「介護をお願いしたいけれど、家の中を見られるのは恥ずかしい」
「家族の揉め事やお金の事情を、近所に言いふらされたらどうしよう」
介護サービスの利用をためらう理由の一つに、こうした「プライバシーへの不安」があります。
確かに、ヘルパーさんやケアマネジャーは、家族以上に家庭の内情を知る立場になります。赤の他人に全てをさらけ出すのは勇気がいりますよね。
でも、安心してください。
国家資格である「介護福祉士」には、単なるマナーやモラルを超えた、法律による厳しい「義務」が課せられているのをご存知でしょうか?
今回は、私たちが安心して親を任せられる根拠となる、介護のプロたちの「鉄の掟」についてお話しします。
辞めた後も一生続く「秘密保持」の義務
介護福祉士法という法律には、プロとして守るべき義務がいくつか定められていますが、私たち家族にとって最も重要なのが「秘密保持義務」です。
これは文字通り、「業務で知った個人の秘密を漏らしてはならない」という決まりです。
「そんなの当たり前でしょ?」と思うかもしれませんが、この法律のすごいところは、「介護福祉士を辞めた後も、一生守らなければならない」と定めている点です。
たとえ退職しても、転職しても、その利用者の秘密は墓場まで持って行かなければなりません。もし破れば、法律によって罰せられます(懲役や罰金)。
それくらい重い覚悟を持って、彼らは仕事をしているのです。
「近所の井戸端会議でネタにされる」なんてことは、プロとして絶対に許されない行為なのです。
プライベートでも求められる「品位」
もう一つ、特徴的なのが「信用失墜行為(しんようしっついこうい)の禁止」です。
これは、「介護福祉士の信用を傷つけるようなことをしてはいけない」というルールです。
仕事中はもちろんですが、実はこれ、仕事をしていないプライベートな時間にも適用されると考えられています。
「あの介護士さん、普段の生活がだらしないわね」と後ろ指を指されるような行動は、資格全体の信用を落とすため慎まなければなりません。
常に「先生」と呼ばれる職業と同じように、高い倫理観と品位が求められているのです。
安心して「弱音」を吐いてください
このように、介護福祉士は「ただの優しい人」や「お世話係」ではありません。
法律と専門知識で武装した、信頼できるプロフェッショナルです。
ですから、恥ずかしがらずに、困っていることは何でも相談してください。
「実はお金がなくて…」
「親につい手を上げてしまいそうで…」
そんなデリケートな悩みこそ、彼らは法律の壁で守りながら、親身になって解決策を一緒に探してくれます。
『こんなことまで話さなきゃいけないの?』と躊躇してしまう質問にも、実はちゃんとした理由があります。プロがあなたの家庭の事情を聞く本当の目的はこちらです。

介護スタッフが熱心にメモを取っている『記録』も、決して誰かに言いふらすためのものではありません。むしろ、いざという時にあなたと家族を守る『証拠』になるのです。

まとめ
介護は、他人を家に入れることから始まります。
最初は抵抗があるかもしれませんが、「この人たちは法律で秘密を守る義務があるんだ」と知っているだけで、心のハードルは少し下がるはずです。
信頼できるプロを味方につけて、家族だけで抱え込まない介護を目指しましょう。
もし、その『家の恥』が、家族による虐待や不適切なケアに関することだとしても、プロはあなたを責めたりしません。守秘義務を持った彼らに相談することが、事態を好転させる第一歩になります。

「介護福祉士は辞めた後も秘密を守る」。これ、法律の常識です。
ただのマナーだと思っていませんか?実は法律で定められた厳格な義務であり、国家試験でも必ず問われるポイントです。
「プロってすごい!」と感心したあなた。ぜひ実際の試験問題で、その責任の重さを確認してみてください。
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