「認知症かも?」と思ったら。町医者だけでは分からない「原因」を突き止める、専門病院の活用法

「最近、親の物忘れがひどい気がする」
「もしかして認知症の始まりかな……」

そんな不安を感じたとき、皆さんはまずどこに相談しますか?
多くの方は、とりあえず近所の「かかりつけの内科」に行くことを考えるのではないでしょうか。

もちろん、かかりつけ医に相談するのは大切な第一歩です。
しかし、認知症という病気は非常に複雑で、アルツハイマー型、レビー小体型、血管性など、タイプによって薬も対応方法も全く異なります。
一般的な内科では、この「タイプの特定」までは難しいケースも少なくありません。

そこで知っておいていただきたいのが、「認知症疾患医療センター」という専門機関の存在です。
名前は少し硬くて怖いイメージがあるかもしれませんが、ここは親御さんと家族が「正しい診断」と「安心」を手に入れるための、地域の中核となる場所です。

今回は、この専門センターが何をしてくれる場所なのか、どういう時に頼ればいいのかについてお話しします。

目次

「なんとなく認知症」で済ませない。「鑑別診断」の重要性

認知症ケアで一番怖いのは、「年のせいでしょう」や「とりあえず認知症でしょう」という曖昧な診断のまま、合わない薬を飲み続けたり、間違った対応をして症状を悪化させてしまったりすることです。

認知症疾患医療センターの最大の役割は、「鑑別診断(かんべつしんだん)」を行うことです。

MRIやCTなどの画像検査、専門的な心理検査を行い、「今の症状の原因は何か?」を徹底的に調べます。

  • 「これはアルツハイマー型ですね」
  • 「いや、実は脳に水が溜まっているだけで、手術をすれば治りますよ(正常圧水頭症)」
  • 「うつ病による仮性認知症ですね」

このように原因がはっきりすれば、これからの治療方針や、家族がどう接すればいいかが明確になります。
「敵の正体」がわかれば、漠然とした不安はずっと軽くなるはずです。

専門病院で診断される認知症の中で、最も多いのが「アルツハイマー型」です。なぜ直前のことだけ忘れてしまうのか、その脳のメカニズムを知っておくと、医師の説明も理解しやすくなります。

どんな時に行けばいいの?

以下のような場合は、かかりつけ医からの紹介状をもらって、センターを受診することを検討してみてください。

  • かかりつけ医で「老化現象」と言われたが、症状が悪化している場合
  • 幻覚が見える、暴れるなど、対応に困る症状が出ている場合
  • まだ若い(65歳未満)のに物忘れが目立つ場合

診断がついた後は、普段の治療はまたかかりつけ医にお願いすることもできます。センターはあくまで「詳しい検査と方針決定」をする場所として活用するのが賢い方法です。

もし親御さんの様子が「急に」おかしくなったなら、それは認知症ではなく、治療すれば治る「せん妄」かもしれません。見分けるポイントはこちらをご覧ください。

受診をスムーズにするための準備とツール

専門的な検査を受けるには準備が必要です。親御さんの負担を減らすために、事前に整理しておきましょう。

1. 症状を記録する「健康管理アプリ・メモ」

医師は普段の親御さんの様子を知りません。
「いつから」「どんな症状が」「どのくらいの頻度で」出ているかを伝えることが、正確な診断への近道です。
「健康管理アプリ」のメモ機能を使ったり、カレンダーに印をつけたりして、客観的な記録を持参しましょう。

2. 服薬履歴がわかる「お薬手帳アプリ」

今飲んでいる薬が、認知機能に影響を与えている可能性もあります。
紙の手帳でも良いですが、飲み忘れの履歴なども管理できる「お薬手帳アプリ」を見せれば、医師も状況を把握しやすくなります。

3. 最初の相談窓口「地域包括支援センター」

「どこの病院に行けばいいかわからない」という時は、まずお住まいの地域の「地域包括支援センター」に電話をしてください。
近くにある認知症疾患医療センターを教えてくれますし、受診のための予約方法などもアドバイスしてくれます。

まとめ

「認知症疾患医療センター」は、認知症という長いトンネルに入らないようにするための、あるいは入ってしまっても迷わないようにするための、灯台のような場所です。

「おかしいな」と思ったら、一人で悩まず、専門家の確かな目を頼ってください。
正しい診断こそが、親御さんと家族が穏やかに暮らすための最初のボタンになります。

「専門医に診せたほうがいいのはわかった。でも、親が頑として病院に行こうとしない…」そんな時は、無理に連れ出さず、家に呼びましょう。頼れる訪問チームについて紹介します。

「認知症疾患医療センター」を知っているだけで、介護の質が変わります。
「鑑別診断(原因の特定)」ができる専門機関があること。この知識は、親御さんが認知症の疑いを持った時に迷わず正しい道を選ぶためのコンパスになります。
「どんな役割がある場所だっけ?」と気になったら、ぜひ実際の試験問題で確認してみてください。
👉 【挑戦!】実際の試験問題を見てみる

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