「夢ばかり見て疲れる」は誤解?親の物忘れを防ぐために必要な『眠りの正体』とは

「最近、変な夢ばかり見て、なんだかぐっすり眠れた気がしないのよ」

朝、起きてきた親御さんがそんなふうにぼやいているのを聞いたことはありませんか?
「夢を見る=浅い眠り=良くないこと」と思われがちですが、実はその「夢を見ている時間」こそが、高齢者の脳にとって非常に重要な役割を果たしていることをご存知でしょうか。

「最近、物忘れが増えた気がする」
「昨日の晩ごはん何だったっけ?」

そんな親御さんの記憶力の悩み、もしかしたら睡眠の質、特に「夢を見る睡眠」との付き合い方にヒントがあるかもしれません。
今回は、私たちの脳を守る睡眠のメカニズムと、快眠を手に入れるための工夫についてお話しします。

目次

眠りには「脳を休める時間」と「記憶を整理する時間」がある

私たちの睡眠は、大きく2つの種類に分けられます。

  1. ノンレム睡眠(深い眠り)
    脳も体もぐったりと休んでいる状態。脳の疲労回復や、成長ホルモンの分泌が行われます。「寝た気がする!」という満足感はこの時に得られます。
  2. レム睡眠(浅い眠り)
    体は休んでいますが、脳は活発に動いている状態。この時に私たちはよく「夢」を見ます。

実は、この「レム睡眠(夢を見ている時間)」こそが、「記憶の整理・定着」を行っている重要な時間なのです。
日中に見聞きした膨大な情報を、脳が必要なものと不要なものに仕分けし、「長期記憶」として倉庫にしまっていく作業。それがレム睡眠中に行われています。

つまり、夢を見ている親御さんは、脳が一生懸命「今日の出来事を忘れないように整理している最中」なのです。
「夢ばかり見る」と嘆く必要はありません。「脳がしっかりメンテナンスされている証拠だよ」と伝えてあげてください。

高齢者は「浅い眠り」が増えるのが自然

年をとると、どうしても「深い眠り(ノンレム睡眠)」が減り、夜中に何度も目が覚めたり、朝早く起きてしまったりします。
これは加齢による自然な変化です。

無理に長時間眠ろうとして布団の中に居続けると、かえって浅い睡眠がダラダラと続き、睡眠の質が悪くなってしまいます。
大切なのは「長さ」よりも「リズム」です。深い眠りと浅い眠りの波をスムーズに繰り返すことで、脳は休息と記憶の整理を効率よく行えます。

「記憶」を守るための快眠サポート術

では、脳がしっかりと記憶を整理できるよう、睡眠の質を高めるためにはどうすれば良いのでしょうか。便利なツールを活用して、環境を整えましょう。

1. 自分の眠りを可視化する「スマートウォッチ・睡眠計」

「眠れていない」と思い込んでいるだけで、実はしっかり寝ていることもよくあります。
手首につける「スマートウォッチ」や、枕元に置くタイプの「睡眠計測アプリ」を使ってみましょう。
「深い睡眠」「レム睡眠」のサイクルがグラフで見えると、「あ、意外と良いリズムで眠れているな」と安心感につながり、それがまた快眠を呼びます。

2. 体内時計をリセットする「光目覚まし時計」

夜の睡眠の質は、朝に決まります。
朝、強い光を浴びることで体内時計がリセットされ、夜になると自然と眠くなるホルモン(メラトニン)が出ます。
カーテンを開けるのが億劫な場合は、設定時刻になると徐々に明るくなる「光目覚まし時計」や、自動で開く「スマートカーテン」を活用してみてください。自然な光で目覚めることで、自律神経も整います。

3. 寝る前の儀式を作る「アロマ・ホワイトノイズ」

脳を「お休みモード」に切り替えるスイッチを作りましょう。
ラベンダーなどのリラックスできる香りを「アロマストーン」に垂らしたり、雨音や波の音などの「ホワイトノイズマシン」を使ったりするのがおすすめです。
「この香りがしたら寝る時間」と脳に覚え込ませることで、スムーズな入眠を促せます。

まとめ

「夢を見る」ことは、脳が記憶をつなぎ止めている大切な作業音のようなものです。

「昨日どんな夢を見た?」
朝の食卓でそんな会話をすることは、親御さんの記憶の再確認にもなり、脳への良い刺激になります。
夢の話を楽しみながら、質の良い睡眠リズムを一緒に作っていきましょう。

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