春先に自治体から届く「介護保険料決定通知書」。
封を開けてみて、「あれ? 前より保険料が上がっている気がする…」と首をかしげたことはありませんか?
実は、私たちの支払う介護保険料は、役所の気まぐれで決まっているわけではありません。
法律によって定められた「3年ごとのサイクル」に基づいて、定期的に見直しが行われているのです。
「なぜコロコロ変わるの?」「私たちの町はこれからどうなるの?」
そんな疑問を解消するために、今回は自治体の裏側で動いている「計画」の話と、それが私たちの家計にどう関わっているのかをお話しします。
介護保険は「3年」がひとつの区切り
介護保険制度において、最も覚えておきたい数字は「3」です。
市町村は、3年を1期(ひとつの期間)として、「今後3年間で、どれくらいの高齢者が、どれくらいサービスを使いそうか」という見通しを立てます。これを「介護保険事業計画」と呼びます。
この計画を作る際、同時に計算されるのが「介護保険料」です。
「次の3年間でこれくらいの費用がかかりそうだから、保険料はこれくらい必要だね」と算出され、一度決まると、原則として3年間はその保険料額が続きます。
つまり、介護保険料が上がったり下がったりするのは、3年に一度の「計画更新のタイミング」なのです。
「ずっと同じ金額ではない」と知っておくことで、次の改定時期に向けた家計の心づもりもしやすくなります。
3年ごとに変わるのはわかったけれど、そもそもこの金額はどうやって計算されているの? 保険料の半分は『税金』で賄われているなど、意外と知らないお財布事情について解説します。

縦割りじゃない?「福祉」と「介護」の二人三脚
「役所仕事は縦割りだから、あっちの窓口とこっちの窓口で言うことが違う」
そんなイメージをお持ちの方もいるかもしれません。
しかし、高齢者支援の計画に関しては、法律で「一体的に作ること」が強く義務付けられています。
- 老人福祉計画(高齢者福祉全般)
- 介護保険事業計画(介護サービス)
この2つは、いわば夫婦のような関係です。
「介護保険だけでなく、福祉全体で高齢者を支える」という視点で、矛盾がないようにセットで作られています。
さらに、地域全体の福祉(障害者や児童も含む)の計画とも「調和」を保つよう決められています。
私たちが相談に行く窓口の裏側では、制度同士がちぐはぐにならないよう、しっかりと調整が行われているのです。
「特養」がなかなか増えない理由
「うちの町には特別養護老人ホーム(特養)が少なくて、全然入れない」
そんな嘆きを聞くことがあります。
「市役所はもっと施設を作ればいいのに」と思うかもしれませんが、実はここには都道府県の役割が関係しています。
大きな施設(特養など)の定員数は、市町村だけで勝手に決めるのではなく、「都道府県」が広域的なバランスを見て調整しています。
もし一つの町だけに施設が集中してしまうと、地域間のバランスが崩れてしまうからです。
一方で、地元の公民館で行う「介護予防体操」や「見守り活動」といった身近なサービス(地域支援事業)は、市町村が主導して計画しています。
大きなハコモノは県レベル、身近なソフト事業は市町村レベルと、役割分担がされているのです。
施設の定員調整など、裏方として動く『都道府県』と、窓口となる『市町村』。この二重のバックアップ体制を知っておくと、困ったときの相談先がより明確になります。

私たちが参加できる「3つのアクション」
こうした計画の話を知った上で、私たちはどう動けばよいのでしょうか。
1. 「パブリックコメント」に注目する
3年に一度の計画策定の時期になると、市町村は「計画案への意見(パブリックコメント)」を募集します。
「もっとこんなサービスが欲しい」「保険料が高すぎる」といった声を届けるチャンスです。広報誌などで募集を見かけたら、ぜひ意見を送ってみてください。
2. 「3年後の備え」をする
介護保険料の通知が来てから慌てるのではなく、「3年ごとに見直しがある」と意識しておきましょう。
高齢化が進む日本では、基本的に保険料は上昇傾向にあります。「次の改定でもしかしたら上がるかも」と予想して、家計に少し余裕を持たせておくことが大切です。
3. 市町村独自のサービスを使う
市町村が計画している「地域支援事業(介護予防教室など)」は、私たちが払った保険料を使って運営されています。
使わない手はありません。広報誌をチェックして、元気なうちから利用できるサービスには積極的に参加しましょう。それが結果的に、将来の介護予防にもつながります。
まとめ
役所の計画は、難しい書類の中だけの話ではありません。
私たちの支払う保険料や、利用できるサービスの量に直結する、生活の土台となるものです。
「3年ごとに見直されている」「福祉と介護はセットで動いている」。
この仕組みを知ることで、役所からの通知や広報誌を見る目が、少し変わってくるはずです。
通知書が届いて『計算が間違っているのでは?』『納得できない』と感じたら。泣き寝入りせずに再審査を求めることができる『不服申し立て』の手順についても確認しておきましょう。

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