ショートステイはずっと使えない?ケアプランを作る前に知っておきたい「3つのルール」

親御さんの介護サービスを利用するために必要な「ケアプラン(居宅サービス計画書)」。
担当のケアマネジャーさんと相談しながら作っていきますが、実はこのプラン作り、利用者の希望がすべて通るわけではありません。

「介護保険を使えば、家族の負担を減らすためにショートステイをずっと利用できる」
「便利な電動ベッドだから、とりあえず借りておきたい」

そんなふうに考えていたのに、「制度上、それは難しいんです」と断られてしまった……という経験はありませんか?

実は、介護保険制度には、サービスの公平性を保つための「守るべきルール」がいくつか存在します。
今回は、ケアプランを作る上で特に知っておきたい、ショートステイの日数制限や福祉用具レンタルの条件など、代表的なルールについてわかりやすく解説します。

目次

1. ショートステイは「認定期間の半分」までが目安

数日間施設に宿泊できる「ショートステイ(短期入所生活介護)」は、ご家族の休息(レスパイト)や急な用事の際にとても頼りになるサービスです。

「いっそのこと、月の半分以上をショートステイで過ごしてもらえれば、自宅での介護が楽になるのに」
そう考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これには制限があります。

原則として、「ショートステイの利用日数は、要介護認定の有効期間のおおむね半分を超えてはいけない」というルールがあるのです。

例えば、認定の有効期間が「6ヶ月」だとしたら、その半分の「3ヶ月分」の日数を超えてショートステイを利用することは、基本的には認められません。
ショートステイはあくまで「在宅生活を続けるための一時的な避難所」という位置付けだからです。

もし、半分を超えて長期的に施設で過ごす必要がある状態なら、在宅サービスではなく、特別養護老人ホームや老人保健施設への「入所」を検討する時期に来ているのかもしれません。

2. 福祉用具は「なんとなく」では借りられない

車椅子や介護ベッドなどの「福祉用具」は、介護保険を使えば費用の1〜3割負担でレンタルできます。
カタログを見ると便利な道具がたくさんあり、「あれもこれも借りておけば安心かも」と思いがちですが、ここにもルールがあります。

それは、「なぜその道具が必要なのか、具体的な理由をプランに書かなければならない」ということです。

「あったら便利そうだから」
「将来必要になりそうだから」

といった曖昧な理由では、介護保険は使えません。
「起き上がりが困難なため、電動ベッドの背上げ機能が必要」「外出時に転倒のリスクがあるため、車椅子が必要」といったように、今の身体状況に不可欠である理由が必要です。

3. ヘルパーの回数制限は「絶対」ではない

掃除や洗濯、調理などをお願いする「訪問介護(生活援助)」。
これには、要介護度ごとに「月に〇〇回まで」という利用回数の基準(目安)が国によって定められています。

「回数制限があるから、これ以上は頼めないの?」と不安になるかもしれませんが、ここには救済措置があります。

この基準は「絶対に超えてはいけない上限」ではありません。
独居であったり、認知症で常に見守りが必要であったりと、どうしても基準以上の回数が必要な事情がある場合は、ケアマネジャーを通じて市町村に届け出ることで利用が可能になります。

「ルールだからダメ」と諦める前に、「今の生活にはこれだけの回数がどうしても必要なんです」と、ケアマネジャーに実情を相談してみることが大切です。

認定証の「コメント」にも注目しよう

最後に、お手元の「介護保険被保険者証」を確認してみてください。
要介護認定の結果が書かれている欄の下に、「認定審査会意見」という項目がある場合があります。

もしここに、「サービスの利用にあたって留意すべき事項」などが書かれていたら、ケアマネジャーはそれを無視してプランを作ることはできません。
これは、医療や福祉の専門家たちが「この人にはこういう配慮が必要だ」と判断した重要なメッセージです。

まとめ:ルールを知って、ケアマネジャーと相談を

ケアプラン作成には、いくつかの「縛り」があります。

  • ショートステイ:使いすぎに注意(期間の半分まで)。
  • 福祉用具:明確な利用理由が必要。
  • 訪問介護:回数制限はあるが、事情があれば相談可能。

これらのルールは、少し窮屈に感じるかもしれませんが、限られた財源の中でみんなが公平にサービスを使うためのものです。
「ダメと言われた理由」がわかれば、対策も見えてきます。ぜひこれらのポイントを押さえて、ケアマネジャーさんと「実現可能なベストなプラン」を話し合ってみてください。

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