋力を維持するために,毎日決まった時間に同じ運動をする。
  3. 転倒を防止するために,Aさんの外出の機会を減らす。
  4. 夜間は部屋をできるだけ明るく照らすために,直接照明を用いる。
  5. 着脱をしやすくするために,ボタン止めの衣服を使用する。

正解は 1 です。

レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)の主要な特徴として、実際には存在しないものが生々しく見える「具体的で詳細な幻視」や、対象物を誤認する「錯視」があります。Aさんが訴える「自室のカーテンの花柄が動いて怖い」という現象は、カーテンの複雑な模様(花柄)が人や生き物に見えてしまう視覚的誤認に起因する典型的な症状です。環境調整として壁やカーテンの模様をシンプルな無地のものに変えることは、脳への不要な視覚刺激を排除し、不安や恐怖心を和らげる上で非常に効果的です。

【他の選択肢が誤りである理由】

  • 選択肢2(誤り):レビー小体型認知症では、日中や日によって覚醒レベルや認知能力が著しく変化する「認知の変動」や、起立性低血圧などの自律神経症状が見られます。本人の体調や症状の波を考慮せず、一律に「毎日決まった時間に同じ運動をする」という規則を強制することは、予期せぬ事故や過度な疲労を招くリスクを高めます。
  • 選択肢3(誤り):Aさんは「これからの生活を楽しみたい」「安全に歩く力を維持するために介護サービスを活用しよう」という明確な目標と自立への意欲を持っています。転倒予防のみを重視して「外出の機会を減らす」ことは、身体機能の低下(廃用症候群)を進行させるだけでなく、本人の生きがいや尊厳を損ないます。
  • 選択肢4(誤り):夜間に直接照明を用いて部屋を強く照らすと、室内の調度品のコントラストが強調され、床や壁に濃くはっきりとした「影」が生まれます。この影が人影に見えるなどして新たな幻視や錯視を誘発する原因となるため、夜間は間接照明などを用いて部屋全体を均一に、影ができにくい明るさに調整する必要があります。
  • 選択肢5(誤り):Aさんには「手足の震え」「小刻みな歩行」「顔のこわばり」といったパーキンソン症状が出現しています。これらの運動機能障害がある場合、指先の細かな巧緻性を求められる「ボタン止め」の衣服は着脱が困難であり、活動への意欲を削ぐ原因になります。面ファスナーや伸縮性のある素材など、少ない力で容易に着脱できる衣服を選ぶのが適切です。

問題116

サービス利用開始から2か月後,担当介護支援専門員(介護福祉士)はモニタリングを行うために,Aさんの自宅を訪れた。Aさんは,「もっとほかの人と交流したいが,自宅で生活しながら利用できると安心だ。とにかく息子に心配をかけずに一緒に暮らしていきたい」と語った。

息子は,「最近仕事が忙しくなり,今後泊まりの出張もあるので,リハビリ以外のサービスもうまく使ってほしい」と語った。

次のうち,Aさんに利用を勧めるサービスとして,最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 介護予防認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)
  2. 日常生活自立支援事業
  3. 訪問介護(ホームヘルプサービス)
  4. 介護予防小規模多機能型居宅介護
  5. 介護予防・生活支援サービス事業の通所型サービス

正解は 4 です。

介護予防小規模多機能型居宅介護は、要支援者が住み慣れた地域や自宅での生活を継続できるよう、「通い(通所)」を中心に、利用者の状況や希望に応じて「泊まり(宿泊)」「訪問」を随時組み合わせて一体的に提供する地域密着型サービスです。Aさんの「自宅で生活しながら利用したい」「他の人と交流したい」という希望と、息子の「仕事が忙しく、今後は泊まりの出張もある」という介護負担軽減へのニーズに、1つの事業所で柔軟に対応できます。

