目次
【問1】近年の介護を取り巻く状況(ダブルケア・ヤングケアラー)
【問題】わが国の近年の介護を取り巻く状況の説明として適切なものはどれか。3つ選べ。
- 介護を要する高齢者を同居している高齢者が介護する「老老介護」は、減少傾向にある。
- 育児と介護を同時に担う「ダブルケア」が課題となっている。
- 「ヤングケアラー」への支援が課題となっている。
- 介護者が仕事と介護を両立できるよう、法律により介護休暇及び介護休業が制度化されている。
- 特別養護老人ホームなどの老人ホームでの死亡者数は、減少傾向にある。
昭和的な家族介護モデルは崩壊しました。高齢者が高齢者を看る老老介護は増加し、子育てと重なるダブルケアや、子供が担うヤングケアラーが深刻な課題となっています。また、死に場所は自宅から施設へ移行しており、労働者を守るための育児・介護休業法が整備されています。
【問2】要介護認定者数の統計(令和3年度)
【問題】2021(令和3)年度末における全国の要(支援)認定者数の状況として正しいものはどれか。2つ選べ。
- 要介護(要支援)認定者のうち、第2号被保険者の占める割合は30%を超えている。
- 第1号被保険者に占める要介護(要支援)認定者の割合は40%を超えている。
- 85歳以上の被保険者のうち、要介護(要支援)認定者の占める割合は50%を超えている。
- 要介護(要支援)認定者数は男性より女性の方が多い。
- 要介護(要支援)状態区分別でみると、認定者数が最も多いのは、要介護5である。
85歳以上の被保険者のうち、要介護・要支援の認定を受けている割合は約60%に達し、50%を超えています。また、認定者数は平均寿命の長い女性の方が圧倒的に多いのが特徴です。一方で、第2号被保険者の認定割合は約2%と極めて少なく、要介護度別に見ると要介護1などの軽度者が最も多くを占めています。
【問3】医療保険者の事務(第2号保険料・納付金)
【問題】介護保険法に定める医療保険者の事務と正しいものはどれか。2つ選べ。
- 第1号被保険者の保険料の特別徴収を行う。
- 第2号被保険者の保険料を徴収する。
- 社会保険診療報酬支払基金に対し、介護給付費・地域支援事業支援納付金を納付する。
- 市町村に対し、介護給付費交付金を交付する。
- 市町村に対し、地域支援事業支援交付金を交付する。
介護保険法において、医療保険者は第2号被保険者(現役世代)の保険料を徴収し、それを社会保険診療報酬支払基金に納付する役割を担います。一方で、第1号被保険者の保険料を特別徴収するのは年金保険者であり、市町村に対して交付金を交付するのは社会保険診療報酬支払基金の役割です。
【問4】都道府県の責務
【問題】介護保険法に定める都道府県の責務として正しいものはどれか。2つ選べ。
- 介護報酬の算定基準を適切に設定しなければならない。
- 介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるように、必要な助言及び適切な援助をしなければならない。
- 介護保険事業が効率的に行われるように、年金保険者を指導・監督しなければならない。
- 認知症に関する知識の普及及び啓発に努めなければならない。
- 高齢者が経済活動に参加することを促さなければならない。
介護保険法において、都道府県は市町村に対する助言・援助(バックアップ)を行う責務を負っています。また、国や市町村とともに認知症の普及啓発に努めることも義務付けられています。一方で、全国一律の介護報酬算定基準を設定するのは国の役割であり、都道府県の権限ではありません。
【問5】第1号被保険者の要件と資格喪失
【問題】介護保険の第1号被保険者について正しいものはどれか。2つ選べ。
- 市町村の区域内に住所を有する65歳以上の者をいう。
- 保険給付の対象となるのは、特定疾病を原因として要支援・要介護状態になった者に限られる。
- 保険料は、地域支援事業の任意事業の財源に充当される。
- 居住する市町村から転出した場合は、その翌月から転出先の市町村の被保険者となる。
- 医療保険加入者でなくなった日から、第1号被保険者の資格を喪失する。
第1号被保険者とは65歳以上の住民を指し、その保険料は地域支援事業の任意事業の財源にも充てられます。給付対象に原因(特定疾病)が限定されることや、資格喪失に医療保険の有無が関わるのは第2号被保険者の特徴であり、第1号には当てはまりません。
【問6】区分支給限度基準額の対象サービス
【問題】区分支給限度基準額が適用されるサービスとして正しいものはどれか。3つ選べ。
- 訪問介護
- 地域密着型通所介護
- 居宅療養管理指導
- 認知症対応型通所介護
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
訪問介護やデイサービス(地域密着型含む)などの主要な居宅サービスは、区分支給限度基準額の対象となります。一方で、医師らによる居宅療養管理指導(代替性がない)や、施設入所系サービス(包括報酬)は対象外となります。
【問7】市町村長が指定するサービス(権限)
【問題】市町村長が指定する事業者が行うサービスして正しいものはどれか。3つ選べ。
- 居宅介護支援
- 通所介護
- 認知症対応型共同生活介護
- 介護予防短期入所生活介護
- 介護予防支援
介護サービスの指定権者は、原則として都道府県ですが、地域密着型サービス(グループホームなど)と居宅介護支援・介護予防支援(ケアプラン作成)については、より身近な市町村が指定を行います。
【問8】利用者負担と減免・給付
【問題】介護保険制度の給付と利用者負担について正しいものはどれか。3つ選べ。
- 被保険者が災害により住宅に著しい損害を受けた場合には、市町村は、定率の利用者負担を減免することができる。
- 施設介護サービス費に係る利用者負担は、一律2割の定率負担となっている。
- 区分支給限度基準額を超えてサービスを利用した場合には、その超えた部分は3割負担となる。
- 介護保険施設入所者の理美容代は、保険給付の対象とならない。
- 居宅介護サービス計画費については、利用者負担はない。
介護保険の利用者負担は、所得に応じて1割〜3割で変動し、区分支給限度基準額を超えた分は全額自己負担となります。一方で、ケアプラン作成費(計画費)は自己負担ゼロであり、災害時などには負担の減免措置もあります。また、施設での理美容代などは保険給付の対象外です。
【問9】高額介護サービス費の支給要件
【問題】高額介護サービス費について正しいものはどれか。2つ選べ。
- 世帯単位で算定される。
- 地域密着型サービスの利用に係る利用者負担額は、支給の対象とならない。
- 同一世帯に住民税が課税されている者がいる場合には、支給の対象とならない。
- 利用者の負担上限額は、6月単位で設定されている。
- 利用者の負担上限額は、所得によって異なる。
高額介護サービス費は、利用者の負担軽減のため、世帯単位で利用者負担額を合算し、所得に応じた月単位の上限額を超えた分を支給する制度です。地域密着型サービスも対象であり、課税世帯であっても上限を超えれば支給されます。
【問10】市町村介護保険事業計画
【問題】介護保険法に定める市町村介護保険事業計画について正しいものはどれか。3つ選べ。
- 市町村老人福祉計画と一体のものとして作成されなければならない。
- 市町村地域福祉計画と調和が保たれたものでなければならない。
- 介護保険施設の種類ごとの必要入所定員総数の見込みを定めなければならない。
- 各年度における地域支援事業の量の見込みを定めるものとする。
- 計画期間は、5年を1期とする。
市町村介護保険事業計画は、市町村老人福祉計画と一体のものとして作成し、市町村地域福祉計画と調和を保つ必要があります。計画期間は3年を1期とし、地域支援事業の見込み量などを定めますが、施設の入所定員総数を定めるのは都道府県の役割です。