病気や事故で障害が残り、自宅での生活が難しくなって施設に入所する。
ご本人にとってもご家族にとっても、それはとても辛い決断かもしれません。
「施設に入ったら、もう楽しみなんてない」
「毎日天井を見上げて過ごすだけなんだろうか」
そんなふうに悲観してしまう方も多いのではないでしょうか。
ですが、安心してください。今の障害者支援施設は、単に食事や排泄のお世話をするだけの場所ではありません。
今回は、38歳で脳梗塞により片麻痺と車椅子生活になったGさんの事例を通して、施設の中で提供されている「昼間の活動(生活介護)」というサービスについてお話しします。
施設には「夜の顔」と「昼の顔」がある
障害者支援施設に入所すると、実は2つのサービスを組み合わせて利用することになります。
- 施設入所支援(夜の顔):
夜間の入浴、排泄、食事などの生活ケア。いわゆる「暮らしの場」としての機能です。 - 生活介護(昼の顔):
日中に行う活動。創作活動、生産活動(軽作業)、機能訓練など、「生きがいや役割」を作るための機能です。
つまり、朝起きたらパジャマから着替えて、昼間は「生活介護」という別のサービスの時間に切り替わるのです。
ここでは、ただボーッとしているのではなく、手芸をしたり、パンを焼いたり、あるいはGさんのように外出して写真を撮ったりと、一人ひとりに合わせた活動が行われています。
片手でも、耳が聞こえにくくても「やりたい」は叶う
今回の事例のGさんは、左片麻痺で車椅子、さらに難聴という重複した障害を持っています。
それでも、施設スタッフのサポートを受けながら、大好きな写真撮影を楽しみ、お母さんにプレゼントするアルバム作りを計画しています。
「障害があるから無理」と諦めさせるのではなく、「どうすればできるか」を一緒に考え、道具や環境を整えてサポートする。
それが「生活介護」のプロたちの仕事です。
施設は「人生の終わりの場所」ではなく、「新しい生活を楽しみ直す場所」でもあるのです。
「できない」を「できる」に変える便利ツール
Gさんのように、体に不自由があっても趣味を楽しむために、現代には便利な道具がたくさんあります。ご家庭でも参考にしてみてください。
1. 片手でも撮影できる「スマホホルダー・シャッター」
片麻痺でカメラを構えるのが難しくても、車椅子に固定できる「フレキシブルアームのスマホホルダー」や、軽い力で押せる「Bluetoothリモコンシャッター」を使えば、ブレずに綺麗な写真が撮れます。
「撮れた!」という喜びが、リハビリへの意欲につながります。
2. 視覚で会話する「筆談パッド・音声認識アプリ」
Gさんのような難聴の方とのコミュニケーションには、書いて消せる「電子メモパッド」や、話した言葉が文字になるスマホの「音声認識アプリ(UDトークなど)」が役立ちます。
「アルバムの飾り付け、どうする?」といった細かい相談も、これらのツールがあればスムーズに楽しめます。
3. 片手で工作できる「固定用マット」
アルバム作りなどの工作には、紙や道具が動かないようにする「滑り止めマット」や、片手で紙を押さえて切れる「ユニバーサルデザインのハサミ」が便利です。
文房具ひとつ変えるだけで、誰かの手を借りずに「自分で作る」楽しさを味わえます。
まとめ
施設に入所することは、社会との縁が切れることではありません。
そこには、仲間と共に笑い、何かを作り出し、誰かにプレゼントして喜んでもらうという、当たり前で温かい「日常」が待っています。
「施設でこんなことをやってみたい」。
そんな希望を、ぜひスタッフに伝えてみてください。きっと全力で応援してくれるはずです。
「生活介護」。この言葉の本当の意味を知っていますか?
単なる日常生活のお世話ではなく、日中の「創作活動」や「機能訓練」まで含むサービスのこと。これが障害福祉分野での正しい定義です。
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