「親を預けて旅行なんて」と自分を責めないで。介護者が堂々と休むための「レスパイトケア」の真実

「毎日24時間、親の介護で気が休まらない」
「たまには友達と温泉旅行にでも行きたいけれど、親を預けて自分だけ楽しむなんて……」

真面目で優しい人ほど、介護の合間に自分の時間を持つことに強い罪悪感を抱いてしまいます。
「家族なんだから、私が犠牲になるのは当たり前」
そう思い込んで、限界まで頑張りすぎてはいませんか?

でも、はっきりとお伝えします。
介護者がリフレッシュのために休むことは、決して「手抜き」でも「薄情」でもありません。
むしろ、長く介護を続けるためには絶対に欠かせないメンテナンスの時間なのです。

今回は、介護者の休息を意味する「レスパイトケア」という考え方と、預けられる親御さんも幸せになれる時間の作り方についてお話しします。

目次

「介護疲れ」は立派なサービス利用理由です

「レスパイト(Respite)」とは、「一時休止」「休息」「息抜き」という意味です。
介護保険や障害福祉の分野では、家族が介護から一時的に解放され、リフレッシュするための支援を「レスパイトケア」と呼びます。

これは国が認めている正当な権利です。
ショートステイ(短期入所)やデイサービスを利用する理由は、冠婚葬祭や仕事だけである必要はありません。

  • 「趣味の旅行に行きたい」
  • 「家で一人でのんびり寝たい」
  • 「友達とランチに行きたい」

これら全て、堂々とケアマネジャーに伝えて良い理由なのです。
あなたが笑顔を取り戻して帰ってくることは、結果として、その後の親御さんへの接し方を優しくすることにつながります。

『親の面倒を見るのは家族の義務』という思い込みが、あなたを苦しめていませんか? 法律が認めている『頼る権利』について、一度整理してみましょう。

預けられる親は「可哀想」なのか?

私たちが罪悪感を抱く原因の一つに、「親を施設という『箱』に閉じ込めてしまう」というイメージがあります。
しかし、良いレスパイトケアとは、単に親御さんを「保管」することではありません。

「家族が休んでいる間、親御さんも『自分らしく』楽しい時間を過ごす」
これが、本来あるべきレスパイトの姿です。

ずっと家で家族と二人きりでいるよりも、施設で同世代の人と将棋を指したり、大きなお風呂に入ったり、美味しいおやつを食べたりする。
それは親御さんにとっても、良い気分転換(レスパイト)になるはずです。
「私が休むため」ではなく、「お父さんも楽しんでおいでよ」という気持ちで送り出してあげれば良いのです。

お互いがハッピーになる「預け先」の選び方

罪悪感なく休むためには、「ここなら親も楽しめそうだ」と思える施設を見つけることが重要です。

1. 親の「好き」に合わせた施設を選ぶ

「デイサービス」や「ショートステイ」と一口に言っても、その特徴は様々です。

  • リハビリ特化型: 運動好きなお父さんに。ジム感覚で通える。
  • カルチャー型: 手芸や陶芸など、趣味を楽しみたいお母さんに。
  • 民家改装型: 大勢の中だと緊張してしまう方に。アットホームに過ごせる。

親御さんの性格や趣味に合った場所を選べば、「預けられた」ではなく「遊びに行く」という感覚に変わります。

2. 「お試し利用」から始める

いきなり何泊も預けるのは不安です。まずは半日のデイサービスや、一泊だけのショートステイから始めてみましょう。
「評判のランチを食べに行ってみない?」と誘い出し、楽しそうな様子を確認できれば、家族の安心感にもつながります。

3. ケアマネジャーに「私の限界」を伝える

ケアマネジャーには、親の状態だけでなく、あなた自身の気持ちを正直に伝えてください。
「最近イライラして親に当たってしまう」「もう限界かもしれない」
そうSOSを出すことで、緊急のショートステイを手配してくれたり、より負担の少ないプランを提案してくれたりします。

『うちは医療処置が必要だから、普通のショートステイは断られてしまう…』と諦めていませんか? 医療ニーズが高い方でも安心して泊まれる場所があります。

まとめ

介護は「自己犠牲」の上に成り立つものではありません。
「あなた」が元気でいて初めて、「親御さん」の生活も守られます。

次の週末は、自分のために時間を使ってみませんか?
それは、親御さんを大切にするのと同じくらい、尊くて必要なことです。

旅行や休息でショートステイを利用する際、気をつけておきたいのが『利用日数のルール』です。計画を立てる前に、知っておきたいポイントはこちらです。

「家族が旅行に行くために親を預ける」。これは、大正解の行動です。
レスパイトケア(介護者の休息)において、旅行や趣味は正当な理由として認められています。これは介護の常識であり、国家試験でも問われる大切な知識です。
「知っててよかった!」と思えたあなた。ぜひ実際の試験問題で、その考え方がどう出題されるか確認してみてください。
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