親の背中が小さくなったら要注意。「骨粗鬆症」は骨折へのカウントダウン!寝たきりを防ぐために家族ができること

久しぶりに実家に帰った時、ふと親御さんの後ろ姿を見て「あれ、お母さん、こんなに背が小さかったっけ?」と感じたことはありませんか?

「年をとれば背も縮むよ」と笑って済ませてしまうことが多いですが、実はそれ、骨からの危険なSOSサインかもしれません。

高齢者が寝たきりになる原因の上位に、「転倒・骨折」があります。
そして、その骨折の背景にあるのが、骨がスカスカになってもろくなる病気、「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」です。

今回は、痛みもなく静かに進行し、ある日突然、親御さんの自由を奪ってしまう「骨の老化」と、それを防ぐための対策についてお話しします。

目次

「老年症候群」の代表格、骨粗鬆症の怖さ

介護の世界には、「老年症候群」という言葉があります。
これは、「年をとると出てくる様々な症状で、放っておくと要介護状態になってしまうもの」の総称です。ふらつき、失禁、認知機能の低下などが含まれますが、その中でも特に注意が必要なのが「骨粗鬆症」です。

なぜなら、骨粗鬆症は「自覚症状がほとんどない」からです。
痛くも痒くもないまま骨密度が下がり続け、ある日、部屋の中で軽く尻餅をついたり、ひどい場合はくしゃみをしただけで、背骨や太ももの付け根を骨折してしまうのです。

高齢者の骨折は、単なる怪我では済みません。
入院してベッドで過ごす間に筋力が一気に落ち、認知症が進み、そのまま寝たきりになってしまう……そんな「負の連鎖」の入り口になりかねないのです。

骨粗鬆症(骨の弱り)とセットで注意したいのが、サルコペニア(筋肉の減少)です。ペットボトルの蓋が開けにくいなどの「筋力低下」のサインも見逃さないようにしましょう。

「転ばない」ための環境づくりが命綱

骨を強くする薬や食事療法も大切ですが、すぐに効果が出るわけではありません。
今すぐできる最大の防御策は、「転倒を徹底的に防ぐこと」です。

家の中を見渡して、以下のポイントをチェックしてみましょう。

  • 床に物を置かない: 新聞紙、電気コード、座布団などはつまずきの原因です。
  • 段差をなくす: 敷居の段差にはスロープをつけたり、カーペットのめくれを直したりしましょう。
  • 夜間の照明: 夜トイレに行く動線には、人感センサーライトを設置しましょう。

骨折の原因となる「転倒」は、足腰の弱さだけでなく「目の老化」が原因かもしれません。夜間のトイレ移動を安全にするための具体的な照明の工夫については、こちらをご覧ください。

転倒リスクを減らす「お守りグッズ」

環境整備に加えて、便利なツールで親御さんの体を守りましょう。

1. 家の中で履く「転倒予防靴下」

普通の靴下はフローリングで滑りやすく危険です。
足裏に滑り止めがついていたり、つま先が少し上がっていてつまずきにくくなっていたりする「転倒予防靴下」をプレゼントしてみてはいかがでしょうか。
「冷え対策にもなるよ」と言って渡せば、喜んで履いてくれるはずです。

2. 転んだ時のエアバッグ「ヒッププロテクター」

もし転んでしまっても、骨折だけは防ぎたい。そんな願いを叶えるのが「ヒッププロテクター」です。
下着やズボンの大腿骨部分に衝撃吸収パッドが入っており、転倒時の衝撃を和らげてくれます。最近は、外見からは分からないような薄型でおしゃれなタイプも販売されています。

3. オシャレに歩く「ウォーキングポール」

足腰が弱ってくると歩くのが怖くなり、家に引きこもりがちになります。すると余計に骨が弱くなります。
そこでおすすめなのが、両手に持って歩く「ウォーキングポール」です。
杖よりもスポーティーで抵抗感が少なく、4点支持になるので転倒リスクが激減します。背筋も伸びるので、猫背対策にもなります。

まとめ

「背中が丸くなった」「身長が縮んだ」は、骨粗鬆症のサインです。
もし気づいたら、まずは整形外科で「骨密度検査」を受けるよう勧めてみてください。

「お母さんには、いつまでも自分の足で旅行に行ってほしいから」
そんな言葉で、検査と対策の背中を押してあげてくださいね。

万が一転んでしまったり、腰が痛かったりする場合でも、「動かない(過度な安静)」ことは筋力を奪い、寝たきりを招く原因になります。無理なく体を動かす「生活リハビリ」の考え方を知っておいてください。

「老年症候群=骨粗鬆症」。このつながり、知っていましたか?
単なる病気名ではなく、「放置すると要介護になるリスクが高い症状」として分類されていること。これは介護予防を考える上で非常に重要な視点であり、国家試験でも問われる知識です。
「知らなかった!」というあなた。ぜひ実際の試験問題で、その定義を確認してみてください。
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