「自分でやって」は逆効果?親のリハビリで家族が陥りやすい「スパルタの罠」と正しい見守り方

親御さんの介護をしていると、お医者さんやケアマネジャーからこんな言葉を言われませんか?
「残された機能を維持するために、できることは自分でやってもらいましょう」

これは「自立支援」と呼ばれるとても大切な考え方です。親御さんのためを思えばこそ、心を鬼にして「ほら、自分で着替えられるでしょ」「車椅子、自分で漕いで」と励ましている方も多いと思います。

しかし、親御さんがふと「今日は体が痛いから手伝って……」と言ってきた時、あなたならどう返しますか?
「甘えちゃダメ! リハビリにならないよ」と突き放していませんか?

実はその「正論」が、かえって親御さんの意欲を奪ってしまうことがあるのです。今回は、家族が陥りやすい「リハビリのスパルタ化」と、本当に親のためになる対応についてお話しします。

目次

「できること」と「やりたいこと」は違う

例えば、脳梗塞の後遺症で片麻痺があるお母様がいるとします。
リハビリの先生からは「訓練すれば車椅子を自分で漕げる」と言われています。家族としても、少しでも元気でいてほしいから「自分で漕いで」と願います。

でも、ある日突然「今日は腕が痛いから押して」とお母様が言ってきたら。

ここで真面目なご家族ほど、こう考えがちです。

  • 「ここで手伝ったら癖になる」
  • 「サボっているだけじゃないか」
  • 「約束と違う」

ですが、ちょっと立ち止まって考えてみてください。私たち現役世代でも、仕事ができる能力はあるけれど、「今日は頭痛がして仕事にならない」「精神的に落ち込んでいて動けない」という日はありませんか?

高齢者も同じです。「機能的にできる(能力)」ことと、「その瞬間にできる(状態・意欲)」ことは別物なのです。

まず「理由」を聞くことが、信頼への第一歩

もし親御さんが「手伝って」と言ってきたら、即座に「ダメ」と否定するのではなく、まず「どうしてそう思うの?」と理由を聞いてみてください。

  • 本当に身体的な痛みがあるのか(怪我や病気のサインかも?)
  • 精神的に疲れて甘えたいのか
  • ただ単に注目してほしいのか

理由がわかれば、「じゃあ今日は半分だけ手伝うね」「痛みが引くまで休もうか」と、柔軟な対応ができます。
「自分の訴えを聞いてくれた」という安心感こそが、「また明日から頑張ろう」という次の意欲を生み出すのです。

頑張らせすぎないための「プロとツールの活用法」

とはいえ、家族だけで「飴と鞭」を使い分けるのは精神的に疲れますし、医学的な判断も難しいですよね。
家族関係を悪化させずにリハビリを続けるために、外部の力や便利なツールを頼りましょう。

1. リハビリ特化型デイサービス(通所介護)

家で家族が指導すると、どうしても感情的になって喧嘩になりがちです。
「機能訓練」に特化したデイサービスを利用し、リハビリはプロにお任せするのも一つの手です。「先生に褒められたいから頑張る」という高齢者は意外と多いもの。
家では「リハビリしないの?」と叱る役ではなく、「今日もお疲れ様」とお茶を出す役になりましょう。

2. 見守りカメラ・センサー

「一人で動けると言っていたけど、本当に大丈夫?」と心配で、つい過干渉になってしまうなら、ITツールを活用しましょう。
最近は、プライバシーに配慮した「見守りセンサー(動きがあった時だけ通知)」「双方向通話ができる見守りカメラ」も安価で手に入ります。
「監視」ではなく「安全確認」のために導入し、危険がない限りは手出し口出しせず、見守る距離感を保つのに役立ちます。

3. 福祉用具の見直し(電動車椅子など)

「自力で漕ぐ」ことにこだわりすぎて、移動そのものが億劫になり、部屋に引きこもってしまっては本末転倒です。
思い切って「電動車椅子」をレンタルするのも選択肢の一つです。「自分で好きなところに行ける」楽しみが、生きる意欲(QOL)を高めることもあります。

まとめ

「自立」とは、何でも一人でやることだけを指すのではありません。
「痛い時は痛いと言える」「手伝ってほしい時に頼れる」ことも、立派な自立した生活の一部です。

「今日はどうしたの?」
その一言が言える余裕を持つこと。それが、長く続く介護生活で一番大切なことかもしれません。

「甘やかし」と「優しさ」の違い、わかりますか?
親御さんが「手伝って」と言ったとき、どう返すのが正解か。実はこれ、介護のプロにとっても超難問であり、国家試験に出るほど重要なテーマなんです。
今のあなたなら、プロと同じ視点で答えられるかもしれません。ぜひ実際の試験問題で力試しをしてみてください。
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