「親の介護は、育ててもらった子供が恩返しとしてやるべきだ」
「嫁なんだから、義理の両親の面倒を見るのは当たり前」
そんな周囲の声や、自分の中にある責任感に押しつぶされそうになっていませんか?
特に真面目な方ほど、「他人の手を借りるのは親不孝だ」「楽をしてはいけない」と、自分を犠牲にして介護を抱え込んでしまいがちです。
でも、はっきりと言わせてください。
今の日本において、介護を家族だけで背負う必要は全くありません。
それは甘えでも手抜きでもなく、法律で認められた「私たちの権利」だからです。
今回は、介護保険制度が作られた本当の理由と、堂々とプロを頼っていい根拠についてお話しします。
昔は「措置」、今は「契約」
2000年に介護保険制度が始まる前までは、介護は「措置(そち)」と呼ばれる行政の処分でした。
「お金がなくて家族もいない、かわいそうな人を行政が救う」という側面が強く、一般的な家庭では「家族が下の世話までして看取る」のが美徳とされていました。
しかし、高齢化が進み、核家族化や共働きが増える中で、家族だけで介護を支えることは限界を迎えました。
「介護地獄」「介護離職」といった言葉が社会問題となり、「もう家族だけでは無理だ。社会全体で高齢者を支えよう」という大きな転換が起きたのです。
これを「介護の社会化」と言います。
今の介護保険制度は、誰かのお情けで受けるものではなく、私たちが保険料を払って利用する「権利(契約)」なのです。
『人様のお金を使うのは申し訳ない』と感じてしまう親御さんには、この仕組みを伝えてあげてください。私たちは皆、お互いに支え合うために保険料を支払っているのです。

法律に書かれた「共同連帯」という優しい言葉
介護保険法という法律の第一条には、こんな言葉があります。
「国民の共同連帯の理念に基づき(中略)介護保険制度を設け…」
少し難しい言葉ですが、簡単に言えば「困った時はお互い様。みんなでお金(保険料)を出し合って、助け合いましょう」ということです。
あなたはこれまで、毎月しっかりと介護保険料を納めてきたはずです(あるいは消費税などの税金を納めてきました)。
だからこそ、いざ親御さんや自分自身が介護を必要とする状態になったら、堂々とその権利を行使していいのです。
「みんなに支えてもらって申し訳ない」と恐縮する必要はありません。それは、社会の仕組みそのものなのですから。
プロに任せることは「親孝行」でもある
「それでもやっぱり、他人に親を触らせるのは抵抗がある」
そう思う方もいるかもしれません。
しかし、家族だからこそ、感情的になって怒鳴ってしまったり、力が足りなくて転倒させてしまったりするリスクもあります。
下の世話や入浴介助などの大変な部分は、プロの手(ヘルパーさんなど)に任せてみてください。
家族は、疲れてイライラした顔を見せるのではなく、余裕を持って「元気?」と微笑みかける。
その方が、親御さんにとっても幸せな時間が増えるはずです。
罪悪感を捨てるためのアクション
- ケアマネジャーに「辛い」と言う: 「頑張ります」ではなく「もう限界です」と正直に伝えてみてください。サービスの回数を増やす提案をしてくれます。
- 「お金で解決」を恐れない: 介護保険の範囲内で収まらないなら、民間の配食サービスや家事代行を使うのも賢い選択です。時間を買うことは悪ではありません。
『家族だけでなんとかしなきゃ』と背負い込んでいませんか? あなたには医師やケアマネジャーといった最強の味方がついています。チームで支える介護の形を知ってください。

まとめ
介護保険は、家族を「介護の鎖」から解き放つために作られた制度です。
「全部自分でやらなきゃ」という思い込みを捨てて、社会という大きなチームに頼ってください。
あなたが笑顔でいることが、結果として一番の親孝行になるのですから。
介護だけでなく、金銭的な不安を感じている方へ。日本には憲法で保障された『生きる権利』と、それを守るためのセーフティネットがあります。

「介護の社会化」。この言葉の意味を説明できますか?
家族介護から社会全体での支援へ。この歴史的な転換こそが、介護保険法制定の最大の理由であり、国家試験でも必ず問われる制度の根幹(理念)です。
「だから保険料を払っているのか!」と納得できたあなた。ぜひ実際の試験問題で、その理念を確認してみてください。
👉 【挑戦!】介護福祉士の過去問を解いてみる
