「お母さんの料理、味が変わった?」と思ったら。減塩でも美味しく作る、魔法の呪文「さしすせそ」の再確認

実家に帰って手料理を食べた時、「あれ、こんなに味付け濃かったっけ?」と感じたことはありませんか?
あるいは、同居している親御さんが「最近の料理は味がしない」と醤油をドボドボかけてしまう姿を見て、血圧が心配になったり…。

高齢になると味を感じる細胞(味蕾)が減少し、どうしても味付けが濃くなりがちです。
かといって「塩分を控えて!」と薄味にすると、「マズい」と言って食欲を落としてしまう。このジレンマに悩むご家族は非常に多いものです。

そんな時、思い出してほしいのが、昔家庭科で習った調味料の基本「さしすせそ」です。
実はこの順番を守るだけで、少ない調味料でも味がしっかり染み込み、素材を柔らかく仕上げることができるのです。

今回は、高齢者の食卓を守るための「調味料の科学」についてお話しします。

目次

なぜ「砂糖」が最初で、「塩」は後なのか?

「さ(砂糖)・し(塩)・す(酢)・せ(醤油)・そ(味噌)」。
この順番には、単なる語呂合わせではない、科学的な理由があります。

1. 砂糖は「太っている」から先に入れる

砂糖の分子は、塩の分子よりもサイズが大きいのです。
先に塩を入れてしまうと、食材の隙間が塩で埋まってしまい、太った砂糖が入る隙間がなくなってしまいます。
「まずは砂糖をじっくり染み込ませる」。これが甘みを引き出し、煮物をふっくら仕上げるコツです。

2. 塩は「水分を抜く」から後回し

塩には、食材から水分を吸い出し、身を引き締める作用があります。
最初に入れてしまうと、食材がキュッと硬くなってしまいます。
飲み込む力が弱くなっている高齢者にとって、「食事が硬くなる」のは避けたいこと。
柔らかく煮るためにも、塩分は少し待ってから入れるのが正解です。

香りは「食べる直前」が一番のご馳走

「す(酢)・せ(醤油)・そ(味噌)」が後半なのはなぜでしょうか?
それは、これらが「香りを楽しむ調味料」だからです。

高齢になり味覚が鈍くなっても、「嗅覚(香り)」は比較的保たれていることが多いと言われています。
早くから入れてグツグツ煮込んでしまうと、せっかくの風味が飛んでしまいます。
仕上げに入れることで、醤油や味噌の香ばしさが立ち上り、薄味でも「美味しそう!」と食欲を刺激することができるのです。

毎日の料理を楽にする「お助けアイテム」

基本を守りつつ、負担を減らして美味しい食事を作るために、便利なアイテムを活用しましょう。

1. 誰でもプロの味「だしパック・液体だし」

減塩の最強の味方は「だし(旨味)」です。
イチから出汁をとるのは大変ですが、無添加の「だしパック」や、高品質な「液体だし」を使えば簡単です。
旨味が強ければ、塩分が少なくても脳は「美味しい」と満足してくれます。

2. 計る手間なし「プッシュ式醤油差し」

食卓でどうしても醤油をかけたがる場合は、「プッシュ式の醤油差し」に変えてみましょう。
一滴ずつ出るので、ドボドボとかけ過ぎるのを物理的に防げます。「自分でかけた」という満足感も残せるのでおすすめです。

3. まるごと届く「高齢者向けミールキット」

「毎日の献立を考えるのが辛い」「買い物が大変」という場合は、「高齢者向けミールキット(食材宅配)」を利用するのも賢い選択です。
管理栄養士が監修した減塩メニューの材料が必要な分だけ届くので、調味料の順番さえ守れば、誰でも健康的な食事が作れます。

まとめ

料理は、生きるための栄養であり、日々の楽しみでもあります。

「さしすせそ、覚えてる?」
そんな会話をしながら、久しぶりにキッチンに並んで一緒に料理を作ってみてはいかがでしょうか。
基本に戻るだけで、懐かしい「お母さんの味」が健康的に蘇るかもしれません。

「料理のさしすせそ」。実は国家試験に出るほどの重要知識です。
「砂糖は塩より先」。家庭科で習ったこの常識が、なぜ介護のプロに必要なのか。それは高齢者の「食事の楽しみ」と「健康」を守るための基本技術だからです。
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