問38
次の記述のうち、より適切なものはどれか。3つ選べ。
- 皮脂欠乏症では、患部を清潔に保つことが悪化予防になることから、ナイロンタオルなどを使ってよく洗う。
- めまいやふらつきの原因となる疾患の一つに脳梗塞がある。
- 糖尿病の治療で薬を飲んでいる場合は、食事に気を付ける必要はない。
- 関節リウマチの患者には、身体に負担をかけないためにベッドの使用が望ましい。
- 高齢者の大腿骨頸部骨折は、寝たきりの原因となりやすい。
正解は2・4・5。病気の特徴と生活の工夫
高齢者に多い病気は、ちょっとした生活上の注意でQOL(生活の質)が大きく変わります。
めまいは脳のサインかも(選択肢2)
めまいやふらつきの原因となる疾患の一つに脳梗塞がある。
この記述は適切です。
めまいには耳の病気(メニエール病など)だけでなく、脳の病気が隠れていることがあります。
特に小脳や脳幹での脳梗塞は、激しいめまいやふらつきを引き起こします。
呂律が回らない、片側の麻痺などの症状がないか確認が必要です。
関節を守る生活様式(選択肢4)
関節リウマチの患者には、身体に負担をかけないためにベッドの使用が望ましい。
この記述は適切です。
関節リウマチは、関節に負担をかけないことがケアの鉄則です。
布団の上げ下ろしや、床からの立ち上がりは膝や腰に大きな負担がかかります。
ベッドや椅子の生活(洋式生活)に切り替えることで、痛みを軽減できます。
骨折即寝たきりのリスク(選択肢5)
高齢者の大腿骨頸部骨折は、寝たきりの原因となりやすい。
この記述は適切です。
転倒して太ももの付け根(大腿骨頸部)を折ると、歩けなくなります。
手術やリハビリが遅れると、そのまま筋力が低下し、寝たきりになってしまうケースが非常に多いです。
「転倒予防」が高齢者ケアの最重要課題である理由です。
誤答は1・3。逆効果になる危険な思い込み
誤りの選択肢は、病気の悪化を招く間違ったケアや認識です。
洗いすぎは乾燥を招く(選択肢1)
皮脂欠乏症では、患部を清潔に保つことが悪化予防になることから、ナイロンタオルなどを使ってよく洗う。
この記述は不適切です。
皮脂欠乏症(老人性乾皮症)は、皮膚の油分が減ってバリア機能が壊れている状態です。
ナイロンタオルでゴシゴシ洗うと、必要な皮脂まで落とし、角質を傷つけて症状を悪化させます。
石鹸をよく泡立てて、手で優しく洗うのが正解です。
薬を飲んでも食事は基本(選択肢3)
糖尿病の治療で薬を飲んでいる場合は、食事に気を付ける必要はない。
この記述は不適切です。
糖尿病治療の基本は「食事療法」と「運動療法」です。
薬(薬物療法)は、それでも血糖値が下がらない場合の補助手段に過ぎません。
「薬を飲んでいるから好きなだけ食べていい」ということは絶対にありません。