目次
【問36】緊急時の対応と応急処置(嘔吐物処理・心肺蘇生法)
【問題】次の記述のうち、より適切なものはどれか。3つ選べ。
- 倒れている高齢者を発見したときは、意識の有無を確認する。
- 吐物を処理する場合は、使い捨て手袋を使用し塩素系の消毒剤を使用する。
- 止血した腕は、心臓より低い位置で保持する。
- 心肺蘇生時の胸骨圧迫は、うつ伏せにして行う。
- 高齢者が発熱したときは、全身状態の変化も併せて観察する。
緊急時はまず意識の確認を行い、高齢者の発熱時は全身状態の変化にも注意を払います。感染予防として、吐物処理には手袋と塩素系消毒剤を使用します。一方で、止血部位は心臓より高い位置に保つ必要があり、心肺蘇生(胸骨圧迫)は必ず仰向けで行います。
【問37】高齢者の保健と疾病予防(フレイル・サルコペニア・COPD)
【問題】次の記述のうち適切なものはどれか。3つ選べ。
- 後期高齢者に対する健康診査では、フレイル状態のチェックも重要である。
- 握力の低下は、サルコペニア(筋肉減弱症)の目安となる。
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)を有する高齢者では、禁煙が重要である。
- 喫煙は、心筋梗塞の危険因子ではない。
- 多量の飲酒習慣は、脳卒中のリスクとは無関係である。
後期高齢者の健康診査ではフレイル(加齢による心身の衰え)のチェックが重要視されています。また、握力の低下はサルコペニアの診断基準の一つであり、COPD患者にとって禁煙は治療の基本です。なお、喫煙は心筋梗塞の危険因子であり、多量の飲酒は脳卒中や認知症のリスクを高めるため、これらは健康リスクと密接に関係しています。
【問38】高齢者の疾患と留意点(皮脂欠乏症・糖尿病・リウマチ)
【問題】次の記述のうち、より適切なものはどれか。3つ選べ。
- 皮脂欠乏症では、患部を清潔に保つことが悪化予防になることから、ナイロンタオルなどを使ってよく洗う。
- めまいやふらつきの原因となる疾患の一つに脳梗塞がある。
- 糖尿病の治療で薬を飲んでいる場合は、食事に気を付ける必要はない。
- 関節リウマチの患者には、身体に負担をかけないためにベッドの使用が望ましい。
- 高齢者の大腿骨頸部骨折は、寝たきりの原因となりやすい。
高齢者に多い脳梗塞はめまいやふらつきの原因となり、転倒による大腿骨頸部骨折は寝たきりの主要因です。また、関節への負担を減らすため、関節リウマチの人にはベッドの利用が推奨されます。一方で、乾燥した皮膚に刺激の強いナイロンタオルは厳禁であり、糖尿病治療中であっても食事療法は継続する必要があります。
【問39】死亡診断書の交付資格(医師・歯科医師)
【問題】死亡診断書を交付することができる資格として正しいものはどれか。2つ選べ。
- 介護支援専門員
- 介護福祉士
- 医師
- 歯科医師
- 薬剤師
死亡診断書の交付は、医学的判断と法的な証明を伴う重大な行為です。これが認められているのは、医師法に基づく医師と、歯科医師法に基づく歯科医師のみです。他の医療・福祉職(薬剤師、介護福祉士、ケアマネジャーなど)には、死亡を判定し診断書を作成する権限は一切与えられていません。
【問40】指定訪問看護ステーションの基準(管理者要件・人員配置)
【問題】指定訪問看護ステーションについて正しいものはどれか。3つ選べ。
- 管理者は、医師でなければならない。
- 主治の医師に、訪問看護計画書及び訪問看護報告書を提出しなければならない。
- 理学療法士を配置することができる。
- 訪問看護は、利用者の心身の機能の維持回復を図るよう妥当適切に行う。
- 看護職員は、すべて常勤で配置しなければならない。
指定訪問看護ステーションの管理者は、原則として保健師または看護師と定められています(医師ではありません)。また、看護職員の配置基準は常勤換算で2.5人以上ですが、常勤は1人以上いればよく、全員が常勤である必要はありません。なお、主治医への計画書・報告書の提出や、理学療法士等の配置は認められています。
【問41】指定訪問リハビリテーション(医師の指示・訪問看護との違い)
【問題】指定訪問リハビリテーションについて正しいものはどれか。3つ選べ。
- サービス提供には、医師の指示が必要である。