【他の選択肢が誤りである理由】

  • 選択肢1(誤り):介護予防認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、認知症の要支援2の者が共同生活住居に入居して日常生活の支援を受ける施設サービスに近いため、「自宅で生活しながら息子と一緒に暮らしていきたい」というAさんの明確な希望に反します。
  • 選択肢2(誤り):日常生活自立支援事業は、認知症高齢者や知的障害者等の権利擁護を目的とし、福祉サービスの利用手続きの援助、日常的な金銭管理、預金通帳等の保管を行う事業です。他者との交流や、息子の出張に伴う夜間の介護負担(宿泊・訪問支援)を解決する介護サービスではありません。
  • 選択肢3(誤り):Aさんは介護予防サービスを受けられる「要支援2」の認定を受けていますが、予防給付の「介護予防訪問介護」は2014年の法改正以降、市町村が実施する「介護予防・生活支援サービス事業(総合事業)」へ完全に移行しています。さらに、訪問介護単体では「他の人と交流したい」というニーズや、息子の宿泊出張時の安全確保に対応できません。
  • 選択肢5(誤り):介護予防・生活支援サービス事業(総合事業)の通所型サービスは、デイサービス等による機能訓練や交流の場を提供するものですが、日中の通いのみに限定されるため、息子の「泊まりの出張」時における夜間の見守りや宿泊ニーズを満たすことが困難です。

総合問題2(Cパート3問)

次の事例を読んで,問題117、問題118、問題119について答えなさい。

〔事例〕

Aさん(85歳,女性,要介護1)は,B住宅型有料老人ホームで暮らしている。子どもはなく,親族もいない。Aさんは現在,外部の事業所から訪問介護サービスを週2回利用している。Aさんは駐車場を経営していて,毎月その収入がある。

最近,C訪問介護員(ホームヘルパー)は,Aさんの居室内の冷蔵庫の中に同じ食材がたくさん入っていることが多く,気になっていた。ある日,C訪問介護員(ホームヘルパー)がAさんに尋ねると,「近所のスーパーに買物に行くのが楽しみだが,冷蔵庫の中に何があるのか忘れてしまい,同じ物ばかり買ってしまう」と答えた。また,「今は,毎月振り込まれる駐車場収入の管理ができているが,今後管理できなくなることが不安だ」と話した。その後,Aさんは,初期のアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)の診断を受けた。

問題117

次のうち,Aさんが不安に思っている駐車場収入の管理について,訪問介護事業所のサービス提供責任者がAさんに提案する制度として,最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 成年後見制度
  2. 生活保護制度
  3. 老齢年金制度
  4. 継続雇用制度
  5. 後期高齢者医療制度

正解は 1 です。

成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害などによって判断能力が不十分な人の財産管理や契約手続き(身上保護)を法律的に支援・保護する制度です。民法に基づき、現に判断能力が衰えている場合に家庭裁判所が後見人等を選任する「法定後見(後見・保佐・補助)」と、将来の判断能力低下に備えてあらかじめ自ら契約を結んでおく「任意後見」があります。Aさんは初期のアルツハイマー型認知症と診断され、将来的な駐車場収入の管理(財産管理)に明確な不安を抱いているため、この制度の活用(特に現時点で判断能力があるうちに契約する任意後見制度などの検討)が適しています。

【他の選択肢が誤りである理由】

  • 選択肢2(誤り):生活保護制度は、生活保護法に基づき、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、最低限度の生活を保障するとともにその自立を助長する制度です。Aさんは駐車場を経営して毎月一定の収入があり、経済的な困窮状態にはないため対象になりません。
  • 選択肢3(誤り):老齢年金制度(国民年金法・厚生年金保険法など)は、高齢による所得の喪失・減少を補填するための公的年金保険給付です。Aさんが抱える「既存の駐車場収入の管理ができなくなる不安」という生活課題を解決する手段ではありません。
  • 選択肢4(誤り):継続雇用制度は、高年齢者雇用安定法(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)に基づき、定年を迎えた労働者を希望に応じて引き続き雇用する企業向けの制度です。78歳で仕事を辞めて一人暮らしをしているAさんの財産管理の相談に対する提案としては的外れです。
  • 選択肢5(誤り):後期高齢者医療制度は、高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、75歳以上の高齢者等を対象として医療費の給付等を行う公的医療保険制度です。医療費の自己負担割合や医療保障に関する制度であり、個人の収入管理や財産管理を行う仕組みはありません。

