「今日は何月何日?」親の認知症が心配になったら。病院へ行く前に知っておきたい「長谷川式」チェックと受診のコツ

実家に帰省した時や、電話で話している時。
「あれ、さっきと同じ話をしてる?」
「今日は何曜日か、わかっていないみたい」

そんな親御さんの「小さな変化」に気づいて、ドキッとしたことはありませんか?
「もしかして認知症の始まり?」と不安になっても、本人に向かって「病院に行こう」とはなかなか言いにくいものです。「ボケてなんかない!」と怒らせてしまうかもしれません。

そんな時、私たち家族が知っておくと役に立つのが、医療の現場で使われている「もの忘れのチェックリスト」です。
今回は、日本で最も有名な認知症検査の一つである「長谷川式スケール」について、その中身と、家庭でさりげなく確認するためのヒントをお話しします。

目次

ニュースやドラマで見る「あのテスト」の正体

テレビの認知症特集などで、医師が高齢者に質問しているシーンを見たことはありませんか?

  • 「今日は何月何日ですか?」
  • 「100から7を引いてください。そこからまた7を引いてください」
  • 「私がこれから言う3つの言葉を覚えてください」

これこそが、「改訂長谷川式認知症スケール(HDS-R)」と呼ばれる検査です。
短時間で簡単に行えるため、日本中の病院や介護施設で広く使われています。

このテストは30点満点で行われ、一般的に「20点以下」だった場合に、「認知症の疑いがある」と判断される目安になっています。

「点数が低い=認知症」とは限りません

ここで注意していただきたいのが、「20点以下だから認知症だ!」と素人が決めつけてはいけない、ということです。

高齢者の場合、以下のような理由で点数が低くなることがあります。

  • 耳が遠くて質問が聞こえていない(難聴)
  • テストだと言われて緊張している
  • やる気がなくて適当に答えている

点数はあくまで「目安」です。「以前はスラスラ答えられたのに、最近は答えられない」という変化に気づくためのツールとして捉えてください。

日付や直前の会話を忘れてしまうのは、単なる「年のせい」とは違う脳の変化かもしれません。アルツハイマー型認知症特有の「記憶の消え方」について、詳しくはこちらをご覧ください。

家族ができる、傷つけない「さりげないチェック」

親御さんに「ちょっとテストさせて」と言ってこの質問をするのは、プライドを傷つけるので絶対にNGです。
日常会話の中に、さりげなく質問を紛れ込ませてみましょう。

1. 日付の確認(見当識)

「今日って何日だっけ? ゴミの日いつだったかな?」と、自分が忘れたフリをして聞いてみます。カレンダーを見ずに答えられるかチェックします。

2. 計算問題(計算力)

「買い物のお釣り、これであってるかな?」と小銭を見せたり、「100歳まであと何年だっけ?」と計算が必要な話題を振ってみたりします。

3. 言葉の記憶(短期記憶)

「さっきテレビで美味しいラーメン屋やってたね、どこのお店だったっけ?」と、直前の話題を覚えているか確認します。

受診のハードルを下げる「ツールと口実」

チェックしてみて「やっぱりおかしい」と感じたら、専門医(もの忘れ外来など)を受診するのが一番です。しかし、本人が拒否することも多いでしょう。
そんな時は、便利なツールや「上手な口実」を使いましょう。

1. 「脳トレ」として誘ってみる

最近は、スマホやタブレットでできる「脳トレアプリ」「認知機能チェックアプリ」がたくさんあります。
「最近こういうゲームが流行ってるんだって。一緒にやってみようよ」と遊び感覚で誘い、客観的な結果を見せることで、「ちょっと病院で診てもらおうか」と提案しやすくなります。

2. 自治体の「健康診断」を利用する

「認知症の検査に行こう」ではなく、「市の健康診断の時期だから行こう」と誘いましょう。
多くの自治体では、高齢者検診の中に認知機能チェックが含まれています。かかりつけ医なら、親御さんも安心して受診できるはずです。

3. 地域包括支援センターに相談する

どうしても受診してくれない場合は、お住まいの地域の「地域包括支援センター」に家族だけで相談に行ってみてください。
認知症の専門知識を持ったスタッフが、親御さんへのうまい切り出し方や、往診してくれる病院などをアドバイスしてくれます。

いざ病院へ行こうと思っても、何科に行けばいいのか迷いますよね。認知症の診断において重要な「鑑別診断」を行ってくれる専門機関について、あらかじめ知っておくと安心です。

まとめ

「認知症かもしれない」と認めるのは、家族にとっても怖いことです。
でも、早期に発見できれば、薬で進行を遅らせたり、生活環境を整えてトラブルを防いだりすることができます。

「お母さん、最近どう?」
そんな何気ない会話の中に、小さなチェックポイントを忍ばせてみてください。それが、親御さんの未来を守る第一歩になります。

いざ病院へ行こうと思っても、何科に行けばいいのか迷いますよね。認知症の診断において重要な「鑑別診断」を行ってくれる専門機関について、あらかじめ知っておくと安心です。

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