「知らない人ばかりで気まずい…」デイサービス嫌いの親を変える、心を溶かす魔法のスイッチ『アイスブレイク』

「お父さん、明日はデイサービスの日だよ」
そう声をかけた途端、「あんな所、行きたくない!」と不機嫌になってしまう。

せっかく見つけた居場所なのに、どうして嫌がるんだろう?と悩んでいませんか?
その原因、もしかしたら「緊張」にあるかもしれません。

高齢になると、新しい環境に馴染むのに時間がかかります。知らない人の中に放り込まれ、「さあ、みんなで歌いましょう!」といきなり言われても、心がついていかず、苦痛に感じてしまうのです。

そんなカチコチに凍りついた心を、ふわっと溶かすプロの技術があります。
それが「アイスブレーキング(アイスブレイク)」です。

今回は、ビジネスや介護の現場で使われるこの技術を応用して、親御さんの「人見知り」や「外出拒否」を和らげるコツについてお話しします。

目次

心の氷を壊す「準備運動」

アイスブレイクとは、直訳すると「氷(Ice)を壊す(Break)」という意味です。
初対面の人同士や、会議の始まる前などに、緊張した空気を和ませ、話しやすい雰囲気を作るための「ちょっとした雑談」や「ゲーム」のことを指します。

介護の現場、特にレクリエーションの前には、この時間がとても重要視されています。
いきなり「はい、体操しますよ!」と始めるのではなく、「今日はいいお天気ですね」「みなさん、朝ごはんは何を食べました?」と、答えやすい問いかけで場の空気を温めるのです。

この「本題に入る前のワンクッション」があるだけで、親御さんの心は「ここは敵地ではない、安心できる場所だ」と認識し、リラックスすることができます。

家庭で使える「会話のドア」を開ける技術

このテクニックは、ご家庭でも大いに役立ちます。
「デイサービスに行く、行かない」で揉める時は、いきなり本題(核心)に触れていることが多いのです。

まずは、関係のない話で「会話のドア」を開けましょう。

1. 「季節・天気」から入る(肯定しやすい話題)

「今日は暖かくていい天気だね」「庭の梅が咲いたよ」
誰もが「そうだね」と頷ける話題から入るのが鉄則です。一度「イエス」と言うと、心は開きやすくなります。

2. 「体調・五感」に触れる

「今日のお茶、美味しい?」「背中、凝ってない?」
相手の感覚に寄り添う言葉は、緊張をほぐす特効薬です。

3. 本題は「ついで」のように

十分に雑談をして、親御さんの表情が緩んだタイミングで、「そういえば、向こう(デイ)で面白いことあった?」と軽く振ってみたり、「今日はお風呂の日だね」と切り出したりします。
心の準備運動ができていれば、抵抗感はぐっと下がります。

会話のきっかけを作る「お助けグッズ」

言葉だけで場を和ませるのが苦手な場合は、モノの力を借りましょう。

1. 昔の記憶を呼び覚ます「昭和の写真集」

何を話していいか分からない時は、昭和の風景や生活道具が載っている写真集や、ご自身の古いアルバムをテーブルに置いておきましょう。
「懐かしいねぇ」「昔はこれを使ったもんだ」と、自然に思い出話が始まり、場の空気が温まります。

2. 手持ち無沙汰を解消する「ハンドスピナー・お手玉」

緊張している時、人は手元が落ち着かないものです。
昔ながらの「お手玉」や、ただ回すだけの玩具「ハンドスピナー」などを渡しておくと、手遊びをしているうちに不思議とリラックス効果が生まれます。

3. 一緒に笑える「綾小路きみまろのCD」

どうしても会話が弾まない時は、中高年のアイドル、綾小路きみまろさんの漫談CDやDVDを流してみるのも一手です。
「笑い」は最強のアイスブレイクです。一緒に笑うだけで、理屈抜きに心の距離が縮まります。

まとめ

親御さんが頑なな態度をとるのは、性格のせいではなく、単に「心が緊張で凍っているだけ」かもしれません。

無理に引っ張ろうとせず、まずは雑談という温かい日差しを当てて、ゆっくりと氷を溶かしてあげてください。
「楽しかった」という笑顔が見られる日は、きっと来ます。

「場を和ませる」。これ、介護現場では立派な専門技術です。
ただのお喋りに見えて、実は利用者の緊張を解きほぐす「アイスブレーキング」という技法を実践しているのです。
これができると、レクリエーションの効果が全く違ってきます。「気遣いも技術のうち」と知って自信がついたら、実際の試験問題で確認してみましょう。
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