問題118

その後,Aさんは認知症(dementia)が進行することを心配し,介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談して,同じ市内のD介護付き有料老人ホームに転居することになった。

転居してから2年後,Aさんの認知症(dementia)の症状は進行してきた。Aさんの担当となったE介護福祉職はサービス担当者会議で,「現在,Aさんの,認知症高齢者の日常生活自立度判定基準は,ランクⅢaと考えられる。そこで,このランクに合った介護計画を立案したい」と提案し,他職種の承諾を得た。

次のうち,Aさんの介護計画立案時にE介護福祉職が意識する,認知症高齢者の日常生活自立度判定基準Ⅲaに該当する状態として,最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 日常生活が自立している状態
  2. 見守りがあれば自立できる状態
  3. 日中を中心に意思疎通の困難さがみられ,介護を必要とする状態
  4. 意思疎通の困難さが頻繁にみられ,常に介護を必要とする状態
  5. 専門医療の導入が必要な状態

正解は 3 です。

厚生労働省が定める「認知症高齢者の日常生活自立度判定基準」において、ランクⅢは「日常生活に支障を来たすような症状・行動や意思疎通の困難さがみられ、介護を必要とする(誰かが注意していなければならない)」状態と定義されています。そのうち「Ⅲa」は、これらの症状・行動や意思疎通の困難さが「日中を中心に見られる」状態を指します。

【他の選択肢が誤りである理由】

  • 選択肢1(誤り):「何らかの精神症状・問題行動や機能低下はあっても、日常生活はほぼ自立している」状態は、ランクⅠに該当します。
  • 選択肢2(誤り):「日常生活はほぼ自立しているが、家庭内(または社会生活)で、見守りや指導が必要である」状態は、ランクⅡ(家庭内中心はⅡa、社会生活中心はⅡb)に該当します。
  • 選択肢4(誤り):意思疎通の困難さや日常生活に支障を来たす症状・行動が「夜間を中心に見られる」状態がランクⅢbであり、それらが「頻繁にみられ、常に介護を必要とする(着替え、食事、排泄等に全面的介護を要する)」状態は、さらに重度なランクⅣに該当します。
  • 選択肢5(誤り):「著しい精神症状や問題行動、あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする」状態は、最重度のランクMに該当します。

問題119

D介護付き有料老人ホームに転居してから3年が経過した。Aさんの認知症(dementia)の症状は,さらに進行してきた。D介護付き有料老人ホームでは,施設の方針として,新たにパーソン・センタード・ケアを取り入れることになった。

次の記述のうち,E介護福祉職が介護計画を見直すときの方向性として,最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 認知症(dementia)の人の共通点に着目したケアマニュアルをつくる。
  2. 認知症(dementia)を治療する。
  3. 認知症(dementia)の人のその人らしさを支える。
  4. 認知症(dementia)の人を特別な存在として保護する。
  5. 行動・心理症状(BPSD)をなくす。

正解は 3 です。

パーソン・センタード・ケア(Person-Centred Care)は、イギリスの心理学者トム・キットウッド(Tom Kitwood)が提唱した、認知症をもつ人を「一人の人間」として尊重し、その人の視点や立場、これまでの人生背景、価値観を重視して行うケアの理念です。認知症の症状だけを見るのではなく、「その人らしさ(個性や尊厳)」に焦点を当てて個別のニーズに対応することが核心であり、介護計画の見直しにおける適切な方向性となります。

