「20歳を過ぎた息子が、昼夜逆転してゲームばかりしている」
「せっかく決まったバイトも、朝起きられずに無断欠勤して辞めてしまった」
親の介護だけでも大変なのに、同居している成人したお子さんの将来についても頭を抱えている。
そんな「ダブルケア」の悩みを抱える世代が増えています。
「育て方が悪かったのかしら」
「もっと厳しく言って、ハローワークに連れて行くべき?」
そうやって自分を責めたり、無理やり就職させようとしたりしていませんか?
もしお子さんに、「子供の頃から忘れ物が多かった」「落ち着きがなかった」という傾向があったなら、今の状況は怠けではなく、「大人の発達障害(ADHDなど)」の特性によるものかもしれません。
今回は、就労の前にまず頼るべき専門機関「発達障害者支援センター」についてお話しします。
「やる気」の問題ではなく「脳の特性」
注意欠陥・多動性障害(ADHD)などの発達障害は、子供の病気だと思われがちですが、大人になってから社会生活でつまずいて発覚するケースも非常に多いです。
- 時間の管理ができない: ゲームに没頭しすぎて(過集中)、朝起きられない。
- 衝動性が抑えられない: 嫌なことがあると、後先考えずに無断欠勤してしまう。
- 不注意: バイト先でミスを連発して自信を失う。
これらは本人の性格ややる気の問題ではなく、脳の機能的な特性です。
「しっかりしなさい!」と叱咤激励しても、本人もどうコントロールしていいか分からず、余計に殻に閉じこもってしまう悪循環に陥ります。
ハローワークの前に「発達障害者支援センター」へ
「働いてほしい」と焦るあまり、いきなりハローワークへ連れて行こうとしていませんか?
しかし、生活リズムが崩れていたり、自分の特性を理解できていない状態で就職活動をしても、またすぐに挫折してしまう可能性が高いです。
そこで活用してほしいのが、各都道府県に設置されている「発達障害者支援センター」です。
ここは、発達障害のある人(またはその疑いがある人)とその家族を総合的にサポートしてくれる専門機関です。
「まだ診断を受けていないけれど、様子がおかしい」という段階でも相談できます。
センターでできること
- 専門的な相談: 心理士などの専門家が、本人の特性や困りごとを整理してくれます。
- 就労への橋渡し: いきなり就職するのではなく、「就労移行支援事業所」などの訓練機関を紹介してくれたり、ハローワークと連携して適職を探すサポートをしてくれたりします。
- 家族へのサポート: 親御さんに対して、どう接すればいいかのアドバイスをしてくれます。
まずは「親だけ」でも相談に行ける
「本人が部屋から出てこないから無理」と諦める必要はありません。
多くのセンターでは、家族だけの相談も受け付けています。
「息子が将来どうなるか不安で…」と吐き出すだけでも、心の重荷は軽くなります。
専門家とつながることで、「いざとなったら助けてくれる場所がある」という安心感が生まれ、それが8050問題(80代の親が50代のひきこもりの子を支える問題)を防ぐ第一歩になります。
まとめ
お子さんの行動が「理解不能」だと感じたら、それは「病気や障害のサイン」かもしれません。
「働け」と言う前に、「生きづらそうだね、専門家に話を聞いてもらおうか」と提案してみてください。
その一言が、お子さんが社会と再びつながるための、本当のスタートラインになるはずです。
「大人のひきこもり、相談先はどこ?」。この知識が家族を救います。
ハローワークでも病院でもなく、まずは「発達障害者支援センター」へ。この適切なトリアージ(振り分け)ができるかどうかは、介護福祉士などの専門職にとっても重要なスキルです。
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