ヘルパーは便利屋じゃない。訪問介護の「鉄則」と管理者・サ責の役割

問50

介護保険における訪問介護について正しいものはどれか。3つ選べ。

  1. 指定訪問介護事業所の管理者は、介護福祉士でなければならない。
  2. サービス提供責任者は、利用者のサービスに関する意向を定期的に把握するものとする。
  3. 指定訪問介護事業者は、サービス提供中に事故が発生した場合は、市町村、利用者の家族、担当の居宅介護支援事業者等に連絡を行わなければならない。
  4. 居宅サービス計画にないサービスでも、利用者の要望があった場合には、訪問介護員は直ちに提供しなければならない。
  5. 指定訪問介護事業者は、定期的に業務継続計画の見直しを行い、必要に応じて業務継続計画の変更を行うものとする。
目次

正解は2・3・5。意向把握、事故対応、そしてBCP

訪問介護は、ヘルパーが一人で訪問するからこそ、組織としての連携やリスク管理が厳格に求められます。

サ責は現場の司令塔(選択肢2)

サービス提供責任者は、利用者のサービスに関する意向を定期的に把握するものとする。

この記述は適切です。

サービス提供責任者(サ責)は、単なるシフト調整役ではありません。
利用者がどんなサービスを望んでいるか、今のケアで満足しているかを定期的に確認し、訪問介護計画に反映させる義務があります。

事故は「隠さず連絡」(選択肢3)

指定訪問介護事業者は、サービス提供中に事故が発生した場合は、市町村、利用者の家族、担当の居宅介護支援事業者等に連絡を行わなければならない。

この記述は適切です。

転倒や物損などの事故が起きた際、ヘルパー個人の判断で隠蔽してはいけません。
速やかに家族、ケアマネジャー(居宅介護支援事業者)、そして保険者である市町村へ連絡・報告するルートが定められています。

災害に備えるBCP(選択肢5)

指定訪問介護事業者は、定期的に業務継続計画の見直しを行い、必要に応じて業務継続計画の変更を行うものとする。

この記述は適切です。

感染症や自然災害が発生しても、必要なサービスを継続できるようにするための計画が「業務継続計画(BCP)」です。
令和6年度より完全義務化されました。作って終わりではなく、定期的な見直し(PDCA)が必要です。

誤答は1・4。資格要件と計画遵守のルール

誤りの選択肢は、管理者の資格に関するひっかけや、現場で陥りがちなコンプライアンス違反です。

管理者に資格はいらない(選択肢1)

指定訪問介護事業所の管理者は、介護福祉士でなければならない。

この記述は不適切です。

ここがよく出るひっかけポイントです。
「サービス提供責任者」になるには介護福祉士などの資格が必要ですが、「管理者」には特段の資格要件はありません。
無資格でも管理者にはなれます(サ責との兼務は要件を満たす必要があります)。

「ついで頼まれ」はNG(選択肢4)

居宅サービス計画にないサービスでも、利用者の要望があった場合には、訪問介護員は直ちに提供しなければならない。

この記述は不適切です。

「ついでに窓も拭いて」「犬の散歩もして」
利用者から要望があっても、ケアプラン(居宅サービス計画)にないサービスを勝手に提供してはいけません。
介護保険は公的な制度です。必要性があるなら、まずはケアマネジャーに相談し、プランを変更する手続きが必要です。

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