【他の選択肢が誤りである理由】

  • 選択肢1(誤り):認知症の人の「共通点」にのみ着目して一律のケアマニュアルを作成・適用することは、利用者の個別性や「その人らしさ」を軽視することにつながり、パーソン・センタード・ケアの理念に逆行します。
  • 選択肢2(誤り):認知症の「治療(医学的介入)」は医師による医療行為の領域です。生活支援の場における介護福祉職の役割は、認知症に伴う生活上の困難を補い、本人が安心して暮らせる環境や関係性を構築することにあります。
  •  
  • 選択肢4(誤り):パーソン・センタード・ケアは、認知症の人を社会や生活から隔離・排除して「特別な存在として一方的に保護する」パターナリズム的な思想ではなく、周囲との相互作用や関わりの中でその人の心理的ニーズ(自分らしさ、結びつきなど)を満たすアプローチです。
  • 選択肢5(誤り):行動・心理症状(BPSD)は、中核症状に環境変化や不安、身体的苦痛、周囲の不適切な不適切な関わりなどが複雑に絡み合って生じるサインです。単に症状を「なくす(排除・抑制する)」ことを目的とするのではなく、その行動が表す本人の未充足のニーズや不快感の理由を理解しようとする姿勢が求められます。

総合問題3(Cパート3問)

次の事例を読んで,問題120、問題121、問題122について答えなさい。

〔事例〕

Aさん(42歳,男性)は,知的障害がある。父親(72歳)と二人暮らしをしている。半年前,Aさんに血便がみられたため病院を受診したところ,大腸がん(colorectal canser)と診断され,S状結腸ストーマを造設した。パウチの交換に支援が必要となり,退院後は父親が自宅で介護をしていた。父親の介護負担が大きくなったため,居宅介護(ホームヘルプサービス)を利用することになった。

問題120

次のうち,Aさんの正常時の便の性状として,最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 水様から粥状
  2. 流動状から液状
  3. 半流動から粥状
  4. 泥状から軟便
  5. 軟便から固形状

正解は 5 です。

ストーマ(人工肛門)から排泄される便の性状は、造設された腸の部位によって大きく異なります。大腸は主に水分の吸収を担う器官であり、消化物が盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸へと進むにつれて水分が吸収され、通常の便へと近づいていきます。S状結腸は直腸の手前に位置し、大腸の終末部に近いため、ここで造設されたストーマから排泄される便は、通常の肛門から排泄される便とほぼ同様に水分が十分に吸収された「軟便から固形状」になります。

【他の選択肢が誤りである理由】

  • 選択肢1(誤り):水様から粥状の便は、小腸の終末部である回腸にストーマを造設した場合(回腸ストーマ)に見られる特徴です。回腸では水分の吸収がほとんど行われていないため、排泄物は著しく水分を多く含んだ状態になります。
  • 選択肢2(誤り):流動状から液状の便は、大腸の始端部である上行結腸にストーマを造設した場合(上行結腸ストーマ)に見られる特徴です。大腸に入ったばかりの段階であるため、水分の吸収がまだ十分に始まっていません。
  • 選択肢3(誤り):半流動から粥状の便は、横行結腸にストーマを造設した場合(横行結腸ストーマ)に見られる特徴です。上行結腸よりは水分が吸収されるものの、まだ固形を成すには至らない未消化に近い状態です。
  • 選択肢4(誤り):泥状から軟便の性状は、下行結腸にストーマを造設した場合(下行結腸ストーマ)に見られる特徴です。S状結腸の一歩手前の部位であるため、ある程度水分は吸収されていますが、S状結腸ストーマに比べるとやや水分を多く含みます。

問題121

ある日,訪問介護員(ホームヘルパー)にAさんから,「今度,父親と温泉に行くことになったが,便のにおいが気になる」と相談があった。

次のうち,訪問介護員(ホームヘルパー)がAさんに勧める食品として,最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. チーズ
  2. たまねぎ
  3. ヨーグルト
  4. にら
  5. アスパラガス

