親が痩せてきたら要注意!誤嚥と低栄養を防ぐ食事ケアの鉄則

「最近、親の食が細くなって痩せてきた気がする」
「お茶を飲むたびに『ゴホッ』とむせているのが心配」

久しぶりに実家に帰ったり、日々の介護の中で、親御さんの「食事」に関する変化に気づくことはありませんか?
若い頃なら「痩せてよかった」で済む話も、高齢者にとっては命に関わる重大なサインであることがあります。

食べることは、生きる喜びであり、元気を支える源です。しかし、体の機能が衰えてくると、その食事が思わぬリスクに変わってしまうことも……。

今回は、高齢者の健康を守るために知っておきたい「低栄養」の怖さと、食事中の事故(誤嚥)を防ぐための具体的なポイントについてお話しします。

目次

高齢者の敵は「メタボ」ではなく「低栄養」

私たちは普段、「太り過ぎは良くない」「カロリーを控えよう」という健康意識を持っています。いわゆるメタボ対策です。
しかし、高齢者に関して言えば、その常識は逆になります。

高齢になると代謝が落ち、消化機能も弱まるため、放っておくと栄養不足になりがちです。
この状態で「粗食が一番」などとエネルギー摂取を控えてしまうと、筋肉や体力が極端に落ちる「低栄養(ていえいよう)」という状態に陥ってしまいます。

低栄養になると、免疫力が下がって風邪を引きやすくなったり、転倒しやすくなったりと、悪いことづくめです。
高齢者の食事は、「カロリー制限」ではなく「しっかり栄養(エネルギー)をとること」が基本だと覚えておきましょう。

「体重」は正直な健康バロメーター

「ちゃんと食べてるよ」と親御さんが言っても、実際はパン1個で済ませていることもあります。
栄養状態を客観的に知る一番の方法は、定期的な「体重測定」です。
もし、ダイエットもしていないのに体重が減り続けているなら、それは体からのSOSです。早めに医師やケアマネジャーに相談しましょう。

「むせ」は肺炎のサイン?安全に食べる工夫

食事中にお茶や汁物でむせるのは、飲み込む力(嚥下機能)が弱まっている証拠です。
これを「年のせい」と放置すると、食べ物や飲み物が気管に入ってしまう「誤嚥(ごえん)」を起こし、それが原因で「誤嚥性肺炎」を引き起こすリスクがあります。

安全に食事を楽しんでもらうために、家庭でできる工夫がいくつかあります。

1. サラサラした水分には「とろみ」を

水やお茶のようにサラサラした液体は、喉を流れるスピードが速すぎて、高齢者の喉の動きが追いつきません。
ドラッグストアなどで売られている「とろみ剤」を使って、飲み物に薄いとろみをつけてあげると、喉をゆっくり流れるようになり、むせ込みを劇的に減らすことができます。

2. スプーンは「小さく・浅く」が正解

食事介助をする際、早く食べてほしいからと、カレー用の大きなスプーンを使って山盛りで口に運んでいませんか?
これは非常に危険です。口の中に食べ物を詰め込みすぎると、噛むのも飲み込むのも追いつかず、窒息の原因になります。

スプーンは「口のサイズに合った、少し小さめで浅いもの」を選び、一口の量を少なめにして、ゆっくり味わってもらうのが安全の鉄則です。

忙しい時は「配食サービス」も見守り役に

「毎日、栄養バランスの整った食事を作るのは大変」
「離れて暮らしているから、ちゃんと食べているか心配」

そんな時は、介護保険外のサービスや自治体が実施している「配食サービス(お弁当の宅配)」を活用するのも一つの手です。

これらのお弁当は、高齢者向けに栄養バランスや柔らかさが調整されているだけでなく、「安否確認」の役割も果たしてくれます。
配達員が手渡しを原則としているため、「お弁当を届けに行ったら応答がない」といった異変にいち早く気づき、家族に連絡してくれる仕組みがあるのです。

まとめ:食事は「楽しさ」と「安全」のバランスで

食事は毎日のことだからこそ、無理なく安全に続けたいものです。

  • 体重を測って「低栄養」を防ぐ
  • 「とろみ」や「小さいスプーン」で誤嚥を防ぐ
  • 大変な時は「配食サービス」に頼る

これらの知識をお守りにして、親御さんの「美味しい」という笑顔を少しでも長く守っていきましょう。

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