問32
栄養と食事について適切なものはどれか。3つ選べ。
- 体重測定は、栄養状態を把握するために有用である。
- 低栄養を予防するためには、摂取するエネルギー量を減らす。
- 水を飲んでむせる場合は、汁物やお茶に適度なとろみをつけることも一つの方法である。
- スプーンはできるだけ深く大きいものとし、1回量を多くすることで食事の所要時間を短くする。
- 配食サービスは、栄養改善の目的だけでなく、一人暮らし高齢者の見守りとしても活用できる。
正解は1・3・5。栄養管理とリスクヘッジの基本
高齢者の食事ケアにおいて重要なのは、「しっかり食べて栄養をとること」と「安全に食べること」の両立です。
体重は正直なバロメーター(選択肢1)
体重測定は、栄養状態を把握するために有用である。
この記述は適切です。
「ちゃんと食べているか」は、自己申告や摂取量だけでは分かりません。
体重減少は、低栄養や脱水の最も確実なサインです。
定期的な測定は、健康管理の基本中の基本です。
とろみは「命綱」(選択肢3)
水を飲んでむせる場合は、汁物やお茶に適度なとろみをつけることも一つの方法である。
この記述は適切です。
サラサラした水分は、喉を通過するスピードが速く、気管に入りやすい(誤嚥しやすい)性質があります。
とろみをつけて流れる速度をゆっくりにすることで、誤嚥性肺炎のリスクを減らすことができます。
弁当は「見守り」も届ける(選択肢5)
配食サービスは、栄養改善の目的だけでなく、一人暮らし高齢者の見守りとしても活用できる。
この記述は適切です。
配食サービスは、単に弁当を届けるだけではありません。
「手渡し」を原則とすることで、安否確認の機能を果たします。
もし応答がなければ緊急連絡先に通報するなど、地域の見守りネットワークの重要な一部です。
誤答は2・4。逆効果になる危険なケア
誤りの選択肢は、高齢者の生理的特徴を無視した、危険なアプローチです。
高齢者は「痩せ」が敵(選択肢2)
低栄養を予防するためには、摂取するエネルギー量を減らす。
この記述は不適切です。
高齢者は代謝が落ち、食も細くなりがちです。
メタボ予防の感覚でカロリーを減らすと、あっという間に低栄養(PEM)に陥ります。
低栄養を防ぐには、高タンパク・高カロリーな食事でエネルギー量を増やす必要があります。
詰め込みは「窒息」の元(選択肢4)
スプーンはできるだけ深く大きいものとし、1回量を多くすることで食事の所要時間を短くする。
この記述は不適切です。
一口量が多いと、咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)が追いつかず、誤嚥や窒息の原因になります。
スプーンは口のサイズに合った浅めのものを選び、適量をゆっくり食べてもらうのが介助の鉄則です。
時短のために安全を犠牲にしてはいけません。