正解は 3 です。

ストーマ保有者(オストメイト)の排泄管理において、食事内容は排泄物やガスのにおいに直接影響を与えます。ヨーグルトや乳酸菌飲料、パセリ、葉緑素(クロロフィル)を含む食品などは、腸内環境を整えて不快なにおいを抑える「消臭作用(防臭効果)」がある食品として推奨されています。

【他の選択肢が誤りである理由】

  • 選択肢1(誤り):チーズなどの乳製品(特に熟成されたもの)や高タンパク質の食品は、腸内の悪玉菌によって分解・腐敗される際、アンモニアやインドール、スカトールといった強い悪臭を放つガスや便を生成する原因となります。
  • 選択肢2(誤り):たまねぎは、硫黄化合物(アリルプロピルジスルフィドなど)を多く含んでいるため、腸内で分解される際に強いにおいのもととなる硫化水素を発生させます。また、ガス(おなら)自体を発生させやすい食品でもあります。
  • 選択肢4(誤り):にらは、にんにくやたまねぎと同様に強いにおい成分であるアリシン(硫黄化合物)を含んでいるため、摂取するとパウチ内に溜まるガスや便のにおいを著しく強める性質があります。
  • 選択肢5(誤り):アスパラガスは、消化・代謝される過程でアスパラガス酸などの成分が分解され、排泄物(尿や便、ガス)に独特の強い刺激臭をもたらすことが知られている食品です。

問題122

ある日,訪問介護員(ホームヘルパー)がAさんの自宅を訪問したところ,Aさんの父親から,「地震のニュースを見たら,知的障害があり,ストーマの管理が必要な息子に対する災害時の対応が心配になった」と相談があった。訪問介護員(ホームヘルパー)は,相談支援専門員に状況を報告し,相談支援専門員とともにほかの利用者家族に確認したところ,同様に災害時の不安を感じている親が多く,この地域では個別避難計画の作成が遅れていることがわかった。そこで,訪問介護員(ホームヘルパー)はこの課題を地域の課題としてとらえ,サービス提供責任者や相談支援専門員とともに対応することを確認した。

次のうち,この地域課題の検討を働きかける場として,最も適切なものを1つ選びなさい。

(注)「協議会」とは,障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第89条3第1項に規定するものである。

  1. 協議会
  2. 運営適正化委員会
  3. 介護保険審査会
  4. 障害者政策委員会
  5. 地方更生保護委員会

正解は 1 です。

問題文の(注)にある通り、障害者総合支援法第89条の3第1項に規定されている「協議会」は、一般的に「自立支援協議会(または地域自立支援協議会)」と呼ばれる機関です。この協議会は、関係機関や専門職、当事者らが集まり、地域における障害福祉のネットワーク構築や、事例を通じて明らかになった「地域の共通課題・制度のはざまにある課題」を共有し、解決策を検討・具体化するための重要なプラットフォームです。事例では「個別避難計画の作成遅れ」という地域全体の共通課題が浮き彫りになっているため、この検討を働きかける場として最も適しています。

【他の選択肢が誤りである理由】

  • 選択肢2(誤り):運営適正化委員会は、社会福祉法に基づき都道府県の社会福祉協議会に設置されている機関です。主に福祉サービスに関する苦情の解決や、適切な運営の監視・福祉サービス利用支援事業(日常生活自立支援事業)の適正な運営を目的としており、地域の災害対策や避難計画の遅れといった地域課題を直接検討する場ではありません。
  • 選択肢3(誤り):介護保険審査会は、介護保険法に基づき都道府県に設置されている行政不服審査機関です。市町村が行った要介護認定の決定や保険料の徴収などに対する、利用者からの不服申し立て(審査請求)を審理・裁決する場であり、障害福祉や地域の防災計画に関する検討は行いません。
  • 選択肢4(誤り):障害者政策委員会は、障害者基本法に基づき内閣府に設置されている国の機関(審議会)です。障害者基本計画の策定・変更に関して意見を述べたり、実施状況を監視したりする「国の政策レベル」の場であり、一自治体や特定地域における個別避難計画の課題を検討する実務的な場ではありません。
  • 選択肢5(誤り):地方更生保護委員会は、更生保護法に基づき全国に8箇所(地方裁判所の管轄等に応じて)設置されている法務省の地方支分部局です。仮釈放の許可やその取り消しなど、犯罪をした人や非行のある少年の社会復帰や更生保護に関する審理を行う機関であり、障害福祉や地域の防災対策とは関係がありません。

