パンフレットには載っていない!「良い介護士」が育つ施設を見抜く魔法の質問

親御さんのための老人ホームや介護施設探し。「入居金はいくらか」「部屋は個室か」「食事は美味しいか」……気になることは山ほどありますよね。

パンフレットを見比べて、あちこち見学に行って、ヘトヘトになっている方も多いのではないでしょうか。

でも、少し立ち止まって考えてみてください。親御さんが入居した後、毎日一番長く関わるのは誰でしょうか?
それは、豪華なロビーでも最新の機械でもなく、「現場の介護スタッフ」です。

どれだけ建物が立派でも、職員が疲弊していたり、入れ替わりが激しかったりする施設では、安心して親を任せることはできません。
今回は、見学の短時間ではなかなか見抜けない「職員の質」や「施設の良し悪し」を判断するための、プロの視点をお伝えします。

目次

「使い捨て」にする施設か、「人を育てる」施設か

介護業界には「キャリアパス」という言葉があります。
少し硬い言葉ですが、簡単に言えば「職員が成長していくための道筋(地図)」のことです。

  • 「新人の時は、まずこの技術を覚えよう」
  • 「3年経ったら、リーダーとしてこんな役割を担ってもらおう」
  • 「頑張ってスキルアップしたら、給料や役職はこう上がるよ」

このように、「どのような能力を身につければ、どうステップアップできるか」を明確にしている施設は、職員を「大切な財産」として育てようとしています。
目標がある職員はモチベーションが高く、長く働き続けるため、結果として利用者さんへのケアも丁寧になります。

逆に、この「道筋」がない施設は要注意です。「とりあえず現場で数さえこなせばいい」という扱いになりがちで、職員は将来に希望を持てず、すぐに辞めてしまいます。職員が定着しない施設で、質の高いケアを維持するのは困難です。

見学時に聞いてみたい「魔法の質問」

では、どうやってその施設が「人を育てているか」を見極めればよいのでしょうか。
施設長や相談員さんとの面談の際、ぜひこんな質問を投げかけてみてください。

「こちらで働いている職員さんは、長く続いている方が多いですか? どのような研修やステップアップの仕組みがありますか?」

良い施設なら、「うちは新人研修に力を入れています」「リーダー育成の制度(キャリアパス)がありますよ」と自信を持って答えてくれるはずです。
逆に言葉を濁したり、「まあ、人の出入りは激しい業界ですから…」と開き直ったりするようなら、少し警戒した方がいいかもしれません。

施設選びで失敗しないための「三種の神器」

職員への直接質問はハードルが高い……という方は、客観的なデータや便利なツールを活用して、外側からチェックしてみましょう。

1. 公的な「介護サービス情報公表システム」

厚生労働省や各都道府県が運営している検索サイトです。
ここでは、施設の基本情報だけでなく、「前年度の退職者数」「経験年数ごとの職員数」といったシビアな数字を見ることができます。
パンフレットの美辞麗句に惑わされず、「職員が定着しているか(=働きやすい職場か)」を数字で確認できる最強のツールです。

2. 介護施設の「口コミ・評判検索サイト」

実際に利用している家族や、働いていた元職員の口コミが見られるサイトも参考になります。
ただし、ネットの口コミは不満がある時ほど書かれやすいもの。「全部を鵜呑み」にするのではなく、悪い口コミに対して施設側が誠実に返信しているかなど、「運営の姿勢」を見る材料にしましょう。

3. 見学時専用の「チェックリストアプリ」

見学に行くと、説明を聞くのに必死でチェックポイントを忘れがちです。
スマホで使える「施設見学チェックリスト(アプリやWEBシート)」を用意しておきましょう。
「職員からの挨拶はあったか」「入居者の表情は明るいか」「嫌なニオイはしないか」など、現場の空気を逃さず記録することで、後で冷静に比較検討ができます。

まとめ

「親を預ける」のではなく、「親の生活を支えるパートナーを探す」。
そう考えると、一番大切なのはやはり「人」です。

「この人たちなら、親のことを大切にしてくれそうだ」
そう思えるスタッフが生き生きと働いている施設かどうか。ぜひ「人を育てる仕組み(キャリアパス)」という視点を持って、施設を選んでみてください。

「良い施設」を見抜く視点、もう身につきましたね。
今回お話しした「職員を育てる仕組み」のこと、実は専門用語で「キャリアパス」と言います。介護のプロになるための試験でも問われる、とても重要なキーワードなんです。
今のあなたなら、この問題の意味がきっと深く理解できるはず。施設選びの予行演習だと思って、解いてみませんか?
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