85歳が分かれ道。親と自分の「もしも」に備える数字の真実

「親もだいぶ歳をとったけれど、いつまで元気でいてくれるだろうか」
「自分たちが老後を迎えた時、夫婦でどう暮らしているんだろう」

ふと、そんな未来のことが頭をよぎることはありませんか?
漠然とした不安は、具体的な「目安」を知ることで、前向きな準備に変えることができます。

実は、国の統計データを見ると、年齢や性別によって「介護が必要になる確率」が驚くほど明確に変わるタイミングがあるのです。
この記事では、最新のデータから読み解く「老後のリアルな姿」と、それを踏まえて今から私たちができる備えについてお話しします。

目次

85歳を境に景色が変わる。「2人に1人」の現実

私たちは普段、「高齢者」という言葉で65歳以上の方を一括りにしてしまいがちです。しかし、体の変化という視点で見ると、そこには大きな「壁」が存在します。

それが「85歳の壁」です。

統計によると、65歳以上の高齢者全体で見た場合、介護保険の認定(要支援・要介護)を受けている人は約2割にとどまります。つまり、8割の方は元気にお過ごしです。
ところが、これが85歳を超えると、認定を受けている人の割合は50%を超えます(約60%)。

85歳を過ぎれば、誰かの手を借りて生活することが「特別」ではなく「当たり前」になるのです。
親御さんがまだ70代なら「まだ大丈夫」かもしれませんが、85歳という年齢は、生活スタイルを見直す大きな節目であると心に留めておいてください。

なぜ「女性」の方が介護サービスを利用するのか

もう一つ、知っておきたい意外な事実があります。それは、介護認定を受けている人数は、男性よりも女性の方が圧倒的に多い(約2倍)ということです。

「女性の方が元気で長生きなイメージがあるのに、なぜ?」と思われるかもしれません。
実は、その「長生き」こそが理由の一つです。

  1. 平均寿命の違い: 女性の方が長生きするため、高齢者人口そのものに女性が多い。
  2. 家族構成の変化: 男性は妻に介護してもらえるケースが多い一方、女性は夫を見送った後に独り暮らしとなり、頼れる家族が同居していないため、介護サービス(プロの手)を必要とするケースが多い。

つまり、女性にとっての老後は、「おひとりさま」で過ごす期間が長くなる可能性が高いということです。これは、娘であるあなた自身や、奥様の将来を考える上でとても重要な視点です。

「介護=寝たきり」ではありません

ここまで読むと、「半分以上の人が介護状態になるなんて…」と暗い気持ちになった方もいるかもしれません。でも、安心してください。

「介護認定」といっても、その中身は様々です。
一番重い「要介護5(寝たきり等)」の状態が最も多いわけではありません。
実際には、「要介護1」などの軽度な方や、「要支援」の方が最も多いのです。

これは、「何もかも自分ではできない」のではなく、「掃除や買い物など、部分的な手助けがあれば自宅で暮らせる」という状態を指します。
日本の介護は、重くなってから支えるだけでなく、今の生活を維持するための「ちょっとした手助け」として機能しているのです。

知識を「安心」に変える3つのアクション

こうした「85歳の壁」や「女性の独居リスク」といった現実を知った上で、私たちはどう備えればよいのでしょうか。明日からできるアクションを3つご提案します。

1. 85歳を「住み替え・見守り」検討の目安にする

親御さんが元気なうちは無理に話す必要はありませんが、「85歳」という数字を一つの目安にしましょう。
「85歳を過ぎて、もし一人での生活が大変になったら、同居がいい? それとも便利なサービス付きの住宅がいい?」といった会話を、元気なうちに少しずつ始めてみてください。

2. 女性は「地域とのつながり」を大切に

特に女性(お母様やご自身)は、将来一人になる可能性を考えて、家族以外の「社会との接点」を持ち続けることが大切です。
趣味のサークル、近所付き合い、デイサービスなど、夫以外の人と話せる場所があることが、将来の孤立を防ぎ、心の健康を支える命綱になります。

3. 「プロに頼る」ハードルを下げておく

「介護=寝たきり」ではなく、「生活の不便を補うサービス」だと認識を改めましょう。
家事代行や配食サービスなど、介護保険外の便利なサービスも増えています。
「人に頼るのは悪いことじゃない」「楽をするためのサービスがある」と、親御さんも自分自身も、心のハードルを下げておくことが、いざという時のスムーズな利用につながります。

まとめ

「85歳を超えたら2人に1人」。この数字は、決して怖い予言ではありません。
「長生きすれば、誰でも人の手を借りる時が来る」という、当たり前の事実を示しているだけです。

その時が来ても慌てないように、まずは正しい知識を持ち、家族で「これから」について明るく話すきっかけにしてみてくださいね。

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