「夜中3時にガサゴソと起き出してくる」
「昼間、テレビを見ながらずっと船を漕いでいる」
高齢の親御さんと暮らすご家族にとって、「親の睡眠リズムの乱れ」は切実な悩みです。
夜しっかり寝てくれないと、介護するこちらの睡眠まで削られて共倒れになってしまいますし、昼夜逆転は認知症の症状を悪化させる原因にもなります。
「睡眠薬をもらったほうがいいのかな?」
そう考える前に、ぜひ試していただきたいことがあります。
それは、お金もかからず、副作用もない最強の睡眠ケア、「朝、太陽の光を浴びること」です。
今回は、なぜ高齢者は眠れなくなるのか、そしてなぜ「朝の光」が夜の快眠を作るのか、人体の不思議なメカニズムについてお話しします。
高齢者の不眠は「ホルモン枯渇」が原因かも
若い頃は、放っておいても夜になれば眠くなりましたよね。
これは脳から「メラトニン」という睡眠ホルモンがドバドバ出ていたからです。
しかし、このメラトニンは加齢とともに分泌量が激減します。
その結果、「夜になっても眠くならない」「眠りが浅くてすぐに目が覚める」という状態になりやすくなるのです。
枯渇してしまった睡眠ホルモンを、どうやって補えばいいのでしょうか?
実は、私たちの体には、自分でメラトニンを作り出すスイッチがあります。それが「太陽の光」です。
不眠の原因は、加齢によるホルモン変化だけではありません。『眠れない』『食欲がない』といった不調の裏には、高齢者特有の『うつ病』が隠れていることもあります。

朝の光は「15時間後の睡眠薬」
私たちの体は、朝、太陽の強い光(2500ルクス以上)を目に入れると、「朝だ!」と認識して体内時計をリセットします。
そして、そこから約15時間後に、再びメラトニンを分泌するようにタイマーがセットされるのです。
つまり、「朝の光を浴びること」は、「夜の天然の睡眠薬を予約すること」と同じなのです。
逆に言えば、朝、暗い部屋でいつまでも寝ていたり、カーテンを閉め切ってテレビばかり見ていたりすると、このスイッチが入らず、夜になっても眠気が来ないという悪循環(昼夜逆転)に陥ってしまいます。
今日からできる「光の処方箋」
親御さんに良い眠りを届けるために、生活の中でできる工夫を取り入れてみましょう。
1. 起きたらまず「カーテン全開」
朝起きたら、まずはカーテンを開けて、親御さんに日光を浴びてもらいましょう。
窓越しでも構いません。直接日光に当たる必要はなく、部屋が明るくなるだけで効果があります。
「今日はいい天気だね」と声をかけながら、光を部屋いっぱいに取り込んでください。
2. 午前中に「散歩」か「ベランダ浴」
できれば午前中に外に出るのがベストです。
外の光は室内の照明とは桁違いの明るさです。散歩が難しければ、ベランダで日向ぼっこをするだけでも十分効果があります。
「午前中に活動して、ほどよく疲れる」ことも、夜の快眠への近道です。
3. 自動で開く「スマートカーテン」
「毎朝カーテンを開けに行くのが大変」「親が自分で開けてくれない」という場合は、設定した時間に自動でカーテンを開閉してくれる「スマートカーテン(カーテン開閉ロボット)」がおすすめです。
太陽の光で自然に目が覚める環境を作ることで、体内時計が整いやすくなります。
「昼寝」は30分まで!
もう一つ大切なルールがあります。それは「長時間の昼寝はNG」ということです。
昼間に1時間も2時間も寝てしまうと、夜に眠るための「睡眠圧(眠気)」を使い果たしてしまいます。
昼寝をするなら「午後3時までに、30分以内」。
テレビの前でウトウトし始めたら、「お茶にしようか」「洗濯物たたむの手伝って」と声をかけ、起こしてあげるのも優しさです。
『昼寝を減らそうとしても、どうしても寝てしまう』という場合は、夜間の睡眠の質が極端に悪い可能性があります。本人が気づかない『足の病気』が隠れていないか、チェックしてみましょう。

まとめ
「眠れない」という訴えに対して、すぐに「寝なさい」と言うのは逆効果です。
「眠れないなら、起きて太陽を浴びようか」と発想を転換してみてください。
お日様の力は偉大です。
明るい朝を迎えることが、穏やかな夜を迎えるための一番の近道なのです。
太陽を浴びて良いリズムを作れば、脳は寝ている間に『記憶の整理』をしてくれます。夢を見ることは、実は脳のメンテナンス中なんです。睡眠と記憶の意外な関係はこちら。

「午前中に太陽を浴びる」。これが不眠対策の正解です。
なぜ朝の光なのか。それは「メラトニン」という睡眠ホルモンの分泌リズムを整えるためです。
この人体のメカニズムを知っていることは、薬に頼らないケアを実践するために非常に重要であり、国家試験でも問われる知識です。あなたの知識が正しいか、確認してみませんか?
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