「老後資金が尽きたら終わり」ではありません。不安な夜に思い出してほしい、国が約束する「最後の砦」

ふと夜中に目が覚めて、こんな不安に襲われることはありませんか?

「もし、大きな病気をして医療費がかさんだら?」
「インフレで年金だけでは食べていけなくなったら?」
「貯金が底をついて、住む場所もなくなってしまったら……」

ニュースでは「老後2000万円問題」や「下流老人」といった怖い言葉ばかりが飛び交い、真面目に生きてきた人ほど「老後破産」の恐怖を感じているかもしれません。

ですが、どうか安心してください。
日本という国には、どんな状況になっても私たちを見捨てない「最強のセーフティネット」が張り巡らされています。

今回は、憲法が保障する私たちの「生きる権利」と、いざという時に頼れる具体的な相談先についてお話しします。

目次

貯金ゼロでも、あなたには生きる権利がある

日本国憲法第25条をご存知でしょうか?
学校で習った記憶があるかもしれませんが、ここにはこう書かれています。

「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」

これは、「お金がなくなった人は生きていけない」という社会にはしない、と国が国民全員に約束したものです。これを「生存権」と呼びます。

病気や失業、介護離職など、人生には予期せぬ落とし穴があります。もしそこで自力での生活が難しくなっても、国にはあなたの生活を支える義務があるのです。
「自分の努力が足りなかったからだ」と自分を責める必要はありません。これは恩恵ではなく、あなたが生まれながらに持っている「権利」なのですから。

「生活保護」は恥ずかしいこと?

セーフティネットの代表格が「生活保護制度」です。
しかし、特に高齢者世代の中には「お上(かみ)の世話になるのは恥」「家族に迷惑をかけたくない」と、限界まで我慢してしまう方が少なくありません。

でも、考えてみてください。
あなたがこれまで働いて納めてきた税金は、困っている誰かを支えてきました。今度はあなたが支えられる番になるかもしれない、ただそれだけのことです。

制度を利用して生活を立て直し、安心して暮らすこと。それは決して恥ずかしいことではありません。

不安を解消するための「相談の場所」

「最後の砦がある」と知っているだけで、心の持ちようは変わります。
さらに安心を強めるために、困窮する手前で相談できる専門家やサービスを知っておきましょう。

1. 家計の健康診断「ファイナンシャルプランナー(FP)」

「漠然とした不安」の正体は、「現状が見えていないこと」にあります。
一度、プロのファイナンシャルプランナーに家計診断を依頼してみませんか?
「このペースで使っても大丈夫」「ここを削れば100歳まで持つ」といった具体的な数字が出れば、無用な心配は消え去ります。自治体の無料相談会を利用するのも良いでしょう。

2. 福祉の総合窓口「地域包括支援センター」

高齢者の暮らしの悩みなら、まずはお住まいの地域の「地域包括支援センター」へ。
介護のことだけでなく、「生活費が苦しい」「医療費が払えない」といった相談にも乗ってくれます。必要であれば、生活保護の手続きや、家賃補助の制度などへ繋いでくれる頼もしい存在です。

3. 無料で医療が受けられる「無料低額診療事業」

「お金がないから病院に行けない」という事態を防ぐため、経済的に困っている人に無料または低額で診療を行っている病院があります(無料低額診療事業)。
お近くの実施医療機関を調べておくだけでも、「いざとなればここに行けばいい」というお守りになります。

まとめ

「お金の切れ目が命の切れ目」ではありません。
日本には、あなたを守るための法律と制度がちゃんと用意されています。

「困ったら、堂々と助けを求めていい」
そう思えることこそが、老後を心穏やかに過ごすための一番の準備なのかもしれません。

「困ったら国を頼っていい」。これを知っているだけで強くなれます。
今回お話しした「健康で文化的な最低限度の生活」。これは日本国憲法第25条で定められた「生存権」という、私たち全員が持つ強力な権利です。
この知識があれば、介護福祉士の国家試験問題もすぐに解けるはず。自分を守るための知識として、ぜひ確認してみてください。
👉 【挑戦!】実際の試験問題を見てみる

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