「筋肉が動かなくなる」不安と向き合う。難病でも趣味を楽しみ、家族も笑顔でいるための生活の知恵

「もし、体が思うように動かせなくなったら…」
「家族に重い負担をかけてしまうのではないか」

病気や老化で身体機能が低下していくことに、漠然とした恐怖を感じている方は多いかもしれません。
特に「難病」と診断されると、人生が真っ暗になったように感じてしまうこともあるでしょう。

しかし、障害があっても、車椅子生活になっても、その人らしい豊かな人生は続いていきます。

今回は、筋肉が徐々に衰えていく難病「筋ジストロフィー」を抱えながら、自宅で創作活動を続けるDさんの事例をヒントに、病気との上手な付き合い方と、家族が潰れないための介護サービスの活用法についてお話しします。

目次

筋肉が「壊れていく」病気、筋ジストロフィー

まず、今回のテーマとなっている「筋ジストロフィー」について少しだけ解説します。

これは、筋肉の細胞が壊れやすく、再生されにくくなる遺伝性の病気です。
健康な人は、運動して筋肉が傷ついてもすぐに修復されて強くなりますが、この病気の方は修復がうまくいかず、だんだんと筋肉が痩せて力が弱くなってしまいます。

Dさんが患っている「ベッカー型」は、比較的進行が緩やかで、成人になっても歩ける期間が長いタイプですが、それでも徐々に筋力は低下し、車椅子や介助が必要になります。

「できないこと」より「できること」を楽しむ

Dさんは電動車椅子を使い、排泄や入浴には介助が必要な状態です。
しかし、彼は決して「何もできない人」ではありません。

「絵を描くことが趣味であり、日中は創作活動に取り組んでいる」

ここが非常に重要なポイントです。
足は動かなくても、手は動く。あるいは、口を使って筆を持つこともできるかもしれません。
病気で失った機能を嘆くのではなく、「残された機能(残存機能)」を使って、好きなことに没頭する。

この「生きがい」があるかないかで、生活の質(QOL)は天と地ほど変わります。
もし親御さんが体を悪くして塞ぎ込んでいたら、「昔好きだったあの趣味、道具を変えればできるんじゃない?」と提案してみてください。楽しみを見つけることは、最高のリハビリになります。

家族の「限界」が来る前にプロを呼ぶ

Dさんはこれまで家族の介護で生活していましたが、身体機能の低下に伴い、「居宅介護(ホームヘルプ)」を利用することになりました。

これは、家族にとっての「敗北」ではありません。むしろ「英断」です。

筋肉が衰えた大人の体を支えたり、入浴させたりするのは、家族にとって重労働です。
「家族だから頑張らなきゃ」と無理を続けると、腰を痛めたり、精神的に追い詰められたりして、共倒れになってしまいます。

「負担が増えたな」と感じたら、それはプロを入れる合図です。
入浴や排泄などの大変なケアをヘルパーさんに任せることで、家族は「介護要員」から「家族」に戻り、Dさんと笑顔で会話する余裕が生まれます。

まとめ

病気は、その人の「一部」ではあっても「全て」ではありません。
筋肉は痩せても、その人の感性や、楽しむ心まで痩せさせる必要はないのです。

「助けて」と言える勇気と、夢中になれる趣味。
この2つがあれば、どんな状況でも、自分らしい生活を守り抜くことができます。

「筋ジストロフィーは筋肉の病気」。この基本を知っていますか?
神経の病気なのか、筋肉そのものの病気なのか。この違いを理解することは、病気の進行予測やケアの方法を考える上で非常に重要です。
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