【第27回】ケアマネ試験過去問 問26〜35 解説|保健医療福祉サービス分野

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【問26】せん妄の特徴と対応(認知症との違い・日内変動)

【問題】せん妄に関する次の記述のうち適切なものはどれか。3つ選べ。

  1. 日常生活における活動性が低下することがある。
  2. 認知症を有する人は、せん妄を起こしやすい。
  3. 治療は、誘因にかかわらず薬物治療を最優先とする。
  4. せん妄の程度は、時間の経過とともに変化することがある。
  5. 夜間にせん妄を起こす高齢者には、日中の睡眠を十分にとらせる。
せん妄は、認知症を有する人に起こりやすく、症状の程度が時間とともに変動するのが特徴です。また、興奮するだけでなく、ぼんやりとして活動性が低下する低活動型もあります。治療は原因(誘因)への対応が優先され、薬物療法は最優先ではありません。また、生活リズムを整えるため、日中の過度な睡眠は避けるべきです。

【問27】バイタルサインの測定と留意点(発熱・不整脈・血圧)

【問題】バイタルサインについて適切なものはどれか。3つ選べ。

  1. 生命の維持にかかわる最も基本的な情報である。
  2. 感染症にかかっても、発熱しないことがある。
  3. やせているため体温計を腋下部(腋の下)に密着できない場合には、正確に体温を測定できないことがある。
  4. 不整脈の有病率は、年齢層が高くなるにつれて減少する。
  5. 医師や看護師が血圧を測定すると低値になることが多い。
バイタルサインは生命維持の基本情報であり、高齢者などは感染症でも発熱しないことがあります。また、体温計が腋下に密着しないと正確に測定できません。なお、不整脈は加齢とともに増加し、医療従事者の測定では緊張により血圧が高くなる白衣高血圧が見られることがあります。

【問28】口腔ケアの手順(胃ろう・片麻痺の体位・義歯洗浄)

【問題】口腔のケアについて適切なものはどれか。3つ選べ。

  1. 口腔内・口腔周囲を動かすことは、口腔機能の維持・向上に資する。
  2. 胃ろうによる経管栄養を行っている高齢者では、口腔のケアは必要ない。
  3. 寝たきりで片麻痺がある人の場合には、誤嚥を防ぐため、麻痺側を下にして口腔のケアを行う。
  4. 食後は義歯をはずして口腔内を清掃し、義歯はブラシを使用して流水で洗う。
  5. 高齢者では唾液の分泌量が減り、う蝕や歯周病が起こりやすい。
口腔ケアは機能維持や感染予防に重要で、高齢者は唾液減少によりリスクが高まるためケアが必要です。義歯は外してブラシで洗浄します。なお、胃ろうの人も誤嚥性肺炎予防のためにケアは必須であり、片麻痺がある場合は誤嚥を防ぐため健側を下(麻痺側を上)にするのが鉄則です。

【問29】リハビリテーションの効果(廃用症候群予防・変形性膝関節症)

【問題】リハビリテーションについて適切なものはどれか。3つ選べ。

  1. 利用者の残存能力をできる限り活かす。
  2. 急性期及び回復期に獲得された機能をできるだけ長く維持することも重要である。
  3. 廃用による筋力低下や筋委縮の予防には、趣味や余暇活動への参加は効果がない。
  4. 本人が苦痛を感じなければ、同じ姿勢で安静臥床を続けることが望ましい。
  5. 変形性膝関節症は、歩行障害の原因となることがある。
リハビリテーションでは、利用者の残存能力を活かし、獲得した機能を維持することが重要です。また、変形性膝関節症は歩行障害の原因となります。なお、廃用症候群の予防には趣味・余暇活動も効果的であり、漫然とした安静臥床は廃用を進行させるため避けるべきです。

【問30】高齢者の精神疾患(うつ病・自殺リスク・アルコール依存症)

【問題】高齢者の精神疾患について、より適切なものはどれか。3つ選べ。

  1. 要因の一つに、脳の加齢性変化がある。
  2. うつ病では、自殺リスクはない。
  3. 配偶者や近親者の死が、うつ病の要因となることがある。
  4. アルコール依存症は、うつ病を合併することはない。
  5. 精神症状が定型的でなく、訴えは多彩かつ曖昧であることがある。
高齢者の精神疾患は、脳の加齢性変化や、配偶者などとの死別が要因となることがあり、症状の訴えが多彩で曖昧になりやすい特徴があります。なお、高齢者のうつ病は自殺リスクが高く、アルコール依存症を合併することもあるため注意が必要です。

【問31】退院調整とカンファレンス(ケアマネの役割・多職種連携)

