「家族で看る」は幻想だ。老老・ダブル・ヤングケアラーの残酷な現実

問1

わが国の近年の介護を取り巻く状況の説明として適切なものはどれか。3つ選べ。

  1. 介護を要する高齢者を同居している高齢者が介護する「老老介護」は、減少傾向にある。
  2. 育児と介護を同時に担う「ダブルケア」が課題となっている。
  3. 「ヤングケアラー」への支援が課題となっている。
  4. 介護者が仕事と介護を両立できるよう、法律により介護休暇及び介護休業が制度化されている。
  5. 特別養護老人ホームなどの老人ホームでの死亡者数は、減少傾向にある。
目次

正解は2・3・4。現代社会が生んだ新たな歪み

「親の面倒は子供が看る」「家で最期を迎える」。
もしあなたの頭にそんな昭和のホームドラマのような映像が浮かんでいるなら、今すぐアップデートが必要です。
今回の問題が突きつけているのは、日本の介護現場が「単純な家族愛」では回らない、もっと複雑で過酷なフェーズへ突入したという事実です。

挟み撃ちにあう「ダブルケア」(選択肢2)

育児と介護を同時に担う「ダブルケア」が課題となっている。

この記述は適切です。

晩婚化が進んだ結果、子育てと親の介護が同時に押し寄せるダブルケアが急増しています。
最も多いのは40代。働き盛りで、子供の教育費もかかる時期に、「保育園のお迎え」と「親の通院」が重なる。
まさに人生の挟み撃ちです。推計で25万人以上がこの渦中にいるとされています。

未来を削る「ヤングケアラー」(選択肢3)

「ヤングケアラー」への支援が課題となっている。

この記述は適切です。

本来、勉強や遊びに使うべき時間を、家族のケア(家事、通訳、労働など)に費やす子供たち。
問題の本質は「偉いね」という美談ではなく、子供の権利侵害です。
彼らの学業や就職といった「自分の未来」を食いつぶして、今の家庭生活が辛うじて成り立っている現状は異常です。

働く人を守る「防具」(選択肢4)

介護者が仕事と介護を両立できるよう、法律により介護休暇及び介護休業が制度化されている。

この記述は適切です。

過酷な現状だからこそ、「育児・介護休業法」という武器が存在します。
介護休暇(短期)や介護休業(長期)は、働く人が離職せずに介護を続けるための命綱です。
精神論で乗り切るのではなく、制度という防具を使いこなすこと。それが現代の介護を生き抜く唯一の手段です。

誤答は1・5。数字が示す残酷な真実

誤りの選択肢は、希望的観測に過ぎません。データは真逆を示しています。

老老介護は「6割」を超える(選択肢1)

介護を要する高齢者を同居している高齢者が介護する「老老介護」は、減少傾向にある。

この記述は不適切です。

減少どころか増加しています。
国民生活基礎調査によれば、同居している主な介護者の63.5%が高齢者同士です。
老いた夫が老いた妻を支える。それは錆びついた自転車に重い荷物を載せて走るようなもので、いつ共倒れしてもおかしくありません。

死に場所は「施設」へ(選択肢5)

特別養護老人ホームなどの老人ホームでの死亡者数は、減少傾向にある。

この記述は不適切です。

「自宅で死にたい」という希望とは裏腹に、現実には8割以上が自宅以外で亡くなっています。
特に特養などの施設での看取り(死亡退去)は増加傾向にあり、もはや施設は「終の棲家」としての機能を完全に担っています。

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