問58
生活保護制度について正しいものはどれか。3つ選べ。
- 65歳以上の被保護者の介護保険料は、生活保護から給付される。
- 補足性の原理により、生活保護の介護扶助は、介護保険の保険給付よりも優先して給付される。
- 生活保護の要否判定は、家庭裁判所が行う。
- 葬祭扶助には、火葬又は埋葬に必要な費用が含まれる。
- 介護予防支援計画に基づいて行われる介護予防サービスは、介護扶助の対象となる。
正解は1・4・5。扶助の種類と給付の仕組み
生活保護受給者が介護保険を利用する場合、お金の流れが少し複雑になります。
「保険料」と「サービス費(自己負担分)」の出所を整理しましょう。
保険料は「生活扶助」に上乗せ(選択肢1)
65歳以上の被保護者の介護保険料は、生活保護から給付される。
この記述は適切です。
生活保護を受けていても、65歳以上(第1号被保険者)なら介護保険料を支払う義務があります。
その保険料分は、生活保護費の「生活扶助」に上乗せして支給されます(介護保険料加算)。
「介護扶助」ではない点に注意です。
お葬式代も出る(選択肢4)
葬祭扶助には、火葬又は埋葬に必要な費用が含まれる。
この記述は適切です。
生活保護には8つの扶助があり、その一つが「葬祭扶助」です。
最低限の葬儀(直葬など)を行うための費用が支給されます。
ちなみに、8つの扶助のうち、医療扶助と介護扶助は「現物給付(サービスそのもの)」、それ以外は原則「金銭給付」です。
サービス利用費は「介護扶助」(選択肢5)
介護予防支援計画に基づいて行われる介護予防サービスは、介護扶助の対象となる。
この記述は適切です。
介護サービスを利用した際の自己負担分(1割など)は、生活保護の「介護扶助」から支払われます。
これは要介護者のサービスだけでなく、要支援者の「介護予防サービス」も同様です。
利用者本人の財布から出す必要はありません(現物給付)。
誤答は2・3。大原則と判定機関の誤解
誤りの選択肢は、制度の根本原理と、決定を下す行政機関に関する間違いです。
他法優先の原則(選択肢2)
補足性の原理により、生活保護の介護扶助は、介護保険の保険給付よりも優先して給付される。
この記述は不適切です。
生活保護は「最後のセーフティネット」です。
利用できる他の制度(介護保険、年金、医療保険など)があれば、まずそれを活用します。
これを「他法優先の原則(補足性の原理)」と言います。
介護保険が先、生活保護は後(足りない分を補う)です。
判定は「福祉事務所」(選択肢3)
生活保護の要否判定は、家庭裁判所が行う。
この記述は不適切です。
生活保護が必要かどうかを調査・判定し、決定するのは、都道府県や市に設置されている「福祉事務所」です。
家庭裁判所ではありません。
申請先も福祉事務所です。