ポータブルトイレで「出ない」と苦しむ親に。薬を増やす前に試してほしい「ロダンのポーズ」

「夜中のトイレが心配だから、ポータブルトイレを買った」
「でも、座ってもなかなか出なくて、親も私も疲れてしまう…」

せっかく便利な道具を導入したのに、肝心の排泄がスムーズにいかず、悩んでいるご家族は多いものです。
「やっぱり環境が変わったから緊張しているのかな?」
「便秘薬を増やしてもらったほうがいいのかな?」

そう考える前に、まずは「トイレに座っている時の姿勢」をチェックしてみてください。
実は、背筋を伸ばして綺麗に座っていると、構造上、便は出にくいのです。

今回は、人間の体の仕組みに基づいた「最も排泄しやすい姿勢」と、親御さんがリラックスして用を足せる環境づくりについてお話しします。

目次

まっすぐ座ると、出口が閉じてしまう?

私たちの腸の出口(直腸と肛門)は、普段は便が漏れないように「くの字」に折れ曲がっています。
排泄する時は、この折れ曲がりを真っ直ぐにして、通り道を確保してあげる必要があります。

背筋を伸ばして直角に座ったままだと、この「くの字」が解消されず、ホースを踏んでいるような状態になります。これでは、いくらいきんでも便は出てきません。

そこで有効なのが、「前かがみ」の姿勢です。
体を前に倒すことで、直腸と肛門が一直線になり、無理なくスルッと出やすくなります。さらに、お腹に力が入りやすくなり(腹圧)、排便を助けます。

目指すは「考える人」のポーズ

親御さんがポータブルトイレに座ったら、以下のポイントを確認し、サポートしてあげてください。

1. 足の裏を床にペタリとつける

足が浮いていると踏ん張れません。椅子の高さを調整するか、足元に「踏み台」や雑誌の束などを置いて、足裏全体がしっかりつくようにします。

2. 手すりを持って、お辞儀をする

「ロダンの考える人」のように、肘を膝につけたり、手すりを掴んで体を前に倒してもらったりします。
これが、便の通り道を開く「快便のポーズ」です。

3. 排泄中は「ひとり」にする

姿勢と同じくらい大切なのが「リラックス」です。
誰かに見られている緊張感(交感神経の興奮)は、便意を引っ込めてしまいます。
安全確保は必要ですが、ジッと目の前で立って待つのはNGです。カーテンで仕切ったり、「終わったらブザーで呼んでね」と部屋の外に出たりして、プライバシーを守ってあげましょう。

家族のストレスを減らす「ニオイ・汚れ対策」

ポータブルトイレは部屋の中に置くため、ニオイや汚れの問題が家族のストレスになりがちです。便利なグッズで快適な空間を保ちましょう。

1. 床を守る「防水・消臭マット」

トイレの下には新聞紙ではなく、専用の「防水・消臭マット」を敷きましょう。
新聞紙は滑って転倒の原因になりますし、見た目も寒々しいものです。専用マットなら、こぼしてもサッと拭け、ニオイも吸着してくれます。

2. 水に入れるだけの「消臭液」

バケツの水にあらかじめ「ポータブルトイレ用消臭液」を入れておくと、排泄物のニオイが劇的に抑えられます。色付きのものなら、排泄物が直接見えにくくなる効果もあります。

まとめ

「出ない、出ない」と焦らせるのは、親御さんにとって一番のストレスです。

「ゆっくりでいいよ。前かがみになると楽だよ」
そう声をかけて、しばらく一人の時間を作ってあげてください。
姿勢を少し変えるだけで、トイレの悩みは驚くほど解決するかもしれません。

「トイレでは前かがみ」。これが快便の秘訣であり、国家試験の正解です。
なぜ前傾姿勢が良いのか。それは「直腸と肛門の角度」が関係しているからです。
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