- 理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションを行うことにより、利用者の心身の機能の維持回復を図るものでなければならない。
- 事業者は、従業者、設備、備品及び会計に関する諸記録を整備しておかなければならない。
- 特定の研修を受けた介護福祉士であれば、サービスを提供することができる。
- 訪問看護ステーションの言語聴覚士がサービスを提供した場合は、訪問リハビリテーション費が算定される。
指定訪問リハビリテーションの実施には医師の指示が必須であり、事業者は記録の整備義務を負います。サービスを提供できるのは理学療法士・作業療法士・言語聴覚士であり、介護福祉士は提供できません。なお、訪問看護ステーションのセラピストが訪問する場合は、訪問リハビリテーション費ではなく訪問看護費として算定されます。
【問42】指定短期入所療養介護(医療ショート・利用条件)
【問題】指定短期入所療養介護について適切なものはどれか。2つ選べ。
- 家族の疾病を理由とした利用はできない。
- 短期入所療養介護計画は、おおむね4日以上連続して利用する場合に作成する必要がある。
- 要介護l又は要介護2と認定された者は、利用できない。
- 介護老人福祉施設で提供される。
- 酸素療法を必要とするなど医療ニーズが高い要介護者も利用できる。
指定短期入所療養介護(医療ショートステイ)は、おおむね4日以上連続して利用する場合に計画作成が必要であり、酸素療法などの医療ニーズが高い要介護者も利用できます。なお、家族の疾病時にも利用可能であり、要介護1・2の人も対象です。また、介護老人福祉施設(特養)で提供されるのは「短期入所生活介護」であり、療養介護とは異なります。
【問43】定期巡回・随時対応型訪問介護看護(医師の指示・訪問頻度)
【問題】指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護について適切なものはどれか。2つ選べ。
- 要支援者は利用できない。
- 利用者の心身の状況にかかわらず、毎日、訪問しなければならない。
- 訪問看護サービスの提供の開始に際し、主治の医師による指示を口頭で受ければよい。
- 日常生活上の緊急時の対応は想定されていない。
- 自らその提供するサービスの質の評価を行い、結果を公表しなければならない。
指定定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、要介護1~5の認定を受けた者が対象であり、要支援者は利用できません。また、事業者はサービスの質の評価を行い、結果を公表する義務があります。なお、訪問は利用者の状況に応じて行うため毎日の義務はなく、医師の指示は文書で受ける必要があり、緊急時の対応も業務に含まれます。
【問44】介護老人保健施設(老健)(在宅復帰・開設主体)
【問題】介護老人保健施設について適切なものはどれか。3つ選べ。
- 入所者の在宅復帰を目指すことが基本方針として定められている。
- 社会福祉法人は、開設できない。
- 若年性認知症を有する要介護者は、入所することができる。
- 介護支援専門員以外の者でも施設サービス計画を作成することができる。
- 所得の多寡を理由にサービスの提供を拒否することは禁じられている。
介護老人保健施設は、入所者の在宅復帰を目指すことを基本方針としており、若年性認知症の人も入所可能です。また、正当な理由なく(所得の多寡など)サービス提供を拒否することは禁じられています。なお、社会福祉法人も開設可能であり、施設サービス計画の作成は介護支援専門員が行わなければなりません。
【問45】介護医療院の機能と基準(長期療養・療養室の定員)
【問題】介護医療院について適切なものはどれか。3つ選べ。
- 主として短期的な療養が必要な者を対象とすることが基本方針として定められている。
- 要支援者は、入所することができない。
- 適切なリハビリテーションを計画的に行わなければならない。
- 診療所に併設できる場合がある。
- 1つの療養室の定員は、2人以下としなければならない。
介護医療院は、主として長期的な療養が必要な要介護者を対象としており、要支援者は入所できません。施設では計画的なリハビリテーションの提供が義務付けられています。また、病院だけでなく診療所に併設される場合もあります。なお、療養室の定員は4人以下と定められています。