ケアプランに「頑張る」はNG?良い計画書の見分け方と、自宅に来てくれる「アウトリーチ」の活用法

「ケアマネジャーさんに計画書(ケアプラン)を作ってもらったけれど、難しくてよく読んでいない」
「とりあえずハンコを押して渡してしまった」

介護の現場では、そんなご家族の声をよく耳にします。
専門的な書類に見えるかもしれませんが、実はそこに書かれている内容は、親御さんのこれからの生活を左右する「設計図」そのものです。

介護のプロ(ソーシャルワーカーやケアマネジャー)は、相談援助の技術を使って皆さんを支えていますが、その「プロの流儀」を知っておくと、より良いサービスを受けることができます。

今回は、良い計画書の見極め方と、こちらから相談に行けない時の頼もしい味方「アウトリーチ」についてお話しします。

目次

良い計画書は「具体的」に書かれている

まず、お手元のケアプランを確認してみてください。
目標の欄に、以下のような言葉が並んでいませんか?

  • 「楽しく過ごす」
  • 「リハビリを頑張る」
  • 「健康に気をつける」

一見、良い目標に見えますが、プロの視点からすると、これらは「具体性に欠ける」ため、あまり良い計画とは言えません。

なぜなら、「何をすれば達成したことになるのか」が誰にも分からないからです。
相談援助の鉄則は、「誰が見ても行動できたかどうかが分かるように、具体的に立てること」です。

良い目標の例

  • 「楽しく過ごす」→「週に2回、デイサービスの囲碁クラブに参加して仲間と交流する」
  • 「リハビリを頑張る」→「1日1回、手すりを持って廊下を往復する」

このように、具体的な行動目標になっているかどうかが、良いケアプランの分かれ道です。
もし抽象的な言葉ばかり並んでいたら、「具体的にはどんなことをすればいいですか?」と担当者に質問してみましょう。それだけで、計画の質がグッと上がります。

相談に行けない人を救う「アウトリーチ」

「親が介護拒否をしていて、相談窓口に行こうとしない」
「引きこもりがちで、困っているのに声を上げられない」

そんな悩みを抱えているご家族に知ってほしい専門用語が「アウトリーチ」です。

これは日本語で「手を伸ばす」という意味。
従来の行政サービスは「窓口に来た人の相談に乗る」という受け身の姿勢が基本でしたが、現在は「支援が必要なのに来られない人の元へ、専門職が自ら出向くこと」が重要視されています。

地域包括支援センターなどの職員は、このアウトリーチの機能を持っています。
「親が窓口に行きたがらない」と諦めず、まずは電話で「自宅に来て、様子を見てもらえませんか?」と相談してみてください。プロの方から、親御さんの生活の場へ「手を伸ばして」くれるはずです。

介護はプロとの「二人三脚」

もう一つ、大切なことがあります。
それは、「介護はプロに丸投げするものではなく、一緒に走るもの」だということです。

どんなに優秀なケアマネジャーでも、ご本人やご家族の「こうしたい」という意志がなければ、良い支援はできません。
目標を共有し、二人三脚で取り組むことが、問題解決への最短ルートになります。

また、支援が進んで目標を達成したり、施設に入居して担当が外れたりする(支援が終結する)際は、親御さんが「支えを失った」と不安にならないよう、プロは心のケアも行います。
「今までありがとう。これからも大丈夫ですよ」と背中を押してもらえる関係を築くためにも、普段から「どうなりたいか」を共有しておくことが大切です。

まとめ:計画書を一度見直してみよう

介護のプロたちは、ただ漫然と支援しているわけではありません。
「具体的な計画」を立て、「自ら出向き(アウトリーチ)」、そして「パートナーとして共に歩む」という技術を持っています。

まずは次回の面談で、ケアプランを見ながら「この目標のために、具体的に何をしましょうか?」と話しかけてみてください。
その一言が、親御さんの生活をより良いものに変えるスイッチになるはずです。

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