親御さんの介護が始まると作成される「ケアプラン(介護サービス計画書)」。
最初は一生懸命内容を確認していても、半年、1年と経つうちに、「まあ、前回と同じでいいですよ」とハンコを押すだけの作業になっていませんか?
また、ケアマネジャーや施設スタッフとの定期的な面談(モニタリング)を、「忙しいのに面倒だな」と感じてしまうこともあるかもしれません。
でも、はっきりと言わせてください。
この「計画を作った後の振り返り(評価)」こそが、親御さんがより良い介護を受けられるかどうかの分かれ道なのです。
今回は、介護のプロたちが大切にしている「評価」というプロセスについて、家族が知っておくべき参加のポイントをお話しします。
「評価」とは、テストの点数をつけることではありません
介護の現場で言う「評価」とは、良い・悪いの点数をつけることではありません。
また、「隣のAさんに比べて、うちの親はできているか」と比較することでもありません。
ここでいう評価とは、「最初に立てた目標(ゴール)に対して、どのくらい近づけたか」を確認する作業のことです。
例えば、「杖を使って一人でトイレに行けるようになる」という目標があったとします。
3ヶ月後に振り返った時、「まだ行けないからダメ(0点)」ではなく、「手すりがあれば行けるようになった(70点)」と、達成度を確認します。
この確認作業があるからこそ、「じゃあ次は、手すりなしで立つ練習を入れようか」と、次のステップ(計画の修正)に進むことができるのです。
ケアプランは「成長する地図」です
介護計画は、一度作ったら終わりではありません。
やってみて効果がなければ方法を変え、状態が良くなれば目標を高くする。
洋服のサイズ直しのように、「今の親御さんの状態」に合わせて、常にアップデートし続けるものです。
もし「評価」を省略してしまうと(選択肢5の誤り)、サイズの合わない服を着せ続けているような状態になります。
それでは、親御さんは窮屈で動きづらいままですし、せっかくの残存機能も活かせません。
プロたちは、「計画→実行→評価→改善」というサイクル(PDCAサイクル)を回すことで、親御さんにとってベストなケアを常に探し続けているのです。
家族だからこそできる「評価」への参加
では、家族は定期面談で何をすればいいのでしょうか。
難しい専門用語を知る必要はありません。「家での親御さんの変化」を率直に伝えてください。
- 「最近、顔色が良くなりました」
- 「ヘルパーさんが来る日を楽しみにしています」
- 「実は、お風呂の後は少し疲れているみたいです」
こうした家族の生の声が、プロにとっては一番の評価材料になります。
「数値」には表れない「感情」や「生活の質」の変化を伝えること。それが、次のケアプランをより良いものにするためのヒントになります。
まとめ
ケアプランの更新や定期面談は、単なる事務手続きではありません。
「今のケアで親は幸せか?」をみんなで確認し合う、大切な作戦会議です。
「前回と同じで」と流さずに、「この目標、どこまで達成できましたかね?」と一言聞いてみてください。
その一言が、親御さんの生活をブラッシュアップするきっかけになるはずです。
「目標の達成度を見る」。これが介護計画の基本です。
他人との比較ではなく、その人自身の目標に対してどうだったかを振り返る。この「評価」の視点は、質の高いケアを維持するために欠かせないものであり、国家試験でも問われる重要ポイントです。
「プロはここを見ているのか!」と納得したあなた。ぜひ実際の試験問題で、その視点を確認してみてください。
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