「お風呂は面倒」と言う親をその気にさせる!自宅のお風呂が「最強のリハビリプール」になる理由

「お父さん、お風呂沸いたよ」
「今日は疲れてるからいいや。面倒くさい」

高齢になると、服を脱いだり体を洗ったりする動作が億劫になり、入浴を嫌がることが増えてきます。
「汚くても死なないし、まぁいいか」と諦めてしまうご家族もいるかもしれません。

でも、ちょっと待ってください。
お風呂は単に体を清潔にするだけの場所ではありません。
実は、膝や腰が痛くて普段あまり動けない親御さんにとって、「地上ではできない運動ができる、魔法のリハビリ空間」でもあるのです。

今回は、お湯が持つ不思議な力(作用)と、それを利用して親御さんを元気にする入浴テクニックについてお話しします。

目次

お湯の中では、体重が「10分の1」になる?

お風呂に入ると、体がふわっと軽くなるのを感じますよね。これが「浮力(ふりょく)」の力です。

肩までお湯に浸かると、浮力の作用で体重は陸上の約10分の1になると言われています。
普段、50kgの体重を支えて悲鳴を上げている膝や腰も、お湯の中ならたった5kgの負担で済むのです。

この「無重力に近い状態」こそが、リハビリのチャンスです。
部屋の中では痛くて曲げ伸ばしができない膝も、お風呂の中ならスムーズに動かせることがよくあります。

「お風呂の中で足をバタバタさせるだけで、すごいリハビリになるんだって」
そう伝えて、入浴を「気持ちいいリハビリタイム」に変えてしまいましょう。

「肩まで浸かる」が危険な場合も

ただし、お湯にはもう一つ「静水圧(せいすいあつ)」という力があります。
体がお湯に締め付けられる圧力のことです。

適度な圧力は、足のむくみを取ったり血流を良くしたりする効果がありますが、心臓にとっては負担になることもあります。
特に心臓に持病がある方の場合、首までどっぷり浸かると水圧がかかりすぎて危険なことがあります。その場合は「みぞおちまでの半身浴」が安全です。

また、熱すぎるお湯(42℃以上)も血圧を急上昇させるのでNGです。リラックスして運動するためにも、38℃〜40℃のぬるめのお湯にゆっくり浸かるのが正解です。

リハビリ入浴を安全に行うためのグッズ

お風呂の中で体を動かす時は、転倒や溺れる事故に十分注意が必要です。安全グッズをうまく活用しましょう。

1. 必須アイテム「浴槽内すべり止めマット」

お湯の中で足を動かすと、お尻や足がツルッと滑って溺れてしまう危険があります。
浴槽の底に吸盤で貼り付ける「すべり止めマット」を必ず敷きましょう。足元が安定すれば、安心して運動ができます。

2. 立ち上がりを助ける「浴槽手すり」

浴槽の縁(ふち)を挟むように取り付ける「浴槽手すり」があれば、またぐ動作が格段に楽になります。
工事不要で取り付けられるものが多く、しっかり握れるので転倒予防に最適です。

3. 体を洗う負担を減らす「シャワーチェア」

体を洗う時にふらつくなら、背もたれと肘掛けがついた「介護用シャワーチェア」を導入しましょう。
座ったまま体を洗えるので疲れにくく、「お風呂=疲れる」というイメージを払拭できます。

まとめ

お風呂は、痛みを忘れて体を動かせる、家の中で一番自由な場所かもしれません。

「今日は膝の調子どう? お風呂の中で少し曲げ伸ばししてみようか」
そんな声かけで、入浴を楽しい健康習慣に変えていってください。

「お風呂で関節運動」。これが理にかなっている理由、わかりますか?
「浮力作用」によって身体への負担が減るため、陸上よりも関節を動かしやすくなる。このメカニズムは、介護福祉士国家試験でも問われる「入浴の生理学的作用」の基本知識です。
「なるほど!」と膝を打ったあなた。ぜひ実際の試験問題で、その理解を深めてみてください。
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