「足腰が弱ってデイサービスに通うのが辛くなってきた」
「退院したばかりで、まだ一人で外出するのは不安」
そんな親御さんのために、自宅に来てくれる「訪問リハビリ」を検討されている方も多いのではないでしょうか。
住み慣れた自宅で、マンツーマンのリハビリを受けられるのは大きな魅力です。
しかし、いざ利用しようとすると「訪問リハビリステーション」だったり「訪問看護ステーション」だったりと、窓口がいろいろあって混乱してしまうことがあります。
「看護？ リハビリ？ どっちを頼めばいいの？」
今回は、意外と知られていない在宅リハビリの「2つの入り口」と、利用するために絶対に外せない条件についてわかりやすく解説します。
1. 家に来るのは「リハビリの国家資格者」だけ
まず安心していただきたいのは、どの窓口から依頼しても、自宅に来てくれるのは「リハビリテーションの専門家」だということです。
具体的には、以下の国家資格を持ったスタッフが訪問します。
- 理学療法士（PT）: 足腰の筋力トレーニングや歩行練習のプロ
- 作業療法士（OT）: 着替えやトイレなど、生活動作のプロ
- 言語聴覚士（ST）: 「飲み込み」や「言葉」のプロ
よく「ヘルパーさんにマッサージしてもらえるの？」と誤解されることがありますが、介護福祉士やヘルパーは生活支援のプロであり、リハビリの専門職ではありません。
訪問リハビリでは、身体の機能を熟知した専門家が、医学的な視点でトレーニングを行ってくれます。
2. 実は「入り口」が2つある
ここが少しややこしいポイントなのですが、家にリハビリの先生が来てくれるサービスには、大きく分けて2つのルートがあります。
① 病院や老健から来る「訪問リハビリテーション」
病院、診療所、介護老人保健施設（老健）などに所属しているリハビリスタッフが、直接自宅に訪問するパターンです。
制度上、正式に「訪問リハビリテーション」と呼ばれるのはこちらです。医師との距離が近く、医学的な管理が必要な方に適しています。
② 訪問看護ステーションから来る「リハビリ」
もう一つは、「訪問看護ステーション」に所属しているリハビリスタッフが来るパターンです。
「看護」という名前ですが、リハビリ専門職も多く在籍しています。制度上は「訪問看護」の一環として扱われますが、利用者から見れば「リハビリの先生が来てくれる」ことに変わりはありません。
どちらを選ぶべきかは、お住まいの地域の資源や、親御さんの病状によってケアマネジャーが最適な方を提案してくれます。「入り口が違っても、専門家が来てくれるのは同じ」と覚えておけば安心です。
3. 利用には「医師の指示」が絶対条件
「最近体がなまってるから、マッサージ感覚で来てほしいな」
こう思っても、すぐには利用できません。
訪問リハビリを利用するための絶対条件、それは「主治医の指示」です。
リハビリテーションは医療行為の一環です。「この患者さんにはリハビリが必要だ」という医師の診断と指示書がなければ、たとえ自費であっても勝手に行うことはできないのです。
定期的な受診が必要です
指示書を書いてもらうためには、当然ながら医師の診察を受ける必要があります。
「リハビリだけして、病院には行かない」ということはできません。定期的に受診し、体の状態をチェックしてもらうことが、安全なリハビリを続けるためのルールです。
まとめ：まずはケアマネジャーに相談を
自宅でのリハビリは、単に体を鍛えるだけでなく、「トイレまで一人で行けるようになりたい」「また台所に立ちたい」といった、具体的な生活の目標を叶えるためのものです。
- 来るのは国家資格を持つプロ
- 入り口は「病院系」と「訪問看護系」の2つがある
- 利用するには「主治医の指示」が必須
この3つのポイントを押さえて、まずは担当のケアマネジャーに「家でのリハビリをしてみたい」と相談してみてください。
親御さんの「やりたい」を叶えるための、頼もしいパートナーを紹介してくれるはずです。