総合問題4(Cパート3問)

次の事例を読んで,問題123について答えなさい。

〔事例〕

Aさん(50歳,男性,障害支援区分4)は,1年前の交通事故の後遺症で,右片麻痺,高次脳機能障害(higher brain dysfunction),失語症(aphasia)となった。現在は障害者支援施設で生活している。日中は,車いすに座って過ごしているが,すぐに右肩が下がり上半身は右へ傾いた姿勢になる。ある日,B介護福祉職がAさんに姿勢の傾きを直す方法を伝えようとすると,Aさんは大声でどなり,物を投げた。B介護福祉職は,以前からAさんとのコミュニケーションに悩んでいたため,C介護主任に相談することにした。C介護主任の問いかけに答えるなかで,B介護福祉職は自分自身の言動を振り返ることができ,Aさんに伝わらない焦りと,子どもに言い聞かせるような口調が,Aさんの感情を害していたことに気づいた。その後,コミュニケーション方法を工夫し,Aさんに姿勢の傾きを直す方法を説明し,同意を得ることができた。

毎週,Aさんは妻との面会を楽しみにしている。しかし,妻はAさんの将来に不安を感じて,B介護福祉職に,「夫の障害について,情報交換や勉強がしたい。そのようなところがあれば紹介してほしい」と相談した。

問題123

次のうち,C介護主任がB介護福祉職への対応に用いた手法として,最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. コンサルテーション(consultation)
  2. コーチング(coaching)
  3. フォロワーシップ(followership)
  4. ティーチング(teaching)
  5. メンバーシップ(membership)

正解は 2 です。

コーチング(coaching)は、対話を通じて相手に問いかけ、相手自身の気づきや主体的な行動変容を促すコミュニケーション技法です。事例において、C介護主任はB介護福祉職に対して一方的に指示や答えを与えるのではなく、「問いかけに答えるなかで、B介護福祉職が自分自身の言動を振り返る」環境を整えています。これにより、B介護福祉職は自身の「子どもに言い聞かせるような口調」がAさんの感情を害していたという自省と気づきに至っており、コーチングのプロセスそのものが展開されています。

【他の選択肢が誤りである理由】

  • 選択肢1(誤り):コンサルテーションは、異なる専門性を持つ専門職(コンサルタント)が、他職種や依頼者(コンサルティ)からの相談に対して、自身の専門知識や技術をベースに具体的な指導や客観的な助言・解決策を提示する手法です。
  • 選択肢3(誤り):フォロワーシップは、リーダー(上司など)を効果的に補佐し、組織やチームの目標達成に向けて自発的に貢献する部下側の能力や行動特性を指します。
  • 選択肢4(誤り):ティーチングは、指導者が持っている知識、技術、答えを、経験の浅い相手に対して一方的・直接的に伝達して教え込む手法です。C介護主任のように相手に振り返らせて気づきを促すアプローチとは異なります。
  • 選択肢5(誤り):メンバーシップは、集団や組織を構成する一員(メンバー)として、与えられた役割を全うし、集団の機能維持や目標達成に貢献する責任や意識を指します。

問題124

B介護福祉職は,Aさんが車いすで良肢位を保つことができるように,クッションを使用することにした。まず,B介護福祉職はAさんの上半身を起こし深く座り直してもらった。

次のうち,B介護福祉職がクッションを挿入する位置として,最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 背中とバックサポートの間
  2. 左大腿部と座面の間
  3. 両下腿とレッグサポートの間
  4. 右大腿部と左大腿部の間
  5. 右上肢と右アームサポートの間

