「元気なうちは楽しく暮らせていたけれど、認知症になった途端に居場所がなくなってしまった」
これは、自立した高齢者向けの「健康型有料老人ホーム」などでよくあるトラブルです。
今回の事例のCさん(90歳)もそうでした。愛鳥のオウムと一緒に健康型ホームに入居していましたが、認知症が進行し、トイレの失敗や物忘れが増えたことで、施設での生活が難しくなってしまったのです。
「もっと手厚いケアが必要だけれど、ペットと離れるのは絶対に嫌」
そんな切実な願いを叶えるために、私たちはどの施設を選べばいいのでしょうか?
今回は、介護が必要になった時の住み替え先と、ペットと暮らせる可能性が最も高い施設についてお話しします。
施設には「役割分担」がある
一口に「老人ホーム」と言っても、実は様々な種類があり、それぞれ得意分野が異なります。
Cさんのように「認知症はあるけれど、大きな病気はなく、リハビリよりも生活の場を求めている」場合、どこが適切なのでしょうか。
1. 病院に近い「介護医療院・老健」
これらは「医療」や「リハビリ」に特化した施設です。
医師や看護師が常駐していて安心ですが、あくまで「治療」や「在宅復帰」が目的なので、ペットと一緒にのんびり暮らすという生活スタイルは望めません。
2. 公的な「特別養護老人ホーム(特養)」
費用が安く人気ですが、要介護3以上が原則で、入居待ちも長いのが現状です。
多床室(相部屋)も多く、衛生管理の観点からペット可の施設は極めて稀です。
3. 生活重視の「有料老人ホーム」
ここで注目したいのが、民間が運営する「介護付き有料老人ホーム」です。
食事や掃除、入浴などの生活支援(介護)がサービスに含まれており、個室が基本です。
民間ならではの自由度があり、「ペット可フロア」を設けていたり、飼育をサポートしてくれたりする施設が増えているのがこのタイプです。
『ペット可の施設が見つからない』と諦める前に、もう一つの選択肢を知ってください。施設に入らず、自宅に『施設のケア』を呼び込むことで、ペットとの暮らしを続ける方法があります。

Cさんが選ぶべき「正解」は?
Cさんの最優先事項は「オウムと一緒に暮らすこと」です。
そして、今のCさんに必要なのは、医療でもリハビリでもなく、「認知症の症状を受け止め、生活を支えてくれる介護」です。
これらを満たすのは、やはり「介護付き有料老人ホーム」が有力な候補になります。
費用はかかりますが、個室でオウムと過ごし、スタッフが排泄や移動を手伝ってくれる環境。それがCさんの「自分らしい生活」を守るための答えなのです。
施設選びは「譲れないもの」から決める
施設を探すとき、予算や立地も大切ですが、一番大切なのは「親御さんが人生で何を大切にしているか(譲れないもの)」を軸にすることです。
- Cさんのように「ペット」が命なら、ペット可の有料老人ホーム。
- 「仲間とお喋り」が好きなら、レクリエーションが充実した施設。
- 「一人の時間」が好きなら、広めの個室がある施設。
「認知症になったから、安全なところに押し込める」のではなく、「認知症になっても、好きなものと一緒にいられる場所を探す」。
その視点が、後悔しない施設選びの第一歩です。
今回のトラブルのように、入居してから『こんなはずじゃなかった』と後悔しないためには、建物の綺麗さだけでなく『運営している会社』を見極める視点が必要です。

まとめ
住み慣れた場所を離れるのは不安なものです。
でも、「あそこならピーちゃん(オウム)と一緒にいられるよ」という希望があれば、親御さんは新しい一歩を踏み出すことができます。
「介護」と「生きがい」。
どちらも諦めない選択肢は、探せば必ず見つかります。
施設を退去することになり、『それならうちで一緒に暮らそう』と提案しても、親御さんが首を縦に振らないことがあります。それはわがままではなく、住み慣れた環境を離れることへの深い不安があるからです。

「Cさんが選ぶべき施設はどれ?」。これは実際の試験問題です。
利用者の状態(認知症・ペット飼育・医療ニーズなし)から、最適な施設形態を選び出す。これはケアマネジャーや介護福祉士に必要な「マッチング能力」を問う良問です。
「私ならここを勧める!」という予想を持って、答え合わせをしてみませんか?
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