問49
ソーシャルワークにおける地域援助として、より適切なものはどれか。3つ選べ。
- 保健医療・福祉等の専門職のみによる地域の課題への対応
- 地域の商店とNPOの協働による認知症カフェの設置・運営
- 地域の高齢者が福祉サービスにアクセスしやすくなるための自治体への働きかけ
- 被災者に対する支援のためのボランティアの組織化
- 住民を交えたグループ活動における本人の了解を得ないままの参加者の氏名や顔写真の公表
正解は2・3・4。多様な主体とアクション
地域援助(コミュニティワーク)とは、個人の課題を地域の課題として捉え、環境に働きかける活動です。
キーワードは「ネットワーキング」「ソーシャルアクション」「組織化」です。
異業種コラボが生む力(選択肢2)
地域の商店とNPOの協働による認知症カフェの設置・運営
この記述は適切です。
福祉専門職だけでなく、地域の商店やNPOなど、多様な主体が連携(ネットワーキング)して資源を開発する活動です。
認知症の人が地域で普通に暮らすための居場所作りとして、理想的な地域援助の形です。
行政を動かす「ソーシャルアクション」(選択肢3)
地域の高齢者が福祉サービスにアクセスしやすくなるための自治体への働きかけ
この記述は適切です。
既存の制度だけでは解決できない問題がある場合、行政や議会に働きかけて新しい制度や仕組みを作ってもらう活動です。
これを「ソーシャルアクション」と呼び、地域援助の重要な柱の一つです。
災害時の「組織化」(選択肢4)
被災者に対する支援のためのボランティアの組織化
この記述は適切です。
災害時など、個々のボランティアの力を結集し、効果的な支援ができるように調整・組織化すること(コミュニティ・オーガニゼーション)も、専門職に求められる地域援助の役割です。
誤答は1・5。専門職の驕りと倫理違反
誤りの選択肢は、地域援助の理念に反する「囲い込み」や、専門職としてあるまじき「倫理違反」です。
住民不在の支援はNG(選択肢1)
保健医療・福祉等の専門職のみによる地域の課題への対応
この記述は不適切です。
地域援助の主役は、そこに住む「住民」です。
専門職だけで集まって解決策を決めてしまうのは、パターナリズム(父権主義)的な発想であり、本来の地域援助(住民主体の地域づくり)とは言えません。
プライバシー保護は大前提(選択肢5)
住民を交えたグループ活動における本人の了解を得ないままの参加者の氏名や顔写真の公表
この記述は不適切です。
地域活動の様子を広報したい気持ちはわかりますが、本人の了解なしに個人情報(顔写真や氏名)を出すことは、プライバシーの侵害であり、ソーシャルワークの倫理規定違反です。
地域援助以前の、人としてのルールの問題です。