正解は 5 です。

Aさんは交通事故の後遺症により「右片麻痺」があり、車いすに座っていると「すぐに右肩が下がり上半身は右へ傾いた姿勢になる」という状態にあります。麻痺側である右上肢は弛緩や筋緊張の異常によって重みで下垂しやすく、それに引っ張られる形で体幹の傾きや肩関節の亜脱臼を引き起こす原因となります。右上肢と右アームサポートの間にクッションを挿入して麻痺肢を適切に支持・挙上することは、右肩の下垂を防ぎ、上半身の右への傾きを修正して良肢位を保持するために不可欠な対応です。

【他の選択肢が誤りである理由】

  • 選択肢1(誤り):背中とバックサポート(背もたれ)の間に不適切なクッションを入れると、骨盤が後傾して仙骨座り(前方にずり落ちるような姿勢)になりやすく、体幹の側方への傾きを根本的に解決できません。
  • 選択肢2(誤り):Aさんは右片麻痺によって右側に傾いているため、非麻痺側である「左大腿部」と座面の間にクッションを入れると、身体がさらに右側へと傾いてしまい症状を悪化させます。
  • 選択肢3(誤り):両下腿とレッグサポートの間にクッションを挟んでも、上半身の崩れや右肩の下垂、体幹の側方への傾きを直接的に支える効果は得られません。
  • 選択肢4(誤り):右大腿部と左大腿部の間(両大腿の間)にクッションを挿入する対応は、主に股関節の内転拘縮を予防する場合などに用いられるものであり、上半身の傾きや右肩の下がりを補正する目的には合致しません。

問題125

妻の相談を受けたB介護福祉職がサービス管理責任者に報告をしたところ,ある社会資源を紹介することになった。

次のうち,B介護福祉職が妻に紹介した社会資源として,最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 福祉事務所
  2. 公共職業安定所(ハローワーク)
  3. 家族会
  4. 地域包括支援センター
  5. 地域障害者職業センター

正解は 3 です。

家族会は、同じような障害や病気を持つ人の家族が集まり、日々の介護の悩みや将来への不安を分かち合ったり、疾患やリハビリに関する情報交換・勉強会を行ったりするインフォーマルな社会資源です。Aさんの妻が訴えている「夫の障害について、情報交換や勉強がしたい」という心理的・教育的なニーズに対して、ピアサポート(当事者同士の支え合い)の機能を持つ家族会を紹介することは、孤立感を解消し不安を和らげる上で最も合致した支援となります。

【他の選択肢が誤りである理由】

  • 選択肢1(誤り):福祉事務所は、社会福祉法に基づき都道府県および市(特別区含む)に設置義務がある行政機関です。生活保護、身体障害者福祉、知的障害者福祉などの公的な福祉サービスの決定や措置、申請窓口を担う場であり、家族同士が対等な立場で情報交換や勉強会を行う民間主体のコミュニティではありません。
  • 選択肢2(誤り):公共職業安定所(ハローワーク)は、厚生労働省が設置する行政機関で、求職者への職業紹介や雇用保険の給付などを行います。障害者向けの専門窓口もありますが、主な目的は就職・就労支援であり、家族が将来の不安を相談したり、障害について勉強したりする場としては適していません。
  • 選択肢4(誤り):地域包括支援センターは、介護保険法に基づき市町村が設置する、地域の高齢者(原則65歳以上)の生活を総合的に支える機関です。50歳であるAさんは障害者支援施設に入所して障害福祉サービスを利用しており、高次脳機能障害や失語症に関する家族の勉強・交流の場を求めている今回のケースにおいて、最初に紹介する窓口としては専門性が異なります。
  • 選択肢5(誤り):地域障害者職業センターは、障害者雇用促進法に基づき独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が各都道府県に設置している専門機関です。障害者に対する職業リハビリテーション(職能評価や指導)や事業主への雇用管理サポートを専門としており、家族が障害についての知識を深め、生活上の不安を情報交換する場ではありません。

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