離れて暮らす親御さんから、電話口でこんな弱音を吐かれたことはありませんか？
「毎日誰とも話さなくて、テレビを見ているだけ」
「一人は気楽だけど、やっぱり寂しいねぇ」
そんな言葉を聞くと、家族としてはドキッとします。「もう一人暮らしは限界なのかな」「そろそろ老人ホームを探さないといけないのかな」と、深刻に考えてしまうかもしれません。
でも、ちょっと待ってください。
親御さんは「寂しい」とは言っていますが、「家を出たい」とは言っていないはずです。むしろ、住み慣れた自宅で暮らし続けたいと願っているケースがほとんどです。
今回は、自宅での生活を続けながら、親御さんの「寂しさ」だけを解消する、ちょうどいいサービスの選び方についてお話しします。
「要支援」でも使える！「通いの場」という解決策
介護認定で「要支援（まだ介護はそれほど必要ない段階）」が出ている場合、「使えるサービスは少ない」と誤解していませんか？
実は、今の制度（総合事業）では、要支援の方こそが元気に過ごせるよう、「通所型サービス（第一号通所事業）」が充実しています。
いわゆる「デイサービス」のようなもので、日中に施設へ通い、体操をしたり、他の利用者さんとおしゃべりをしたりして過ごします。
これなら、「住まいは自宅のまま」、一番寂しさを感じる「日中の話し相手」を確保することができます。
「老人ホームに入る」のは生活のすべてを変える大きな決断ですが、「週に数回、お茶飲み友達に会いに行く」感覚なら、親御さんも抵抗なく始められるはずです。
施設入居は「最後の手段」にとっておく
家族は心配のあまり、つい「グループホーム」や「特養」といった施設入所を急ぎがちです。
しかし、これらはあくまで「24時間の介護が必要になった人」や「認知症で自宅生活が困難になった人」のための場所です。
まだ自分で身の回りのことができる親御さんにとって、早すぎる施設入所は、かえって生きがいを奪い、認知症を進行させてしまうリスクさえあります。
「自宅で暮らしたい」という本人の強い希望があるなら、まずは「外に出かけるサービス」をフル活用して、生活にリズムを作ることから始めてみましょう。
親にぴったりの「居場所」を見つける3つのステップ
では、どうやって親御さんに合う「通いの場」を見つければよいのでしょうか。
1. まずは「地域包括支援センター」へ相談
ここが全ての入り口です。「親が寂しがっているので、日中通える場所はないですか？」と相談すれば、地域の通所サービスや、もっと気軽な「地域のサロン」「体操教室」などを紹介してくれます。
2. 雰囲気重視で「デイサービス検索サイト」を使う
最近のデイサービスは多種多様です。「カジノ風」「料理教室風」「ジム特化型」など、ユニークな施設が増えています。
民間の「介護施設・デイサービス検索サイト」を使って、親御さんの趣味に合いそうな施設を一緒に探してみましょう。写真を見るだけでも、「ここなら楽しそう」とイメージが湧いてきます。
3. テクノロジーで「自宅の寂しさ」を埋める
サービスを利用しない日の寂しさを埋めるために、「スマートスピーカー」や「コミュニケーションロボット」を導入するのもおすすめです。
「今日の天気は？」「演歌をかけて」と話しかけるだけで、家の中の静けさが紛れます。最近は、離れて暮らす家族とビデオ通話が簡単にできる高齢者向けの専用端末も販売されています。
まとめ
「寂しさ」の処方箋は、老人ホームへの引越しだけではありません。
「行ってきます」と出かけて、「ただいま」と我が家に帰ってくる。そんなメリハリのある生活こそが、親御さんの心を一番元気にします。
まずは、「週に一回、遊びに行ってみない？」と、通所サービスの体験に誘ってみてはいかがでしょうか。
親の「寂しい」に正しく対応できるか。これが介護の分かれ道です。
「自宅にいたい」でも「寂しい」。このジレンマに対して、施設入所ではなく「通所サービス」を提案できるかどうか。これは介護福祉士の国家試験でも問われる「自立支援」の重要な判断力なんです。
「私なら正解を選べるかな？」と気になったら、ぜひ実際の試験問題で力試しをしてみてください。
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