医療処置の「目的」と「場所」。インスリン・透析・IVHの基礎知識

問33

次の記述のうち適切なものはどれか。3つ選べ。

  1. 糖尿病の治療法の一つとして、インスリンの在宅自己注射がある。
  2. 人工透析は、腎臓の働きを補うために行う。
  3. 中心静脈栄養法では、必ず腕や手の細い静脈から点滴する。
  4. 経管栄養法では、胃や腸に管を用いて栄養を注入する。
  5. 人工呼吸療法は、体内への二酸化炭素の取り込みを促すために行う。
目次

正解は1・2・4。在宅でも行われる医療処置

近年は医療依存度の高い高齢者が在宅で生活するケースが増えています。
それぞれの処置が「何の代わり」をしているのかを理解しましょう。

血糖値を下げるホルモン(選択肢1)

糖尿病の治療法の一つとして、インスリンの在宅自己注射がある。

この記述は適切です。

糖尿病でインスリンの分泌が不足している場合、自分で注射をして補う必要があります。
ペン型の注射器など、高齢者でも扱いやすい器具が普及しており、在宅での自己管理が一般的になっています。

腎臓の代わりのフィルター(選択肢2)

人工透析は、腎臓の働きを補うために行う。

この記述は適切です。

腎臓は血液中の老廃物を濾過して尿にする臓器です。
この機能が働かなくなった場合(腎不全)、機械を使って血液をきれいにろ過する必要があります。これが人工透析です。

口以外から栄養を摂る(選択肢4)

経管栄養法では、胃や腸に管を用いて栄養を注入する。

この記述は適切です。

口から食事がとれない場合、鼻から胃へ管を通したり(経鼻胃管)、お腹に穴を開けて胃や腸に直接管をつないだり(胃ろう・腸ろう)して栄養を入れます。
これを経管栄養と呼びます。

誤答は3・5。解剖生理の基本ルール

誤りの選択肢は、身体の構造や生理機能を逆に覚えていると引っかかる問題です。

濃い栄養は「太い血管」へ(選択肢3)

中心静脈栄養法では、必ず腕や手の細い静脈から点滴する。

この記述は不適切です。

中心静脈栄養(IVH)は、高カロリーの輸液を投与する方法です。
濃い液体を腕などの細い血管に入れると、血管炎を起こしてしまいます。
そのため、心臓に近い太い血管(中心静脈)にカテーテルを留置して行います。

吸うのは「酸素」(選択肢5)

人工呼吸療法は、体内への二酸化炭素の取り込みを促すために行う。

この記述は不適切です。

呼吸の目的は「酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する」ことです。
二酸化炭素を取り込んだら窒息してしまいます。
人工呼吸器は、自力で十分な酸素を取り込めない場合などに、呼吸を補助・代行する装置です。

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