「急にボケた」は認知症じゃない。せん妄を見抜く3つの鍵とNG対応

問26

せん妄に関する次の記述のうち適切なものはどれか。3つ選べ。

  1. 日常生活における活動性が低下することがある。
  2. 認知症を有する人は、せん妄を起こしやすい。
  3. 治療は、誘因にかかわらず薬物治療を最優先とする。
  4. せん妄の程度は、時間の経過とともに変化することがある。
  5. 夜間にせん妄を起こす高齢者には、日中の睡眠を十分にとらせる。
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正解は1・2・4。「波がある」のが最大の特徴

せん妄とは、意識が曇り、幻覚が見えたり興奮したりする「一時的な脳のパニック状態」です。
認知症との決定的な違いは、「急激に発症」し「変動する」こと。
正解の選択肢を見ていきましょう。

暴れるだけがせん妄ではない(選択肢1)

日常生活における活動性が低下することがある。

この記述は適切です。

大声を出す「過活動型」ばかりが注目されがちですが、ぼんやりして反応が鈍くなる「低活動型」のせん妄もあります。
「今日は大人しいな」と見過ごされやすく、発見が遅れる危険なタイプです。活動性の低下も立派な症状です。

弱った地盤は揺れやすい(選択肢2)

認知症を有する人は、せん妄を起こしやすい。

この記述は適切です。

認知症がある脳は、予備能力が低下しています。
脱水や発熱、環境の変化といった少しのストレス(誘因)で、簡単にパニック(せん妄)を起こします。
認知症は、せん妄の最大の準備因子(リスク因子)です。

天気のように変わる症状(選択肢4)

せん妄の程度は、時間の経過とともに変化することがある。

この記述は適切です。

せん妄には「日内変動」があります。
昼間はしっかりしているのに、夕方から急に辻褄が合わなくなる(夕暮れ症候群)。
このように、時間の経過とともに程度がコロコロ変わるのが特徴です。

誤答は3・5。その対応、火に油を注いでいないか

誤りの選択肢は、現場でやりがちな「悪手」です。

いきなり薬を使うな(選択肢3)

治療は、誘因にかかわらず薬物治療を最優先とする。

この記述は不適切です。

せん妄には必ず「原因(誘因)」があります。
便秘、脱水、痛み、睡眠薬の影響など。
火災報知機が鳴っているのに、火元(原因)を探さずに報知機を壊す(薬で黙らせる)ような真似をしてはいけません。
まずは原因の除去。薬物療法は最終手段です。

昼寝は夜の敵になる(選択肢5)

夜間にせん妄を起こす高齢者には、日中の睡眠を十分にとらせる。

この記述は不適切です。

夜間にせん妄が起きるからといって、昼間に寝かせてしまえば、昼夜逆転が悪化します。
生活リズムを整えることが、せん妄ケアの基本。
昼間は日光を浴びて活動してもらい、夜に自然な眠気を誘うのが正解です。

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