ケアマネジャーの「記録」は家族を守る盾。厳しいルールの意味とは

ケアマネジャーがご自宅を訪問した際、熱心にノートにメモを取ったり、事務所に戻ってからパソコンに向かって報告書を作成したりしている姿を目にすることがあると思います。

「毎回何をそんなに詳しく書いているんだろう?」
「プライベートなことまで記録されるのはちょっと恥ずかしいな」

そんなふうに感じることもあるかもしれません。
しかし、ケアマネジャーが日々残している膨大な記録は、単なる業務日誌ではありません。いざという時に親御さんと私たち家族を守ってくれる、大切な「証拠(盾)」でもあるのです。

今回は、ケアマネジャーに課せられている「記録のルール」と、それが私たちの安心にどうつながっているのかについてお話しします。

目次

「誰が読んでもわかる」ように書くのがプロの義務

ケアマネジャーの記録には、厳格なルールがあります。それは「時系列に沿って、誰が読んでも理解できるように書くこと」です。

自分だけがわかるメモ書きでは許されません。
いつ、どこで、誰と会い、どんな話をして、どう判断したのか。これらを客観的に残すことが義務付けられています。

これが私たちにとってどんなメリットがあるかと言うと、一番は「引継ぎの安心感」です。

もし担当のケアマネジャーが急病で退職したり、転居で事業所が変わったりすることになっても、この詳細な記録があれば、後任者はスムーズに状況を把握できます。
「また一から説明しなきゃいけないの?」という家族の負担を減らし、切れ目のないケアを受けるための土台となっているのです。

サービス終了後も「2年間」は保存される

「親が施設に入ったから、もう居宅のケアマネジャーとの契約は終わり」
「残念ながら親が亡くなり、サービスが終了した」

こうして契約が終了(完結)したとしても、それまでの記録がすぐにシュレッダーにかけられることはありません。
法令により、「サービスが完結した日から2年間」は記録を保存する義務があるからです。

過去にどのような経緯でサービスを利用していたのか、どんなトラブルがあり、どう対処したのか。
これらが一定期間保管されていることは、後々の確認事項が発生した際や、万が一の法的トラブルの際にも、事実関係を証明する重要な材料になります。

事故やトラブルも「隠さず」記録される

介護現場では、転倒や誤嚥(ごえん)などの事故が起こるリスクが常にあります。
もし、ケアマネジャーが関わるサービスの中で事故が発生した場合、彼らはその状況や、その時どう処置したかを詳細に記録しなければなりません。

「なかったことにする」は許されません。
事故対応の記録を残し、市町村へ報告することは、再発防止のためだけでなく、事業者としての誠実な対応を示すためにも不可欠なルールとなっています。

私たち家族も「介護ノート」をつけよう

プロであるケアマネジャーがこれほど詳細に記録を残しているのなら、私たち家族もそれを利用しない手はありません。

おすすめしたいのは、大学ノート一冊で構いませんので、「介護ノート」を用意することです。

  • 親御さんの体調の変化(食事量、睡眠、気分の波など)
  • ケアマネジャーやヘルパーさんに伝えたこと、言われたこと
  • サービス利用中のちょっとした出来事

これらを日付入りでメモしておきましょう。
人間の記憶は曖昧なものです。「言った言わない」のトラブルを防ぐだけでなく、ケアマネジャーとの面談時に「先週の〇〇日はこんな様子でした」と具体的に伝えることで、より精度の高いケアプラン作りにつながります。

記録は、信頼関係を結ぶための共通言語です。
プロの記録と家族の記録、両方で親御さんの生活をしっかりと見守っていきましょう。

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