お盆や正月に久しぶりに会ったお孫さんや娘さんが、別人のように痩せていて驚いたことはありませんか?
心配して「ちゃんと食べてるの?」と声をかけても、本人はどこ吹く風。
「ダイエット中だから」
「まだ太ってるし、もっと絞らなきゃ」
そんな返事が返ってくる。しかも、痩せ衰えているかと思いきや、毎日ジョギングをしたり、家の中で忙しく動き回ったりと、以前よりも活動的になっている……。
「まあ、これだけ元気なら大丈夫か」
そう思って見過ごしてしまいそうになりますが、実はその「激痩せしているのに、やたらと元気(活動的)」という状態こそが、ある心の病気の危険なサインかもしれないのです。
今回は、10代〜20代の若い女性に多い「神経性無食欲症(いわゆる拒食症)」について、家族が知っておくべき特徴と接し方をお話しします。
「元気そうに見える」のが一番の落とし穴
拒食症と聞くと、栄養失調でフラフラになり、寝たきりになっている姿を想像するかもしれません。
しかし、病気の初期〜中期にかけては、真逆の反応が出ることがあります。それが「活動性の亢進(こうしん)」です。
これは、以下のような心理から来る行動だと言われています。
- 「食べた分のカロリーを消費しなきゃ」という強迫観念
- 「痩せている自分」を維持するための過度な運動
- 飢餓状態による脳の興奮
つまり、彼女たちは元気だから動いているのではなく、「痩せるために休むことができない」のです。
家族がこのサインを見逃し、「ダイエットがうまくいって活動的になったね」と誤解してしまうと、発見が遅れる原因になります。
鏡の中の自分は「太っている」と見える
もう一つ、家族を困惑させるのが「ボディイメージの歪み」です。
周りから見れば骨と皮だけのガリガリの状態でも、本人が鏡を見ると「まだお腹が出ている」「太ももが太い」と本気で感じてしまっています。
これは「わがまま」や「美意識の高さ」ではなく、脳の認知機能にエラーが起きている状態です。
だからこそ、家族が真正面から「痩せすぎだよ!もっと食べなさい!」と正論をぶつけても、本人の心には届きません。
それどころか、「私を太らせようとする敵だ」と認識され、心を閉ざしてしまうこともあります。
家族にできる「3つのステップ」
この病気は、本人の力だけで治すのは非常に困難です。家族は「食事の管理」ではなく、「心のサポート」に徹しましょう。
1. まずは病気を理解する「専門書・コミックエッセイ」
「なぜ食べないのか」が理解できないと、どうしてもイライラしてしまいます。
まずは、摂食障害の当事者が書いた「コミックエッセイ」や、家族向けの「解説書」を読んでみてください。
「食べたくても食べられない」苦しみを知ることで、かける言葉が変わってきます。
2. 直接言いにくいことは「手紙」で伝える
食事の席で直接注意すると、どうしても口論になりがちです。
そんな時は、可愛い「レターセット」を使って、手紙で気持ちを伝えてみませんか?
「もっと食べろ」ではなく、「あなたが辛そうにしているのが心配だ」「元気でいてくれるだけで嬉しい」と、I(アイ)メッセージで愛情を伝えることが、本人の孤独感を和らげます。
3. 早めに「専門家」とつながる
摂食障害は、命に関わることもある病気です。
家族だけで抱え込まず、地域の「精神保健福祉センター」や、摂食障害の専門医がいる「心療内科・精神科」の情報を集めておきましょう。
本人が受診を拒否する場合でも、まずは家族だけで相談に行くことができます。
まとめ
「痩せているのに元気」は、決して安心材料ではありません。
それは、SOSを出せない彼女たちが、必死に自分を保とうとしている姿かもしれません。
「ご飯を食べさせる」ことよりも、「あなたの味方だよ」と伝え続けること。それが回復への第一歩です。
「拒食症の人は活動的になる」。この意外な事実、ご存知でしたか?
栄養不足で動けなくなると思いきや、逆に過活動になる。この直感に反する症状を知っているかどうかは、介護福祉士試験でも問われる「精神疾患の正しい理解」のポイントです。
「知らなかった!」と驚いたあなた。ぜひ実際の試験問題で、正しい知識をチェックしてみてください。
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