インスリンや酸素吸入があっても大丈夫。「医療ショートステイ」で介護の休息を

「親の介護を少し休みたいけれど、インスリン注射が必要だから預けられない」
「たんの吸引を頻繁にする必要があるから、普通の施設には断られてしまった」

医療的なケアが必要な親御さんを介護していると、ショートステイ(短期入所)の利用を諦めてしまいがちです。
「なにかあったらどうするの?」という不安や、施設側からの「医療対応は難しい」という言葉に、結局家族だけで抱え込んでしまうケースが少なくありません。

でも、諦めないでください。介護保険には、医療ニーズが高い方のための「医療ショートステイ(短期入所療養介護)」というサービスが用意されています。

今回は、医療処置があっても安心して利用できるこのサービスの仕組みと、普通のショートステイとの違いについてお話しします。

目次

「普通のショートステイ」とは場所が違う

ショートステイには、大きく分けて2つの種類があることをご存知でしょうか?

  1. 短期入所生活介護(普通のショートステイ)
    • 主な場所:特別養護老人ホーム(特養)や有料老人ホームなど
    • 特徴:食事や入浴などの生活支援がメイン。医療スタッフが常駐していない時間帯もある。
  2. 短期入所療養介護(医療ショートステイ)
    • 主な場所:介護老人保健施設(老健)、病院、診療所
    • 特徴:医師や看護師が配置されており、医療的な管理やリハビリが受けられる。

今回ご紹介するのは、後者の「医療ショートステイ」です。
病院や老健といった「医療機関」が提供しているため、常に医療の目が行き届く環境で宿泊できるのが最大の特徴です。

どんな人が利用できる?要介護1からOK

「医療ショートステイ」という名前から、「重症の人しか使えないのでは?」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。

要介護1〜5の認定を受けていれば、どなたでも利用可能です。(要支援の方は「介護予防短期入所療養介護」が利用できます)

特に、以下のような医療処置が必要で、普通のショートステイでは受け入れが難しい方に適しています。

  • 在宅酸素療法を行っている
  • インスリン注射が必要
  • たんの吸引や経管栄養(胃ろうなど)が必要
  • 床ずれ(褥瘡)の処置が必要

もちろん、病状が安定していれば、リハビリ目的での利用も可能です。

「介護疲れ」を癒やすために使ってもいい

「医療機関にお世話になるのだから、家族が病気になった時とか、よほどの事情がないとダメなんじゃないか」
そう遠慮してしまうご家族も多いのですが、利用理由は「介護者の休息(レスパイト)」でも全く問題ありません。

  • 毎日の医療的ケアで夜も眠れないから、数日ぐっすり寝たい
  • 久しぶりに夫婦で旅行に行きたい
  • 冠婚葬祭がある

こうした理由で利用することは、制度上も認められています。
医療的ケアが必要な方のご家族こそ、心身の負担は大きいはずです。プロの手を借りてリフレッシュすることは、在宅介護を長く続けるために必要な「メンテナンス」だと考えてください。

4日以上なら「計画書」を作ってもらえる安心感

ショートステイを利用する際、「ただ預かってもらうだけ」ではなく、しっかりとしたケアを受けたいですよね。

このサービスには、「おおむね4日以上連続して利用する場合は、個別の計画書(短期入所療養介護計画)を作らなければならない」というルールがあります。

数日間の滞在であっても、
「この期間にリハビリで歩行を安定させましょう」
「皮膚の状態を改善しましょう」
といった目標を立て、医師やリハビリ専門職がチームでケアにあたってくれます。

まとめ:ケアマネジャーに「医療対応の施設」と相談を

もし今、医療処置を理由にショートステイを断られた経験があるなら、担当のケアマネジャーに「医療ショートステイ(療養介護)を使いたい」と相談してみてください。

近くの老人保健施設(老健)や、空きベッドのある病院を探してくれるはずです。
「医療が必要だから」と閉じこもらず、安心できる環境に預けて、ご家族自身の時間も大切にしてください。

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