【問題】次の記述のうち、より適切なものはどれか。3つ選べ。

  1. 入院中から退院後の生活に向けた準備を進めることが望ましい。
  2. 退院前カンファレンスには、利用者・家族は出席できない。
  3. 介護支援専門員には、退院前カンファレンスにおいて、病院関係者と在宅支援の関係者の橋渡し役になることが求められる。
  4. 介護支援専門員は、常に医学的立場に立って治療法について助言すべきである。
  5. 退院後の利用者を担当する介護支援専門員は、退院後の状況を入院していた病院に報告することが望ましい。
退院支援では、入院中からの準備や、病院と在宅チームとの橋渡し(連携)が重要であり、退院後の状況を病院へ報告することも望ましい対応です。また、退院前カンファレンスには利用者・家族も参加可能です。なお、介護支援専門員は医学的助言を行う立場ではなく、あくまで利用者の立場で生活を支援します。

【問32】栄養管理と食事介助(低栄養予防・とろみ・配食サービス)

【問題】栄養と食事について適切なものはどれか。3つ選べ。

  1. 体重測定は、栄養状態を把握するために有用である。
  2. 低栄養を予防するためには、摂取するエネルギー量を減らす。
  3. 水を飲んでむせる場合は、汁物やお茶に適度なとろみをつけることも一つの方法である。
  4. スプーンはできるだけ深く大きいものとし、1回量を多くすることで食事の所要時間を短くする。
  5. 配食サービスは、栄養改善の目的だけでなく、一人暮らし高齢者の見守りとしても活用できる。
栄養状態の把握に体重測定は有用であり、誤嚥予防として水分にとろみをつけることは有効です。また、配食サービスは栄養改善だけでなく安否確認(見守り)の役割も果たします。一方で、低栄養予防にはエネルギー摂取量を増やす必要があり、スプーンを大きくして一口量を増やす行為は誤嚥リスクを高めるため不適切です。

【問33】医療処置の知識(インスリン・透析・中心静脈栄養)

【問題】次の記述のうち適切なものはどれか。3つ選べ。

  1. 糖尿病の治療法の一つとして、インスリンの在宅自己注射がある。
  2. 人工透析は、腎臓の働きを補うために行う。
  3. 中心静脈栄養法では、必ず腕や手の細い静脈から点滴する。
  4. 経管栄養法では、胃や腸に管を用いて栄養を注入する。
  5. 人工呼吸療法は、体内への二酸化炭素の取り込みを促すために行う。
インスリン自己注射、腎機能を代替する人工透析、消化管に栄養を送る経管栄養法の記述は適切です。一方で、中心静脈栄養法は腕の細い血管ではなく、心臓に近い太い静脈(中心静脈)を使用します。また、人工呼吸療法は酸素を取り込み、二酸化炭素を排出するために行います。

【問34】感染症予防(標準予防策・肺炎球菌ワクチン・ノロウイルス)

【問題】感染予防について適切なものはどれか。3つ選べ。

  1. すべての人が感染症の病原体を保有している可能性があると考え、感染予防に努める。
  2. 高齢者には、肺炎球菌ワクチンの接種を毎年1回受けることが推奨されている。
  3. 高齢者における結核の初期症状としては、食欲不振、全身倦怠、体重減少などもある。
  4. 手洗いでは、指先、指の間、親指、手首も洗い忘れないようにする。
  5. ノロウイルスの消毒には、低濃度のエタノールを用いる。
感染対策の基本として、すべての人が病原体を持つと仮定するスタンダード・プリコーションの考え方や、手洗いの徹底は重要です。また、高齢者の結核は咳などが出にくく、食欲不振や倦怠感などの非定型な症状となることがあります。なお、肺炎球菌ワクチンの接種推奨期間は通常5年ごとであり、ノロウイルスの消毒にはアルコール(エタノール)ではなく次亜塩素酸ナトリウムが有効です。

【問35】医療機器の取り扱い(パルスオキシメーター・在宅酸素・ストーマ)

【問題】次の記述のうち適切なものはどれか。3つ選べ。

  1. パルスオキシメーターは、一般に手や足の指先に装着する。
  2. 自己導尿に用いるカテーテルの消毒は不要である。
  3. ネブライザーは、薬剤の投与や気道の加湿のために使われる。
  4. 在宅酸素療法では、携帯用酸素ボンベを使用して外出することができる。
  5. ストーマとは、気管切開口のことである。
パルスオキシメーターは指先で酸素飽和度を測定し、ネブライザーは吸入薬の投与や加湿に使用します。また、在宅酸素療法中でも携帯用ボンベを使えば外出可能です。一方で、自己導尿カテーテルは感染予防のため洗浄・消毒が必須であり、ストーマとは人工肛門や人工膀胱などの排泄口のことを指します。

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