親が「病院に行かない!」と拒否したら。家まで来てくれる最強の助っ人「認知症初期集中支援チーム」を頼ろう

「最近、親の言動がおかしい。たぶん認知症だと思う」
「でも、『俺はボケてない!』と怒り出して、病院に行ってくれない……」

離れて暮らす親御さんや、同居のご家族にとって、一番頭を抱えるのがこの「受診拒否・介護拒否」の問題ではないでしょうか。

本人が頑なに拒む以上、無理やり連れて行くわけにもいかず、かといって放置すれば火の不始末や徘徊などのトラブルが起きる。
まさに八方塞がりで、家族だけで疲れ果ててしまうケースが後を絶ちません。

そんな時、頼りになるのが、行政が派遣してくれる「認知症初期集中支援チーム」です。
名前は少し長いですが、簡単に言えば「病院嫌いの親の元へ、専門家がチームで乗り込んで(訪問して)なんとかしてくれる部隊」です。

今回は、この頼もしすぎるチームの役割と、呼び方についてお話しします。

目次

待っていても来ないなら、こちらから行く!

通常、医療や介護は「本人が病院に行く」「役所に申請に行く」ところから始まります。
しかし、認知症の初期段階にある方は、病識(自分が病気だという自覚)がないことが多く、自ら動くことは期待できません。

そこで作られたのが、このチームです。
医師、看護師、社会福祉士などの認知症のプロフェッショナルたちがチームを組み、ご自宅まで訪問(アウトリーチ)してくれます。

チームがやってくれること(最長6ヶ月間の集中支援)

  1. 実態調査: 家の様子を見て、本人や家族から話を聞き、状況を把握します。
  2. 受診への誘導: 専門医が同行することもあり、巧みな会話で医療機関への受診を促します。
  3. サービスの導入: 介護保険の申請を手伝ったり、ヘルパーやデイサービスにつなげたりします。
  4. 家族への支援: 接し方のアドバイスや、家族の精神的なケアを行います。

つまり、「医療や介護のレールに乗せるまで」を、集中的にサポートしてくれるのです。

「病院へ行って」と言えば言うほど、親御さんが意固地になっていませんか? 真正面からの説得で消耗してしまう前に、プロが使う「意見対立を解消する会話術」も試してみてください。

どんな人が対象になるの?

「うちの親も来てもらえる?」と気になりますよね。
対象となるのは、40歳以上で、在宅で生活しており、かつ「認知症が疑われるが、医療や介護に結びついていない人」です。

具体的には以下のようなケースです。

  • 認知症っぽいのに、一度も診断を受けていない。
  • 昔診断されたけど、治療を中断してしまった。
  • 介護サービスを使いたいのに、本人が拒否して困っている。
  • 認知症の症状が強く出ていて、家族では対応しきれない。

まさに、「家族の説得が通じない時」こそが、このチームの出番なのです。

チームを呼ぶためのステップとツール

では、どうすればこのチームに来てもらえるのでしょうか。

1. 「地域包括支援センター」にSOSを出す

窓口は、お住まいの地域の「地域包括支援センター」です。
電話でも良いので、「親が認知症のようで困っているが、受診を拒否している。初期集中支援チームにお願いできないか」と具体的に相談してみてください。
近所の方からの通報(心配)で動くケースもありますが、家族からの相談が一番スムーズです。

2. 「見守りGPS」で緊急回避

チームが介入するまでの間、徘徊などの危険がある場合は、「GPS発信機」を靴や鞄に入れておきましょう。
行方不明になって警察沙汰になると、ご本人も家族も疲弊してしまいます。「どこにいるかわかる」という安心感を確保しつつ、専門家の到着を待ちましょう。

3. 「玄関用センサー」で外出を検知

夜中にふらっと外に出てしまう場合は、玄関に「開閉センサー」「人感センサー」を設置し、ドアが開いたら家族のスマホに通知が来るようにしておくと安心です。

今回ご紹介した「初期集中支援チーム」以外にも、地域にはあなたを支える専門チームが待機しています。相談窓口(地域包括支援センター)に行くと、どのような連携プレーで支えてもらえるのか、全体像を知っておくと安心です。

まとめ

親御さんが受診を拒否するのは、「今の生活を変えられたくない」「バカにされたくない」という不安の裏返しでもあります。

家族が言うと角が立つことでも、プロが第三者として入ることで、すんなりと話が進むことはよくあります。
一人で抱え込まず、プロのチームを味方につけて、閉ざされた扉を開けてもらいましょう。

支援チームが目指すゴールの一つは、専門医による「確定診断」です。なぜ苦労してまで専門病院に行く必要があるのか? そのメリットと、正しい診断がもたらす安心について、あらかじめ知っておいてください。

「認知症初期集中支援チーム」。この長い名前、覚える価値があります。
「病院に行かない親」をどう支援するか。この現場の切実な悩みに応えるために作られた制度であり、介護福祉士国家試験でもその役割(訪問・調整・包括的支援)が頻出の重要ポイントです。
「そんなチームがあったのか!」と希望を持てたあなた。ぜひ実際の試験問題で、その活動内容を確認してみてください。
👉 【挑戦!】実際の試験問題を見てみる

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