「結核(けっかく)」と聞いて、皆さんはどんなイメージを持ちますか?
「明治時代の小説に出てくる病気」「昔の不治の病」といった、過去のものだと思っている方が多いのではないでしょうか。
しかし、残念ながら結核は「過去の病気」ではありません。
日本は先進国の中ではまだ結核患者が多く、特に新たに発症する患者の半分以上は70歳以上の高齢者が占めているのが現状です。
「ただの風邪だと思っていたら、実は結核だった」
「知らないうちに孫にうつしてしまった」
そんな事態を防ぐために、今回は高齢者が気をつけるべき結核の特徴と、早期発見のための決定的な対策についてお話しします。
なぜ、今になって高齢者が発症するの?
実は、高齢者の結核の多くは「若い頃に吸い込んだ菌」が原因です。
昔、結核が流行していた時代に菌を吸い込み、体の中にずっと眠っていた(冬眠していた)菌が、加齢によって免疫力が落ちたタイミングで目を覚まし、暴れ出すのです。
これを「既感染発病(きかんせんはつびょう)」と言います。
つまり、最近誰かからうつされたわけではなくても、体の中に「時限爆弾」を抱えている可能性があるのです。
『熱がないからただの風邪だろう』という油断が一番危険です。結核に限らず、高齢者の病気は『熱が出ない』まま進行することがよくあります。

「風邪」と見分けがつかない厄介な症状
結核の初期症状は、風邪と非常によく似ています。
- 咳(せき)や痰(たん)が出る
- 微熱が続く
- 体がだるい
- 体重が減る
特に高齢者の場合、「激しい咳」などの典型的な症状が出にくく、「なんとなく元気がない」「食欲がない」といった変化しか現れないこともあります。
そのため、「風邪が長引いているだけだろう」と放置してしまい、発見が遅れ、重症化して肺炎を起こしてしまうケースが後を絶ちません。
もし、咳や微熱が2週間以上続いている場合は、単なる風邪ではない可能性を疑ってみてください。
咳が続くと、痰が絡んで苦しい思いをします。薬で治療するのと並行して、少しでも呼吸を楽にするための『痰出し』のケアを知っておきませんか?

早期発見の切り札は「胸部レントゲン」
では、どうすれば結核から身を守れるのでしょうか。
手洗いやうがい、アルコール消毒も感染症対策としては大切ですが、結核菌は空気中を漂う(空気感染する)ため、それだけでは防ぎきれません。
最も確実で効果的な対策は、「年に1回、胸部X線検査(レントゲン)を受けること」です。
結核は肺に影を作ります。自覚症状がまったくない初期の段階でも、レントゲンを撮れば「あ、ここに影があるな」と発見することができます。
早く見つかれば、薬を飲むだけで治すことができ、周りの家族にうつすリスクも最小限に抑えられます。
自治体の検診を活用しよう
65歳以上の方は、感染症法という法律に基づき、年に1回、結核検診(胸部レントゲン検査)を受ける義務(努力義務)があります。
多くの自治体では、住民検診や肺がん検診とセットで、無料または低額で受けられるようになっています。
「元気だから病院には行かない」ではなく、「元気でいるために、年に一度だけ写真を撮りに行く」。
その習慣が、あなたと大切な家族を守る最強の盾になります。
まとめ
結核は、早期発見できれば決して怖い病気ではありません。
怖いのは、「まさか自分が」という油断です。
今年の健康診断、もう受けましたか?
もし胸のレントゲンを撮っていないなら、ぜひ近いうちに受診してみてくださいね。
結核も怖いですが、高齢者にとってはインフルエンザやノロウイルスも命取りになります。親御さんを守るための『家庭での感染対策』を、もう一度おさらいしましょう。

「結核予防=アルコール消毒」だと思っていませんか?
実はこれ、間違いなんです。結核菌に対して最も有効な対策は、消毒ではなく「早期発見」です。
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