成年後見制度の「誰が」と「何を」。家族・法人・取消権の鉄則

問59

成年後見制度について正しいものはどれか。3つ選べ。

  1. 親族は、成年後見人になることができない。
  2. 後見開始の審判は、本人も請求することができる。
  3. 法人も、成年後見人に選任されることがある。
  4. 身上保護(身上監護)とは、本人に代わって財産を管理することをいう。
  5. 成年被後見人の法律行為は、原則として、取り消すことができる。
目次

正解は2・3・5。権利を守るための広き門と強力な権限

成年後見制度は、判断能力が不十分な人を法的に守る仕組みです。
「誰が申し立てできるか」「誰が担い手になるか」「どんな権限があるか」が問われています。

本人の意思を尊重(選択肢2)

後見開始の審判は、本人も請求することができる。

この記述は適切です。

「自分は認知症かもしれない。財産管理が不安だ」と本人が感じた場合、自ら家庭裁判所に申し立て(請求)を行うことができます。
本人以外にも、配偶者、四親等内の親族、市町村長などが請求可能です。

「組織」で守る(選択肢3)

法人も、成年後見人に選任されることがある。

この記述は適切です。

後見人は「人(自然人)」である必要はありません。
社会福祉協議会やNPO法人、弁護士法人などの「法人」が選任されることもあります(法人後見)。
個人の後見人が病気や死亡で不在になるリスクを防ぐメリットがあります。

悪徳業者から守る「取消権」(選択肢5)

成年被後見人の法律行為は、原則として、取り消すことができる。

この記述は適切です。

これが成年後見制度の最大の強みです。
判断能力がない状態で高額な壺を買わされたり、不要なリフォーム契約を結んだりしても、後見人が後から「取り消し」て無効にできます。
(※日用品の購入など、日常生活に関する行為は取り消せません)

誤答は1・4。担い手と役割の定義ミス

誤りの選択肢は、制度の現状や用語の定義を逆に覚えていると引っかかるポイントです。

家族もなれる(選択肢1)

親族は、成年後見人になることができない。

この記述は不適切です。

近年、弁護士や司法書士などの専門職後見人が増えていますが、親族がなれないわけではありません。
虐待や財産流用などのリスクがない限り、配偶者や子供などの親族が選任されることは多々あります。

それは「財産管理」(選択肢4)

身上保護(身上監護)とは、本人に代わって財産を管理することをいう。

この記述は不適切です。

後見人の仕事は大きく分けて2つあります。

  1. 財産管理: 預貯金の管理や不動産の処分など(記述の内容)。
  2. 身上保護(身上監護): 介護サービスの契約、施設入所の手続き、入院の手続きなど、生活や療養に関すること。
    お金の管理だけが後見人の仕事ではありません。この2つを明確に区別しましょう。
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