「来月からショートステイを使いたいから、ケアマネジャーさんにお願いしておこう」
そう考えて、すべての手続きをケアマネジャー任せにしていませんか?
ショートステイ(短期入所生活介護)は、冠婚葬祭や旅行、あるいは介護者の休息(レスパイト)のために数日間家を空ける際、とても頼りになるサービスです。
利用にあたっては様々な書類にサインをすることになりますが、その中に「誰が作ったかわからない計画書」が混ざっていることがあります。
「ケアマネさんが作ってくれたんでしょ?」と思われがちですが、実は違います。
今回は、意外と知られていないショートステイの「計画作成」のルールと、いざという時に役立つ「緊急時の受け入れ」についてお話しします。
施設での過ごし方を決めるのは「施設の人」
介護保険のサービスを利用するには、大元となる「ケアプラン(居宅サービス計画)」が必要です。これは皆さんの担当ケアマネジャーが作成します。
しかし、ショートステイを利用する際に作られる「短期入所生活介護計画(個別計画書)」については、担当のケアマネジャーではなく、施設の管理者(または生活相談員などのスタッフ)が作成するという決まりがあります。
なぜなら、施設の中でどう過ごすか、どんなお世話が必要かを一番よく判断できるのは、実際にサービスを提供する施設のスタッフだからです。
「お任せ」にせず、要望を伝えよう
計画書が別にあるということは、施設側と直接話し合うチャンスがあるということです。
「家ではこうしているから、施設でも続けてほしい」
「リハビリを兼ねて、歩く機会を増やしてほしい」
こうした具体的な要望は、ケアマネジャー経由だけでなく、施設の計画担当者に直接伝えるとよりスムーズに反映されます。契約や面談の際には、「どんな計画になっていますか?」と中身をしっかり確認しましょう。
「満床」でも受け入れてくれる?緊急時の特例
ショートステイは人気があり、なかなか予約が取れないことでも有名です。
しかし、人生には予期せぬトラブルがつきものです。
「介護していた私が急病で倒れてしまった」
「虐待の恐れがあり、すぐに親を避難させたい」
そんな緊急事態が発生した時、「満床だから無理です」と断られてしまったら途方に暮れてしまいますよね。
実は、こうした「やむを得ない事情」がある場合に限り、定員を超えていても受け入れてもらえる特例が存在します。
通常は使わない「静養室(休むための部屋)」や相談室などを活用して、緊急的に宿泊対応を行うことが認められているのです。
もちろん施設側の体制にもよりますが、「急なトラブルでどうしても預け先がない!」という時は、諦めずにケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してみてください。
食事や医療の連携はどうなっている?
数日間とはいえ、親御さんを預けるとなると「食事」や「医療」のことも心配になりますよね。
ショートステイの運営には、利用者の安全を守るための厳しいルールがあります。
食事はプロたちが会議で決めている
ただ漫然と食事を出しているわけではありません。
医師や管理栄養士などが参加する会議を開き、利用者の身体状況や栄養状態に合わせて献立や形態(刻み食やミキサー食など)を検討することが義務付けられています。
好き嫌いやアレルギーがあれば、遠慮なく伝えて対応してもらいましょう。
近くに「協力医療機関」がある
特養などの生活施設には医師が常駐していないこともありますが、緊急時にすぐ搬送や対応ができるよう、近距離にある病院などを「協力医療機関」として定めておくことが求められています。
契約時に「どこの病院と提携していますか?」と確認しておくと、より安心できるでしょう。
まとめ:仕組みを知れば、もっと安心して預けられる
ショートステイは、単なる「宿泊所」ではありません。専門家たちがチームを組み、計画を持ってケアを行う場所です。
- 計画書は施設が作る(だから施設にも要望を伝える)
- 緊急時は柔軟な対応が可能(諦めずに相談する)
- 食事や医療のバックアップ体制がある
これらの仕組みを知っておくことで、後ろめたい気持ちではなく、前向きな気持ちでサービスを利用できるようになるはずです。
