親の「昼間の居眠り」は足のせい?本人が気づかない睡眠トラブル「足ピク」の正体

「お父さん、またテレビ見ながら寝てるの?」
「夜あんなに早く寝たのに、どうして昼間もずっと眠いの?」

実家に帰った時、親御さんが日中ずっと船を漕いでいる姿を見て、心配になったり、少しイラッとしたりしたことはありませんか?
本人は「夜はぐっすり寝ているよ」と言うけれど、どうも様子がおかしい。

実はその眠気、「寝ている間の足の動き」が原因かもしれません。

今回は、本人は全く自覚がないまま、睡眠中に足が勝手に動いて脳を覚醒させてしまう厄介な病気、「周期性四肢運動障害」についてお話しします。

目次

寝ている間にマラソンをしている?

「周期性四肢運動障害」。難しい名前ですが、簡単に言えば「寝ている間に足(時には手)がピクピク、蹴るように勝手に動いてしまう病気」です。

怖いのは、この動きが数十秒おきに一晩中繰り返されることです。
本人は眠っているつもりでも、足が動くたびに脳は「ハッ!」と起こされ、覚醒状態に近いレベルまで引き戻されてしまいます。

つまり、体はベッドに横たわっていても、脳と足は一晩中マラソンをしているようなもの。これではいくら寝ても疲れが取れず、昼間に強烈な眠気に襲われるのも無理はありません。

「むずむず脚」とは違うの?

よく似た病気に「むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)」があります。
こちらは「脚がムズムズして気持ち悪いから、動かさずにはいられない」という自覚症状があります。

しかし、今回ご紹介している「周期性四肢運動障害」は、本人に自覚症状がほとんどないのが特徴です。
「足が勝手に動いているよ」と伝えても、「そんなはずはない」と否定されることが多いのです。だからこそ、発見できるのは隣で寝ているパートナーや、様子を見守る家族だけなのです。

家族が見逃してはいけない3つのサイン

もし親御さんに次のような様子が見られたら、この病気を疑ってみてください。

  1. 足元の布団だけが乱れている
    朝起きた時、掛け布団が足元だけめくれ上がっていたり、蹴飛ばされていたりしませんか?
  2. スネや足首に謎のアザがある
    寝ている間に無意識に足を蹴り合わせたり、壁にぶつけたりして、身に覚えのないアザができていることがあります。
  3. 一緒に寝ると「蹴られる」
    旅行などで一緒の部屋に寝た時、「一定のリズムで足をピクつかせている」様子があれば要注意です。

証拠をつかんで病院へ!役立つツール

本人は「寝ている」と主張する場合、病院に連れて行くには説得材料が必要です。文明の利器を使って「証拠」を集めましょう。

1. 睡眠の質を測る「睡眠計測アプリ・デバイス」

スマホの「いびき録音・睡眠計測アプリ」や、手首につける「スマートウォッチ」を使ってみましょう。
「深い睡眠」が極端に少なかったり、体動が頻繁に記録されていたりすれば、客観的なデータとして医師に見せることができます。

2. 足元を映す「見守りカメラ」

どうしても信じてもらえない場合は、夜間モードのある「見守りカメラ」を足元に向けて設置し、一晩だけ録画させてもらうのも手です。
自分の足が勝手に動いている映像を見れば、親御さんも「これはおかしい」と納得し、受診を決意してくれるはずです。

3. カフェイン・タバコを控える

受診までの間、すぐにできる対策もあります。
コーヒーやお茶に含まれる「カフェイン」や、タバコの「ニコチン」は、症状を悪化させることが分かっています。
「夕方以降はカフェインレスの飲み物にしよう」と提案するだけでも、症状が和らぐかもしれません。

まとめ

昼間の居眠りは、「やる気がない」のではありません。「夜、脳が休めていない」のです。

「お父さんの足、夜中にダンスしてたよ」
そんなふうにユーモアを交えて伝えて、一度「睡眠外来」や「神経内科」の受診を勧めてみてください。ぐっすり眠れるようになれば、昼間の笑顔もきっと戻ってきます。

「夜中に足が動く病気がある」。これを知っている家族はヒーローです。
本人が「異常なし」と言っているのに、観察から睡眠障害を見抜く。これは介護のプロでも難しい高度なアセスメント(評価)能力です。
「むずむず脚症候群」との違いまで理解できれば、国家試験の問題も怖くありません。ぜひ実際の試験問題で確認してみてください。
👉 【挑戦!】実際の試験問題を見てみる

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