バイタルサインの落とし穴。高齢者の「熱が出ない」「測れない」リスク

問27

バイタルサインについて適切なものはどれか。3つ選べ。

  1. 生命の維持にかかわる最も基本的な情報である。
  2. 感染症にかかっても、発熱しないことがある。
  3. やせているため体温計を腋下部(腋の下)に密着できない場合には、正確に体温を測定できないことがある。
  4. 不整脈の有病率は、年齢層が高くなるにつれて減少する。
  5. 医師や看護師が血圧を測定すると低値になることが多い。
目次

正解は1・2・3。基本定義と測定のリアル

バイタルサイン(生命兆候)は、体温、脈拍、血圧、呼吸、意識レベルなどを指します。
高齢者の場合、教科書通りの反応を示さないことがあるため、注意が必要です。

生きている証拠(選択肢1)

生命の維持にかかわる最も基本的な情報である。

この記述は適切です。

バイタルサインは、文字通り「生きているしるし」です。
身体の状態を客観的に把握するための最も基本的で重要なデータです。

熱が出ない肺炎(選択肢2)

感染症にかかっても、発熱しないことがある。

この記述は適切です。

高齢者は生体防御反応や体温調節機能が低下しています。
そのため、肺炎などの重篤な感染症にかかっても、高熱が出ず、微熱や平熱のまま進行することがあります。
「熱がないから大丈夫」という判断は危険です。「元気がない」「食欲がない」といった変化を見逃せません。

痩せていると測りにくい(選択肢3)

やせているため体温計を腋下部(腋の下)に密着できない場合には、正確に体温を測定できないことがある。

この記述は適切です。

腋窩(わき)で体温を測る場合、体温計を皮膚に密着させて「閉じた空間」を作る必要があります。
高齢者で極度に痩せている(削痩)場合、わきの下に隙間ができてしまい、外気の影響を受けて低めに測定されることがあります。
測定角度の調整や、場合によっては口腔温など別の測定方法を検討します。

誤答は4・5。加齢変化と心理的影響

誤りの選択肢は、加齢による疾患リスクの変化や、測定時の心理状態に関するひっかけです。

不整脈は増える(選択肢4)

不整脈の有病率は、年齢層が高くなるにつれて減少する。

この記述は不適切です。

心臓も筋肉の塊ですから、加齢とともに機能が低下したり、変性したりします。
それに伴い、心房細動などの不整脈のリスクは年齢とともに増加します。
「歳をとれば心臓もあちこちガタがくる」とイメージすれば自然です。

白衣を見ると上がる(選択肢5)

医師や看護師が血圧を測定すると低値になることが多い。

この記述は不適切です。

医師や看護師を前にすると、緊張して血圧が上がってしまうことがあります。これを「白衣高血圧」と呼びます。
逆に、自宅で測ると正常値であることも多いため、家庭血圧の測定が推奨されます。
「低値」になるのは稀です。

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