親が「要支援」になったら知っておきたい。「やってあげる」だけじゃない介護予防の心得

「親が『要支援』の認定を受けたけれど、まだ自分のことはある程度できているし、どのようなサービスを受ければいいかわからない」
「認定が出たからには、家事などを全部ヘルパーさんにやってもらったほうが楽になるのかな?」

介護保険の認定結果が「要支援1・2」だった場合、ご家族は少しほっとすると同時に、これからどう関わっていくべきか迷われることが多いようです。

要支援の方を対象とした「介護予防支援」は、いわゆるドップリとした介護(お世話)とは少し目的が異なります。
今回は、親御さんがいつまでも自分らしく元気でいるために、ケアプランを作る専門家たちが大切にしている「基本姿勢」と、利用時に注意が必要な「リハビリのルール」についてお話しします。

目次

「やってあげる」ことだけが優しさではない

要支援の方へのサポートで最も重視されるのは、「本人のやる気(意欲)を引き出し、自分でできることを増やすこと」です。

ご家族としては、高齢の親御さんが家事で苦労している姿を見ると、「私がやってあげたほうが早いし、親も楽だろう」と思ってしまいがちです。また、ヘルパーさんにも「全部やってください」と頼みたくなるかもしれません。

しかし、介護予防の視点では、過剰な手助けは逆効果になることがあります。
「やってもらう」ことに慣れてしまうと、自分で体を動かす機会が減り、あっという間に筋力や認知機能が低下してしまうからです。

プロは「自分でやる」を応援するプランを作る

地域包括支援センターなどの担当者は、「掃除が大変なら、全部ヘルパーがやります」という画一的なプランは作りません。

「高いところの掃除は手伝うけれど、床掃除は一緒にやりましょう」
「買い物は一緒に行って、荷物持ちを手伝いますね」

このように、「親御さんが自分でできること」は残しつつ、主体的に生活に関われるようなプラン(介護予防サービス計画)を、その人の個性に合わせてオーダーメイドで作成します。
ご家族も、「見守ることも介護の一つ」と捉え、本人の「自分でやりたい」という気持ちを大切にしてあげてください。

専門的なリハビリ(デイケア)には「医師の指示」が必須

「足腰が弱ってきたから、専門的なリハビリを受けさせたい」
そう考えて、「通所リハビリテーション(デイケア)」の利用を検討される方も多いでしょう。

デイサービス(通所介護)と似ていますが、デイケアは理学療法士などの専門職によるリハビリが中心のサービスです。
ここで一つ、重要なルールがあります。

それは、「利用には必ず『主治医の指示』が必要である」ということです。

「予防のためのリハビリなんだから、もっと気軽に使えないの?」と思われるかもしれませんが、リハビリテーションは医療行為の一環です。お医者さんが「この人にはリハビリが必要だ」と判断しなければ、プランに組み込むことはできません。

利用を希望する場合は、担当者を通じて、あるいは直接受診の際に、かかりつけ医に相談する必要があります。

介護度が変わっても、支援は途切れない

高齢者の体調は変化しやすいものです。
「要支援」から「要介護」に進んでしまったり、逆にリハビリを頑張って「自立」判定に戻ったりすることもあります。

「状態が変わったら、また一から関係作り直し?」と不安になるかもしれませんが、制度上、支援は途切れないように配慮されています。

地域包括支援センターやケアマネジャーは、介護保険のサービスだけでなく、地域のボランティア活動やサロン、自治体の独自サービスなどとも連携しています。
もし介護保険の対象から外れても、地域の別のサービスにつなげるなど、一貫性のあるサポートが受けられる仕組みになっています。

まとめ:相談先は「地域包括支援センター」

要支援の方のプラン作成や相談は、お住まいの地域の「地域包括支援センター」が担当します(一部、委託を受けた居宅介護支援事業所が行うこともあります)。

ここには、保健師や社会福祉士、主任ケアマネジャーなどの専門職が配置されており、チームで皆さんを支えています。

「まだ元気だから」と遠慮せず、これからの生活をどう楽しんでいくか、早めに専門家に相談してみてください。それが、親御さんの「自立した生活」を長く守る一番の近道です。

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