弱る心身と生活習慣。フレイル、COPD、そしてタバコの害

問37

次の記述のうち適切なものはどれか。3つ選べ。

  1. 後期高齢者に対する健康診査では、フレイル状態のチェックも重要である。
  2. 握力の低下は、サルコペニア(筋肉減弱症)の目安となる。
  3. 慢性閉塞性肺疾患(COPD)を有する高齢者では、禁煙が重要である。
  4. 喫煙は、心筋梗塞の危険因子ではない。
  5. 多量の飲酒習慣は、脳卒中のリスクとは無関係である。
目次

正解は1・2・3。早期発見と原因除去の鉄則

高齢者の健康管理において、キーワードとなるのが「フレイル(虚弱)」と「生活習慣の改善」です。

要介護の一歩手前(選択肢1)

後期高齢者に対する健康診査では、フレイル状態のチェックも重要である。

この記述は適切です。

フレイルとは、健康と要介護の中間状態のこと。
体重減少や疲れやすさなどのサインを見逃さず、早期に対策すれば健康な状態に戻れる可能性があります。
75歳以上の健診では、このチェックが非常に重要視されています。

握力は全身の鏡(選択肢2)

握力の低下は、サルコペニア(筋肉減弱症)の目安となる。

この記述は適切です。

筋肉量が減り、身体機能が低下する「サルコペニア」。
その診断基準の一つが握力です(男性28kg未満、女性18kg未満など)。
握力が弱い人は、全身の筋力も低下している可能性が高いと言えます。

タバコ肺には「禁煙」一択(選択肢3)

慢性閉塞性肺疾患(COPD)を有する高齢者では、禁煙が重要である。

この記述は適切です。

COPD(タバコ肺)は、長年の喫煙で肺が壊れる病気です。
壊れた肺は元に戻りませんが、禁煙することで進行を遅らせ、呼吸苦を和らげることは可能です。
治療の第一歩は、薬ではなく禁煙です。

誤答は4・5。嗜好品のリスクを甘く見るな

誤りの選択肢は、タバコやお酒の害を否定する、医学的にあり得ない記述です。

血管を傷つける最大要因(選択肢4)

喫煙は、心筋梗塞の危険因子ではない。

この記述は不適切です。

タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素は、血管を収縮させ、動脈硬化を進行させます。
喫煙は、高血圧や糖尿病と並ぶ、心筋梗塞(虚血性心疾患)の最大級の危険因子です。

お酒は脳の血管も壊す(選択肢5)

多量の飲酒習慣は、脳卒中のリスクとは無関係である。

この記述は不適切です。

過度な飲酒は血圧を上げ、脳出血や脳梗塞(脳卒中)のリスクを高めます。
また、アルコールそのものが脳を萎縮させ、認知症のリスクを高めることも知られています。
「百薬の長」というのは、あくまで適量の場合の話です。

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